2019.05.15

【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。

第8回 「季節を積み重ねる暮らし」

前回のメルマガの冒頭コラムでもお話した島根県津和野町に行ってからというもの、「丁寧な暮らし」について考えています。一人暮らしを始めてから半年が経ち、食事はもっぱらコンビニか外食になり、実家暮らしの頃に比べ不摂生に陥っているような気がしてなりません。(自称)生活向上委員会の名に恥じぬよう暮らしのヒントを吸収したくなり、ある映画を観てみました。

その作品は2015年に当館でも上映された『リトル・フォレスト』。津和野町に移住した友人はこの作品を観た後、自分で調味料などを一から作ってみたくなったそうです。原作は五十嵐大介の同名漫画。東北のとある小さな村“小森”を舞台に、日々の暮らしと真正面から向き合い、食材をつくるところから自分で実践していく主人公いち子が、食べることを通して人生を見つめ直していく過程を、四季の移ろいとともに1年にわたって描いた4部作です。スローライフと言うとオシャレな響きですが、物語の中では自然の厳しさと生きる上での知恵がしっかりと描かれています。主人公のいち子を演じる橋本愛ちゃんが黙々と農作業をし、料理をつくり、食べる。食レポのような大げさなリアクションはなく、しっかりと大地の味を噛みしめるように粛々と食べるその姿には美しさを感じます。

検索をすれば簡単にレシピが手に入る現代において、作りたいものを決めてから食材を買いそろえる暮らしとは対照的に、いち子をはじめ小森に暮らす人たちは今そこにある自然に目を向けて生きています。食材に注目すると、採れたての新鮮な野菜や環境を利用してじっくり作られた乾物や漬物など、通年同じ食材が揃うスーパーでは手に入らなそうなもの(例えばアケビや、ミズなど)を使っていて、東京で育った私には馴染みのないものばかり。いつも代わり映えのない自分の料理と比べ、作中の四季を感じる食材で作られた料理の方がよっぽど贅沢なように思えてきます。

私が自炊するとなると、野菜を効率よく摂りたいがためにスープばかり作ってしまうのですが、この作品を見てからは、きちんと食材と向き合う料理をしたいなと思うようになりました。いち子のように野菜からは作れないけれど、まずはシンプルに今が旬の新じゃがを茹でて塩をふって食べるところから。季節の美味しさを自分の中に取り入れる幸せを、少しずつ積み重ねていけたらいいなと思います。

『リトル・フォレスト』作品紹介ページ↓
http://wasedashochiku.co.jp/lineup/2015/littleforest.html

(しかまる。)