2021.06.10

【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by牛

第2回『私の推しドラキュラ』

みなさまこんにちは、牛です。長い休館期間が明け、早稲田松竹にもいつもの日々が戻ってきました。休館期間中、なにか面白いものはないかとインターネットを眺めているとこんな記事を見つけました。「ドラキュラ城でワクチン」の文字を…。

記事によると、ルーマニアにあるドラキュラ伝説で知られるブラン城にて、新型コロナウイルスワクチンの接種会場が設けられたとのこと。ドラキュラ城でワクチンが接種できるなんて面白い! とそれだけでもワクワクしますが、ここでワクチンを接種するとなんと城内の拷問器具などが無料で見学できるそう! 注射嫌いな私ですが、ドラキュラ城で注射をするのはロマンがありますし、貴重なお城の内部も見ることが出来て、ルーマニアの人が羨ましくなりました。

さて、ホラー映画においてもドラキュラはよく登場しますが、その歴史を振り返るとサイレント時代まで遡ります。ブラム・ストーカーの怪奇小説『吸血鬼ドラキュラ』を映画化した『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22)をはじめ、石岡瑛子氏の衣装デザインが高く評価されたフランシス・F・コッポラ監督の『ドラキュラ』(92)など、思えばドラキュラが登場する映画は新旧問わずたくさんあるなあと思います。

数あるドラキュラ映画の中でも私が特にお気に入りの作品は、ポール・モリセイ監督の『処女の生血』(74)です。この作品、アンディ・ウォーホルを監修に、ロマン・ポランスキーやヴィットリオ・デ・シーカがキャストとして出演している妙にゴージャスな作品。そして、ドラキュラ伯爵役にはドイツの怪優ウド・キア! 当館では4月に上映した『異端の鳥』『バクラウ 地図から消された村』の2本立てに両作品出演していた彼。この2本立てでも異様な存在感を放っていましたが、若い頃はかなりの美青年。儚げな雰囲気が相まって、ドラキュラ伯爵役がバチバチにキマっています。そんなウド・キア様ですが『処女の生血』では処女の血しか飲めない吸血鬼を演じています。処女でない血を飲むと、体が拒絶反応を起こし、血反吐を吐いてしまうという可哀想な吸血鬼…。ウド・キア様が痙攣しながら弱り果てていく姿はホラー映画ながら正直かなり笑えます。どこか心の中で「がんばれ!」と応援したくなる、そんな可哀相な吸血鬼なのです。みなさんの推しドラキュラもぜひ教えて頂きたいです。

(牛)