2021.05.27
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック
「バクラウの音楽」
早稲田松竹で4月中旬に上映しました『バクラウ 地図から消された村』。どこか不穏な空気漂う冒頭から、予期せぬ方向へと向かうこの映画、個人的にはかなり面白い作品でした。全く情報のない状態でこの映画を観たため、ダイレクトに心に響いてしまい、私にとっての早稲田松竹上半期ベスト映画にノミネートされています。
この映画の劇中でカポエイラを踊るシーンがあるのですが、そこで流れている音楽、知らないはずなのにどこか聞き覚えがありました。ミョンミョンとかドュンドュンといったシンセサイザーの音の繰り返しがメインなのに、明らかに誰が作ったかわかるという不思議な曲。映画監督ジョン・カーペンター作曲の音楽が使われています! 2015年に発表されたファーストアルバム『Lost Themes』に含まれている「Night」という曲なのですが、流れてきた瞬間に「カーペンターだ!」と高ぶってしまいました。無骨でシンプルなこの曲が過去のジョン・カーペンター作品のイメージを想起させ、「荒廃したこの世界で、サヴァイヴしてやるぜ!」といった気持ちに
させてくれます。それがまた『バクラウ』にもピッタリだと思いました。また私は気づかなかったのですが、『バクラウ』に登場する学校にジョン・カーペンターの名前が使われているそうです。ますますこの映画に親しみを感じてしまいました。ちなみにエンドロールでも「Night」が流れるので何か得した(?)気分になります。
さて、2015年にアルバムを発表したのは知っていたのですが、それ以降のことは知らなかったので調べてみました。2016年には立て続けにセカンドアルバム『Lost Themes II』を発表し、なんと2021年の2月にサードアルバム『Lost Themes III: Alive After Death』を発表しています。こんな状況下で、黙々と創作を続けているところもやはり格好良いですね。
それにしても彼の音楽を聴いているとやはり監督作が観たくなってきます。『ザ・ウォード/監禁病棟』(2010)が今のところ最後。ジョン・カーペンター監督の最新作が待ち遠しいですね。
『Lost Themes』(2015)
『Lost Themes II』(2016)
『Lost Themes III: Alive After Death』(2021)
© 2019 CINEMASCÓPIO – SBS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINÉMA
(ジャック)