2020.07.30

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

PulpのJarvis Cocker

7月の初めに早稲田松竹で上映したダニー・ボイル監督作『イエスタデイ』。The Beatles が存在しない世界というとんでもない設定の映画ですが、私は楽しく見ることが出来ました。The Beatlesの名曲が多く使われているのはもちろん、思わずニヤッとしてしまうちょっとした音楽ネタも満載です。個人的に面白いと思ったものの一つに、主人公と付き合うためにヒロインに振られてしまう友人の一言、「2位で終わる名曲もある。Pulpの『Common People』とかさ」というセリフがあります。

このPulpというバンド、90年代イギリスのブリットポップというムーブメントの一角を担ったバンドで、ポップでキャッチ―だけど、どこか信用できないようないかがわしさ漂う、なんとも言えない魅力に満ちていると私は思っています。なので、何となく「2位」というワードとPulpという名前にクスっとしてしまいました(すみません)。ちなみにダニー・ボイル監督の出世作『トレインスポッティング』では『Mile End』という曲が使われていています。

さて、このバンドの中心人物はJarvis Cockerという人なのですが、実はウェス・アンダーソン監督のみんな大好き(?)『ファンタスティック Mr.FOX』にピーティー役で声優として出演しています。バンジョーという楽器を演奏しながら人間の策略を巧みにかわすキツネの歌をうたっているのが彼です。本編ではそれを歌っている後ろにキツネと争っている農場主ビーンが立っていて、気まずそうに誤魔化すというシーンになるのですが、なんとも愛らしいキャラクターだと思っています。

Pulpで活躍していたころにくらべ年齢を重ね、見た目も変わっているJarvis Cocker。『ファンタスティック Mr.FOX』のピーティー同様、すごく大好きというわけではないのですがなぜか妙に気になってしまう不思議な人物です。『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』には本人が出演していましたし、どしどし他の作品にも出演してほしいなあと思っています。

『Hits』(2002)Pulp

(ジャック)