2016.11.03
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
温暖化の影響でしょうか。今年は10月になっても30度を超える真夏日を記録し、「あれ、10月だよね?」と首をひねることがありました。けれどそんな季節を逆戻りしたような日でも、空を見上げると、ちゃんと秋の空が広がっているのでした。
秋や冬の空が美しく見えるのは、気温が下がることによって空気が乾燥し、妨害物である塵や埃、水蒸気などが少なく、空気の透明度が増すためといわれています。そのことから、冬は最も星がきれいに見える季節でもあります。夜空をまたたく星々の輝き。白い息をはあっと吐き出しながら見上げる、胸に沁み入るような空の美しさ。なぜだかちょっとだけ心もとないような、寂しいような気持ちがして、けれど同時に自由になったような、不思議な気持ちになります。そんな寒空の中でも、一際目をひく星があります。そう、シリウスです。
みなさんは、「冬の大三角」という言葉を聞いたことはあるでしょうか? おおいぬ座の犬の口の先の部分にあたるシリウスと、オリオン座のベテルギウス、そしてこいぬ座のプロキオンを合わせて結ぶ三角形のことをいうのですが、とても明るく、数多ある星に紛れても大変見つけやすい星座です。
さて、今回ご紹介しますのは、そんなシリウスにも似た石、「水晶」です。私がまだ小学生だったときにとても流行ったマンガがありまして、それが柊あおいさんの「星の瞳のシルエット」でした(年齢がバレそうですが…)。主人公の女の子が幼い頃にすすきの野原で出会った見知らぬ男の子から「星のかけら」をもらうのですが、幼かった私の胸を何よりもときめかせたのは、彼らが「星のかけら」と呼んでいた水晶でした。ガラスのように透き通って、陽の光に輝く、星のかけら。当時の私はそれが水晶のことを呼ぶのだとは知りませんでしたが、自然界にそんなものが存在するなんて、とても不思議に思ったのを覚えています。
水晶とは六角柱状のきれいな自然結晶をなすことが多く、石英(せきえい)の中でも特に無色透明なものをそう呼びます。古くは玻璃(はり)とも呼ばれていました。またこの水晶、実は日本の国石でもあります。かつては良質な水晶が多く産出されており、その研磨技術にも優れていたそうです。
(ちゅんこ)