2017.01.05
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
冬になって寒くなると、いつも決まって不思議に思うことがあります。それは日が暮れる前のほんの数分間、ふと窓の外を見ると、空気が青く感じられることがあることです。
もちろん、はっきりと色がついているわけではありません。けれど、空気の色がうっすらと青く染まっているような、まるで街の中がぷるんとした透明度の高いゼリーの中にすっぽりと閉じ込められてしまったようにも見えて、思わず見入ってしまいます。
恐らく寒くなって空気の透明度が増したからだとか、光の屈折の違いなのかなと、いつも勝手に納得はするのですが、結局のところ本当の答えは見つかっていません。ひょっとしたら自分の目の錯覚なのかしら? などとも思ってしまいます。
少しだけ調べてみると、人によって色の見え方には違いがあるらしく、それは人種や、男女によっても違いがあるそうです。でも、考えてみたらそれは視力の違いも同じことで、隣の人と同じ風景を見ていると思っていても、実はまったく違う景色を見ているとしたら、なんだか不思議な気がしますね。
さて、今回ご紹介しますのは、「見た目通りじゃないよ」の不思議な石、氷晶石(ひょうしょうせき)です。1799年に西グリーンランドのイビクドゥト(現在のイヒドゥート)で発見されたこの石は、その外観があまりに氷に似ていたために、最初は「溶けない氷」と考えられていたそうです。
アメリカやロシアなどでも報告されていますが、結晶としてまとまって産出したのはグリーンランドのみ(ちなみに現在は閉山して、町はゴーストタウンと化しているようです)。色は半透明の無色または白色で、屈折率が低く水とほぼ同程度なため、透明度の高い結晶を水に入れると、ほとんど見えなくなるという不思議な性質を持っています。
(ちゅんこ)