2017.04.06
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:清明(せいめい)、初候:玄鳥至(つばめきたる)
夜でも暖かくなってきましたね。春雷が轟いて夕立、早稲田通りを行く人々が鞄を頭に乗せて走っていく姿を見ながらこのコラムを書いています。春分をすぎて、節気が「清明」へと移ります。清明は「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」と、(江戸時代に書かれた)『暦便覧』で説明されています。空気が澄んで明るくなり、物がはっきりと見える清々しい季節です。
この頃、渡り鳥たちが南国からやってきます。燕は海面を時速40~50kmものスピードで飛びながら移動するそうです(外敵などから逃げるときには時速200kmにもなる)。2000km以上も移動して戻ってくるときに、太陽の方角を頼りに(山や川の地形なども覚えているとか!)ちゃんと自分たちが作った巣に帰ってくるんです。西日本には日本で越冬するツバメもいるし、最近では温暖化の影響もあって南国に渡らないツバメも増えているとか。
映画で渡り鳥と言えば小林旭さんが主演の「渡り鳥シリーズ」が有名ですが、このシリーズが日活無国籍アクションというジャンルを作り上げたと言われています。明らかに日本が舞台なのに馬に乗って(え?西部劇?)いたり、荒野で撃ちあったり、服装もアメリカンスタイルで、アメリカのフィルム・ノワール(犯罪映画)や、西部劇からインスピレーションをうけた映画たち。
当時の日活の監督たちは、松竹などで仕事をしていた若手・中堅の監督。新しく出来た日活調布撮影所で腕を振るおうと移籍した人たちが多かったそうです。今村昌平監督や、今年の一月に亡くなった鈴木清順監督もそうでした。鈴木清順監督作『関東無宿』は小林旭さん主演ですが、クライマックスシーンで障子が倒れると奥に真っ赤な色彩があらわれる効果は、クエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』でも使用されており、海を渡ってアメリカに逆輸入されたのだなとしみじみと感慨深く思ったものです。
余談ですが、当時の日活のスターである俳優さんたちにはニックネームがついていてとても面白いんですよ。並べてみると、タフガイ(石原裕次郎)、マイトガイ(小林旭)、クールガイ(赤木圭一郎)、ダンプガイ(二谷英明)、やんちゃガイ(和田浩治)、ナイスガイ(高橋英樹)、エースのジョー(宍戸錠)。どれもユニークですが、ダンプガイっていったいどういうことなんでしょうね…。
(上田)