エゴイスト
Egoist
■監督 松永大司
■原作 高山真「エゴイスト」(小学館刊)
■脚本 松永大司/狗飼恭子
■撮影 池田直矢
■編集 早野亮
■音楽 世武裕子
■出演 鈴木亮平/宮沢氷魚/阿川佐和子/中村優子/和田庵/ドリアン・ロロブリジーダ/柄本明
©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
【2023/9/2(土)~9/8(金)上映】
与えることで満たされてゆく、この愛は身勝手ですか?
14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。
人気コラムニストが綴った、生涯唯一の自伝的小説を映画化。すべての人に愛を問いかける感動のヒューマンドラマ
原作は数々の名コラムを世に送り出してきた高山真の自伝的小説『エゴイスト』。『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』など人の心の澱を深く抉る作品で知られる松永大司監督が、ドキュメンタリータッチの映像で、登場人物たちの間に流れる親密な温度感や、愛ゆえに生まれる葛藤を繊細に伝える。
主人公の浩輔を演じるのはストイックさと深い洞察力で数々のキャラクターに命を吹き込んできた鈴木亮平。本作では強さと脆さを同居させた生々しい演技で新たな境地を開拓した。浩輔の恋人である龍太役には話題作への出演が続く宮沢氷魚。その透明感あふれる儚い佇まいが愛を注がれる純粋な青年というキャラクターに説得力を与えている。また、龍太の母、妙子役の阿川佐和子は、主人公の人生観に影響を与えるキーパーソンともういうべき人物をナチュラルかつ圧倒的な存在感で演じている。
公開に先立って行われた東京国際映画祭では高い評価を得た。また、アジア全域版アカデミー賞「アジア・フィルム・アワード」にて宮沢氷魚が助演男優賞を受賞、ニューヨーク・アジアン映画祭では鈴木亮平がライジングスター アジア賞を受賞し、注目を集めている。
そばかす
I Am What I Am
■監督 玉田真也
■企画・原作・脚本 アサダアツシ
■撮影 中瀬慧
■編集 冨永圭祐
■音楽・録音・音響効果 松野泉
■主題歌 三浦透子「風になれ」
■出演 三浦透子/前田敦子/伊藤万理華/伊島空/前原滉/前原瑞樹/浅野千鶴/北村匠海
/田島令子/坂井真紀/三宅弘城
©2022「そばかす」製作委員会
【2023/9/2(土)~9/8(金)上映】
恋愛をしたことがない、そういう感情もない。だけど楽しく生きていける――それが私だと思っていた。
私・蘇畑佳純(そばた・かすみ)、30歳。チェリストになる夢を諦めて実家にもどってはや数年。コールセンターで働きながら単調な毎日を過ごしている。妹は結婚して妊娠中。救急救命士の父は鬱気味で休職中。バツ3の祖母は思ったことをなんでも口にして妹と口喧嘩が絶えない。そして母は、私に恋人がいないことを嘆き、勝手にお見合いをセッティングする。
私は恋愛したいと言う気持ちが湧かない。だからって寂しくないし、ひとりでも十分幸せだ。でも、周りはそれを信じてくれない。恋する気持ちは知らないけど、ひとりぼっちじゃない。大変なこともあるけれど、きっと、ずっと、大丈夫。進め、自分。
個性的なキャラクターが勢ぞろい! 困難で、不確かな時代にマッチした、爽やかな快作!
恋愛という普遍的なテーマを扱いながら、ただのラブストーリーには留まらない、現代性のある難しい問題を扱う本作。ともすれば重くなりそうな内容だが、繊細でありつつも、佳純の白いシャツと海辺の白い砂浜のように、明るさと爽やかさを感じさせる作品に仕上がっている。監督は、劇団「玉田企画」を主催する玉田真也。近年は、『あの日々の話』、『僕の好きな女の子』で脚本・監督を努めるなど、映画監督としての注目度が増している。脚本は、テレビドラマ「カフカの東京絶望日記」、映画『his』など、放送作家・脚本家として長年活躍してきたアサダアツシ。
主人公・佳純を演じるのは、『ドライブ・マイ・カー』で日本アカデミー賞新人俳優賞など数々の賞を受賞した三浦透子。本作が初の単独主演作となった。更に、歌手としても高い評価を受ける彼女は主題歌も担当している。佳純の同級生であり元AV女優・真帆を演じるのは前田敦子。佳純の新しい一歩を後押しする印象的な役を演じるのは、今最も注目を集める若手俳優・北村匠海。他にも、伊藤万理華、田島令子、坂井真紀、三宅弘城といった若手からベテランまで幅広い実力派俳優陣が脇を固め、超個性的なキャラクターで作品を彩っている。
【レイトショー】ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい
【 Late Show】People Who Talk to Plushies Are Kind
■監督 金子由里奈
■原作 大前粟生『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』(河出書房新社刊)
■脚本 金子鈴幸/金子由里奈
■撮影 平見優子
■編集 大川景子
■音楽 ジョンのサン
■主題歌 わがつま「本当のこと」(NEWFOLK)
■出演 細田佳央太/駒井蓮/新谷ゆづみ/細川岳/真魚/上大迫祐希/若杉凩
■第18回大阪アジアン映画祭コンペティション部門正式出品
©映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」
【2023/9/2(土)~9/8(金)上映】
わたしたちは全然大丈夫じゃない。
京都のとある大学。”男らしさ””女らしさ”のノリが苦手な七森は、学科の懇親会で意気投合した麦戸と共に、ぬいぐるみサークルへ入ることに。そこはぬいぐるみを作ったりするサークルではなく、ぬいぐるみと”喋る”サークルだった。自分の悩みを吐き出したいけど、人を傷つけたくないという理由でぬいぐるみと喋るメンバーたち。そんな空間に慣れてきたころ、麦戸が大学に来なくなってしまい…。
新世代が紡ぐ、やさしさの意味を問い直す物語。
『21世紀の女の子』『眠る虫』で注目を集めた金子由里奈監督による長編商業デビュー作にして、「おもろい以外いらんねん」「きみだからさびしい」をはじめ繊細な感性で話題作を生み出し続けている小説家・大前栗生氏にとって初の映像化作品。『町田くんの世界』以来の映画主演作となる細田佳央太、『いとみち』の駒井連、『麻希のいる世界』の新谷ゆづみをはじめ、フレッシュなキャストが競演。
「弱いひとが弱いまま生きられる場所はないのだろうか。そう思っていた時にこの原作に出逢いました。(中略)物語に共鳴してくれた俳優さんやスタッフ陣と、傷つくことや優しさについて、一緒に立ち止まって考えながら作り上げた映画です。私たちは圧倒的に対話が足りてない。社会が少しでも優しくなりますように。日々の無力さに疲れてしまったあなたに観てもらいたいと願っています。」――金子由里奈(監督)