2026.05.14
スタッフコラム「馬場・オブ・ザ・デッド」 by牛
GWも終わり、暑くなってきましたね。只今、早稲田松竹ではラウラ・シタレラ監督特集を絶賛上映中です。アルゼンチンの映画ということで、なかなか観ることのできない珍しい特集ではないでしょうか。中でも、『トレンケ・ラウケン』は、掴みどころのない展開や独特な音楽など、南米圏の文化が新感覚だと当館スタッフの間でも話題となっております。シタレラ監督の作品を通して、アルゼンチンという国に俄然興味が湧いてきました。日本の裏側、地球最果ての地の恐怖映画ってどんなものだろう…! と思った次第です。
調べてみると、日本で公開されたアルゼンチン産ホラーはかなり少ないのですが、昨年末にデミアン・ラグナ監督の『邪悪なるもの』(2023)という作品が劇場公開されていました。今回はそんな『邪悪なるもの』以前に恐怖映画ファンたちの間で話題となっていた監督のヒット作『テリファイド』(2017)をご紹介します。
舞台はブエノスアイレスの住宅地。至って普通のとある家庭で、ある日突然排水溝から不気味な声が聞こえます。家に住む若い夫婦の奥さんが耳を澄まして聞いてみると、その声は「お前を殺す」と言っているではありませんか。この時点でめちゃくちゃ怖いのですが、その後突如鳴り響く隣の家からの騒音。鳴りやまない音に、夫は隣人に怒鳴り込みに行きますが、返答はありません。不思議に思いながら自宅に戻ると、血まみれの奥さんが宙に浮いた状態で壁に叩きつけられていて…!? という序盤から怒涛の展開です。
宙に浮いている妻…というありえない状況から、描かれているのが霊でも殺人鬼でもなく超常現象だということがわかるのですが、この作品ではバラエティに富んだ様々な超常現象を観ることができます。電気が着いたり消えたり…などといったよくあるポルターガイスト的な事象は序の口で、ベッドの下からヌッと現れてはクローゼットの中へと消えていく謎の全裸大男や、ひとりでに動き出す子供の死体…などなど、こんなことがあったら嫌すぎるなという出来事がテンポよく展開されます。
その後、超常現象の専門家たちの登場により、事態が解決するのかと思いきやそうはいかず、「あれは一体なんだったのだろう…」という多くの謎が残されます。この余白が超常現象の不可解さをより強調させ、『トレンケ・ラウケン』同様の「多くを語らない不思議な余韻」みたいなものを感じさせるのでした。これがアルゼンチン独自の美学なのかもしれないですね。それにしても、久しぶりに強烈な恐怖作品を鑑賞して大分肝が冷えました。これからの暑い季節、納涼にぴったりのアルゼンチンホラーを鑑賞してみてはいかがでしょうか。
(牛)











