2026.10.15

スタッフコラム「馬場・オブ・ザ・デッド」by牛

先日、ふと思い立ち徳島県へ旅に出ておりました。東京湾からフェリーに揺られ、約19時間…。船酔いで若干ぐったりしながら、初上陸の四国の町を散策したり、グルメを楽しんだりと旅を満喫していました。事件が起きたのは、宿泊したホテルでのこと。朝、身支度をしようと鏡を覗くと、背後の壁になにやら黒い影が…。振り返ると、手のひらサイズの巨大クモが壁に張り付いていたのです。「え…?」と寝ぼけた目をこすっても、いる。縞模様の長い8本の脚。とにかく大きい。規格外のサイズに驚きすぎて、逆に冷静になってしまいました。

そこで思い出したのが、ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』(82)です。南極僻地の氷の下に眠っていたエイリアンが、南極観測隊の隊員たちを次々と襲っていく名作パニックムービー。その中で、エイリアンに寄生されてしまった隊員の一人が、クモのような姿に変わり果ててしまうシーンがあります。生首になった頭部からクモのような長い足が生え、カサカサと逃げ惑うおぞましい姿を見て、他の隊員が「一体何の冗談だ?」と冷静につっこみを入れる場面は、私が映画史上一番好きだと言っても過言ではない名(迷?)シーンです。人は驚きすぎると、冷静になってしまう。『遊星からの物体X』で観たあの景色と同じようで、思わず嬉しくなってしまいました。(生憎一人だったので、ひとりツッコミはできませんでした…)。

さて、冷静になったことをいいことに、クモちゃんを観察してみることにしました。おそらく種類はアシダカグモ。なかなか禍々しい見た目をしていますが、時折顔をクシクシしたり、口元をモゴモゴさせたり、ふとした時に素早く壁を動き回っていましたが、害がないのでしばらく共に過ごしておりました。不思議なもので、段々と愛着が湧いてくるものですね。そういえば、先月上映したSF大作『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に登場したエイリアンの「ロッキー」もまた、クモのような見た目をしていました。心の中で、「ロッキー」と名付けたあのホテルの主は、今もまだ元気に壁を這っているのでしょうか。なんとも忘れがたい私の2026年・夏の思い出です。

(牛)