2026.07.02
スタッフコラム「早稲田松竹・トロピカル・ダンディー」byジャック
『まだまだ紹介したい! 私の好きな映画音楽 2026上半期 番外編』
このコラムでは、当館で上映した映画の中で使われていた私のお気に入りの音楽を主に紹介していましたが、今年は魅力的な音楽に出会うことが多く、なんだか豊作の予感(?)がしています。はっと気づけば早いもので今年ももう7月。紹介しそびれてしまったものを忘れないうちに上半期編として書き留めておきたいと思います。
アンドレア・アーノルド監督作の『バード ここから羽ばたく』(2月末上映)。アイルランドのバンドFontaines D.C.の「Too Real」という曲とともにスクーターで街中を走る冒頭のシーンにとても感動しました。スクーターの速さとともに現れては遠ざかっていく街の人々、感情的に歌を口ずさむメインキャラクターたちの疾走感に、あらゆるしがらみを飛び越えていこうとする意志のようなものを感じ、なんだか涙ぐんでしまいました。ロックのカッコよさを思い出させてくれたシーンでもあります。
ラウラ・シタレラ監督作『トレンケ・ラウケン』(5月上映)では、謎が謎を呼ぶような本編はもちろん素晴らしかったのですが、さらにもう一つ「一体どういうこと?」と思ったのがエンドロールの音楽です。どことなく宇宙的な雰囲気がありつつ、道中をうろうろしているような妙な悠長さを感じるユニークな曲が印象的でした。そして点滅したりしながら、不必要と思えるほど長い間スクリーンに映し出されるエル・パンペロ・シネのロゴ。さすがに記憶に残りますよね。音楽を担当しているのはアルゼンチンの作曲家Gabriel Chwojnikという人で、映画音楽の作曲家としては70以上の作品に携わっているかなりのベテランのようです。
そして最後はトークショーも開催しました、竹中直人監督の『無能の人』(6月上映)。35mmフィルムでの上映だったのですが、エンドロールの後にテーマソングに合わせて監督自らが歌っているバージョンが焼きつけてありました。「こころがちくちく痛い~」という歌詞が耳に残ります。音楽を担当したギターデュオ・ゴンチチのサントラ版には歌は含まれていなかったので、こちらのバージョンは映画を観た人の特権ですね。ちなみに竹中直人さんは音楽活動もしており、1990年代に発表したアルバムである『MERCI BOKU』『ERASER HEAD』が今年の3月に配信開始しております。ユーモアがありつつも、どことなく切なさを感じる素晴らしい音楽です。
さて、本当はまだまだ紹介したい音楽があるのですが今回はこの辺りでとどめておこうかと思います。予期せぬ出会いが多いので、映画から音楽を知ることはやはり楽しいことですね。下半期もできるだけ多くの音楽と出会えればなあと願っています。
Fontaines D.C. 『Dogrel』(2019)
『Trenque Lauquen (Banda Sonora Original)』(2024)
Gontiti『無能の人』(1991)
Naoto Takenaka 『Merci Boku』(1995)
Naoto Takenaka 『Eraserhead』(1998)
(ジャック)











