『ウォールフラワー』の主人公チャーリーは、
心に傷を抱え、孤独な高校生活を送る“壁の花”。
しかし、彼の生活は二人の“はみ出し者”との出会いで一変します。
自分の居場所を見つけた彼は、笑顔を取り戻し、恋をして、
ケンカをして、ちょっぴり傷ついて…
輝かしい青春の日々を送るのです。
『ムード・インディゴ』の主人公コランは、悠々自適な資産家。
しかし友人に次々と恋人ができ、
突然孤独を感じた彼は「僕も恋がしたい!」とパーティーに出かけます。
そこで出会ったクロエに一目で恋に落ち、結婚!
愛に満ちたバラ色の日々を過ごすのです。
「このまま時が止まってしまえばいいのに…」
観ているこっちまで幸せな気分になる毎日。
しかし、幸せな時間はそう長くは続きません。
二つの物語は思わぬ方向へ展開し、チャーリーとコランに大きな試練が訪れるのです。
はたして、彼らはそれを乗り越えることができるでしょうか?
二人の試練は、私たちにはなかなか訪れるものではありません。
それでも共感できるのは、
彼らが過ごした青春と、自身のそれとを重ねてしまうからでしょうか。
いつか必ず終わってしまうものだから、青春は淡く儚く美しい。
私たちはその先を生きている。
だからこそ、その時を愛おしく想い、なおさら切なく感じるのかもしれません。
今週の早稲田松竹は、『ウォールフラワー』と
『ムード・インディゴ うたかたの日々 ディレクターズカット版』の二本立て。
甘くて苦い青春映画をご用意いたしました。
胸がきゅっと締め付けられる、そんな物語を召し上がれ。
ムード・インディゴ うたかたの日々 ディレクターズカット版
L'ECUME DES JOURS
(2013年 フランス 131分 ビスタ)
2014年5月24日から5月30日まで上映
■監督・脚本 ミシェル・ゴンドリー
■脚本 リュック・ボッシ
■原作 ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」
■撮影 クリストフ・ボーカルヌ
■音楽 エティエンヌ・シャリー
■出演 ロマン・デュリス/オドレイ・トトゥ/オマール・シー/ガッド・エルマレ/アイッサ・メガ/シャーロット・ル・ボン/サシャ・プルドー/フィリップ・トレトン
舞台は、パリ。働かなくても暮らしていける財産で自由に生きていたコランは、無垢な魂を持つクロエと恋に落ちる。友人たちに祝福されて盛大な結婚式を挙げた二人は、愛と刺激に満ちた幸せな日々を送っていた。ところがある日、クロエが肺の中に睡蓮(すいれん)が芽吹くという不思議な病におかされる。高額な治療費のために働き始めたコランは、不可思議な人間関係に巻き込まれていく。クロエは日に日に衰弱し、コランだけでなく友人たちの人生も狂い始める。もはや愛しか残されていないコランに、クロエを救うことはできるのか…。
小説家ボリス・ヴィアンが、1946年に発表した「うたかたの日々」は永遠の青春小説として若者から熱狂的な支持を受け、フランスでは400万部を超える大ミリオンセラーとして読み継がれている。今もなお世界中の人々の心を奪い続けるこの物語の映画化が、『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』で、ピュアで切ないラブストーリーを幻想的な世界観で描き上げたミシェル・ゴンドリー監督により実現した。
キャストもフランスを代表する俳優陣が集結。コランに『真夜中のピアニスト』『PARIS(パリ)』のロマン・デュリス、クロエに『アメリ』『ココ・アヴァン・シャネル』のオドレイ・トトゥ。ほか、日本でもヒットを記録した『最強のふたり』のオマール・シーらが顔をそろえる。
カクテルを作るピアノ、恋人たちを運ぶ雲など、原作の独創的なイメージを次々と形にした映像は、まるで未来世界のおもちゃ箱を開くよう。さらに恋する二人のときめきがスクリーンからあふれ、観る者を至福に包んでいく。それだけに、やがて訪れる切ない運命に、息もできないほど胸を引き裂かれる。キュートで残酷、悲痛で幸せ。そんな相反する魅力を放つ、泡のように消えるからこそ美しい愛の物語だ。
ウォールフラワー
THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER
(2012年 アメリカ 103分 ビスタ)
2014年5月24日から5月30日まで上映
■監督・脚本・製作総指揮 スティーブン・チョボスキー
■製作総指揮 ジェームズ・パワーズ
■原作 スティーブン・チョボスキー「ウォールフラワー」(アーティストハウス刊/集英社文庫刊)
■撮影 アンドリュー・ダン
■音楽監修 アレクサンドラ・パッドサヴァス
■音楽 マイケル・ブルック
■出演 ローガン・ラーマン/エマ・ワトソン/エズラ・ミラー/メイ・ホイットマン/ポール・ラッド//ケイト・ウォルシュ/エリン・ウィルヘルミ/ジョニー・シモンズ
チャーリーは、小説家志望の16歳。入学初日にスクールカースト最下層に位置付けられた高校では、ひっそりと息を潜めてやり過ごすことに注力していた。ところが、そんな彼の生活は、周囲の学生たちとは関係のない「特別席」で、眩しいほどに輝いていた、陽気でクレイジーなパトリック、美しく奔放なサム兄妹との出逢いにより、一変する。初めて知る「友情」、そして「恋」。世界は無限に広がっていくように思えた。だが、チャーリーがひた隠しにする、過去のある事件をきっかけに、彼らの青春の日々は思わぬ方向へと転がり始める。
ただ生きているだけで心がときめき、ただ生きているだけで心が痛い。そんな青春の甘く苦い日々を、鮮やかに切り取った小説「ウォールフラワー」。1999年に刊行、「ライ麦畑でつかまえて」の再来と絶賛され、全米で社会現象を巻き起こした。この青春小説の金字塔ともいえる作品が、原作者スティーブン・チョボスキー自らが監督を務めることにより、待望の映画化を果たした。
主演に『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のローガン・ラーマン、共演には『ハリー・ポッター』シリーズー卒業後、初の大役となるエマ・ワトソン、『少年は残酷な弓を射る』のエズラ・ミラー。未来のハリウッドを担う若手スターたちの、等身大のみずみずしい演技が胸を打つ。
80年代後半から90年代初頭を物語の背景に、ザ・スミス、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ、ニュー・オーダー、ソニック・ユース、XTC、デヴィッド・ボウイらの名曲たちが全編を彩る。また、映画『ロッキー・ホラー・ショー』や、「アラバマ物語」「路上」など文学作品も多数登場。当時のカルチャーへの目配せも見逃せない点となっている。