人生をやり直す事は出来るのでしょうか。
過去の過ちや、叶わなかった願いは、取り戻す事が出来るのでしょうか。
激しく時代がうつりゆく中で人間はどう生き、どう死んでいくのか…。
秋の早稲田松竹は豪華絢爛! 大作二本立てをお送りします。
『華麗なるギャツビー』の時代、1920年代のアメリカは"狂騒の20年代"と呼ばれ、 第一次大戦後の産業発展で好景気の中にありました。 ギャツビーが栄光を手にした時代、それはアメリカの繁栄の始まりの時代でした。
ギャツビーは"ある過去の想い"を叶えるべく、権力を得、富を得て、豪邸で毎週末パーティを開き、アメリカ中のセレブを集め大騒ぎしています。しかしギャツビーがなぜ毎週末こんなに盛大なパーティを開くのか。そこに集まる人達は噂こそすれど、彼の生い立ちや素性を知る者は誰もいません。
この物語の鍵を握る男・ニックが語る、ギャツビーの"希望を見出す力"。そしてギャツビーを支えている"過去は繰り返せる"と言う信念。ニックは、金さえ積めば人の気持ちなどお構いなしの自分の周りの環境と対比して、時代が変わっていく中でも変わらぬギャツビーの想いに純粋さを見出します。最初は想いの為にニックを利用しようとしていたギャツビーですが、物語が終盤に向かうにつれて、彼にとってニックはかけがえの無い友となっていきます。
果たして、全てを手に入れているような男・ギャツビーが取り戻したい過去とは一体何なのでしょうか。
所変わってもう一本は19世紀初頭のフランス。『レ・ミゼラブル』の時代、フランスは目まぐるしく政体が変化していました。フランス革命後、貧困にあえぐ人々は自らの力で未来を変え、切り開くことを知り、自由と平等を勝ち取る為闘い続けました。そんな激動の最中、ジャンバルジャンを主人公にこの物語は動き始めます。彼もまた『華麗なるギャツビー』の主人公同様、過去を隠し、背負いながらも生きていく中で、様々な人との出会いや別れを通し、自分自身の人生のあり方を見出していきます。
『レ・ミゼラブル』は様々な登場人物にスポットライトが当たります。自由を求める者、愛する人の幸せを願う者、自分の正義を貫く者…誰一人置いていく事無く、哀しみや苦しみが観ている者を登場人物の一人にしていきます。 全てが絶望の中であっても明日を望み、希望を抱かずにはいられない人間の、今も昔も変わらない想いがこの物語のクライマックスへと繋がります。
今回の二本立ては、場所や年代、状況は全く違う物語ですが、時代の渦に巻き込まれどんな状況にあっても変わりたいと望む気持ち、そしてどの様な形であれ人を愛するという気持ちは、いつの時代も変わらないのだと気付かせてくれます。時を越えて語り継がれる名作を、劇場でお楽しみ下さい!
(kanae)
レ・ミゼラブル
LES MISERABLES
(2012年 イギリス 158分 ビスタ/SR)
2013年10月26日から11月1日まで上映
■監督 トム・フーパー
■原作 ヴィクトル・ユゴー(原作小説)/アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク(ミュージカル『レ・ミゼラブル』)
■脚本 ウィリアム・ニコルソン/アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク/ハーバート・クレッツマー
■撮影 ダニー・コーエン
■作詞 ハーバート・クレッツマー
■作曲 クロード=ミッシェル・シェーンベルク
■出演 ヒュー・ジャックマン/ラッセル・クロウ/アン・ハサウェイ/アマンダ・セイフライド/エディ・レッドメイン/ヘレナ・ボナム=カーター/サシャ・バロン・コーエン/サマンサ・バークス/アーロン・トヴェイト/イザベル・アレン/ダニエル・ハットルストーン
■2012年アカデミー賞助演女優賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞・音響賞(調整)受賞、作品賞・主演男優賞など5部門ノミネート/ゴールデン・グローブ作品賞(コメディ/ミュージカル)・男優賞(コメディ/ミュージカル)・助演女優賞受賞、歌曲賞ノミネート ほか多数受賞・ノミネート
1本のパンを盗んだ罪で投獄され、19年もの間服役したジャン・バルジャン。仮出獄するが、仕事も食べるものもなく、司教の家で再び盗みを働いてしまう。ところが、捕らえられた彼を司教は赦し、解放した。初めて人の真心に触れたバルジャンは改心し、過去を捨て、市長となって善を施し街を発展させ、人々に愛される存在となっていた。
そんな折、不思議な運命の糸で結ばれた女性ファンテーヌと出会い、彼女から愛娘コゼットの未来を託されたバルジャン。実は犯罪者である自分を執拗に追い続ける警視ジャベールの追跡をかわし、コゼットと共にパリに逃亡する。深い愛情を注がれ美しい娘に成長したコゼットは青年マリウスと恋に落ちるが、街は武器を手に蜂起する学生たちで溢れていた。19世紀フランスは、今まさに民衆が立ち上がり、革命という激動の時代を迎えていたのだ――。
1985年の初演以来、ロンドンで27年間にわたり上演が続き、今なおロングラン記録を更新し続けるミュージカルの最高峰『レ・ミゼラブル』。本作は、その舞台の興奮と感動を、超一級のキャストとスタッフの手によって丸ごとスクリーンに封じ込めて完全映画化。舞台版をこよなく愛するファンには歓びを、舞台を見たことのない観客には驚きを、そしてすべての人々に生涯忘れられない映画体験をもたらす至高の感動作だ。製作陣がこだわったのは、すべての歌を実際に歌いながら、生で収録する撮影方法。役者の感情のほとばしりがそのまま歌声となって溢れ出し、ミュージカルならではの醍醐味を堪能させてくれる。ロングヘアを切り落とし体当たりの演技をみせたアン・ハサウェイは、見事アカデミー賞助演女優賞に輝いた。
原作は、文豪ヴィクトル・ユゴーが1862年に発表した大河小説。多彩な登場人物の運命が交錯するドラマは、絶望的な環境にあってもよりよい明日を信じ、今日を懸命に生き抜く人々の姿をリアルなまなざしで描き出す。その中心にあるのは、様々な形で表現される「真実の愛」だ。離れて暮らす娘コゼットを思いやるファンテーヌの母の愛。バルジャンがコゼットに注ぐ無償の愛。コゼットがバルジャンに寄せる無垢な愛。コゼットと恋人マリウスの間に通い合う純愛。いくつもの愛のエピソードが、見る者の感情を揺れ動かし、忘れがたい名場面の数々を作り出していく。とりわけ胸に迫るのは、バルジャンとコゼットの血のつながりを超えた父娘の絆のエピソードだ。苦悩と葛藤に満ちたバルジャンの人生が、コゼットの存在によって報われ、未来へとつながっていくことを物語るラストには、誰もが涙を誘われずにいられないだろう。
華麗なるギャツビー(2D上映)
THE GREAT GATSBY
(2012年 アメリカ 142分 シネスコ)
2013年10月26日から11月1日まで上映
■監督・製作・脚本 バズ・ラーマン
■製作 キャサリン・マーティン/ダグラス・ウィック/ルーシー・フィッシャー/キャサリン・ナップマン
■原作 F・スコット・フィッツジェラルド
■撮影 サイモン・ダガン
■編集 マット・ヴィラ/ジェイソン・バランタイン/ジョナサン・レドモンド
■音楽 クレイグ・アームストロング
■出演 レオナルド・ディカプリオ/トビー・マグワイア/キャリー・マリガン/ジョエル・エドガートン/アイラ・フィッシャー/ジェイソン・クラーク/アミターブ・バッチャン/エリザベス・デビッキ
宮殿のような豪邸に暮らす、謎めいた男がいる。彼の名は、ジェイ・ギャツビー。どこから来たのか? どうやって大富豪になったのか? 仕事は何をしているのか? いったい何のために、毎夜のように豪華絢爛なパーティーを開くのか? 誰一人その答えを知らない。
「真実を話そう」と、ギャツビーは隣人のニックに、自らの生い立ちを打ち明ける。裕福な名家に生まれ、ヨーロッパで宝石や名画に囲まれた贅沢な暮らしを送った。戦争では数々の勲章を受けて英雄となり、両親が亡くなった今は天涯孤独の身…。出来すぎた話に、「彼は何かを隠している」と直感するニック。やがて、耳を疑う噂と危険な人脈、そして上流社会の女性との禁じられた恋が、少しずつギャツビーの華麗な仮面をはがしていく。ギャツビーがこの街にやって来た、本当の目的は? 果たして、彼が人生のすべてをかけた〈秘密〉とは―?
アメリカ文学を代表する20世紀最高の小説のひとつと称される、F・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』を基に、バズ・ラーマン監督(『ムーラン・ルージュ』、『ロミオ&ジュリエット』)が独自の解釈と想像力で新たに映像化した本作(※映像化は今回が5回目)。主演を務めたレオナルド・ディカプリオにとっては、『タイタニック』以来実に15年ぶりのラブストーリー。金髪碧眼の美貌と大人の魅力、巧みな演技力で主人公ギャツビー演じきり、圧倒的な存在感を放つ。ギャツビーの唯一の理解者、ニック・キャラウェイにトビー・マグワイア(『スパイダーマン』)、ギャツビーのかつての恋人、デイジーにアカデミー賞ノミネートのキャリー・マリガン(『ドライヴ』)ら、若手からベテランまで実力者が揃った。
セットや衣装など、細部までこだわり尽くした世界観には是非注目したい。プラダ、ミュウミュウ、ブルックス・ブラザーズの衣装、ティファニーのジュエリーは、ため息が出るような気品と輝きをスクリーンに与えた。また、JayZ、ビヨンセら超一流のアーティストが音楽に参加。ゴージャスで煌びやかな世界に酔いしれ、ミステリアスなストーリーの行方に息をのむ、極上のエンターテインメントが完成した!