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彼が何を思い、何をしようとしているのかはこちらの想像でしかない。
服装や仕草、話し方や微妙に変化する表情から彼の心情を推測する。
私が過去に見た、表面上の情報からできるだけ近いパターンを探り当て、
暫定的にそれをあてはめてしまう。
なぜなら、そのほうが手軽で何より楽できるからだ。
だから「お約束」には安心する。
すでに自分の内側で処理済みの刺激だからだ。

そんな中、まるであの「お約束」にしか見えないのに、
いつもとは違う感覚を得るものがある。
それはとても不気味なものだ。
自分の知っている「お約束」の偽物、それとも自分が見間違ってしまったのか。
異様なオーラとしか言いようがない。
表面上の情報からはそれを割り当てることができない。
その奇妙なものは一体何なんだ。

今週上映する「ドライヴ」「アニマル・キングダム」の設定には、
どこかで観たようなお馴染みのものを感じてしまうかもしれない。
しかし寡黙な主人公と登場人物がただ見つめあい、
そうかと思えば唐突に暴力的なものが映る「ドライヴ」や、
派手な銃撃戦やカーアクションもなく、
黙々と緊張感や危機感が充満していく「アニマル・キングダム」は、
私が慣れ親んだものとは何かが違う。
目に見えない、または触ることのできない水面下で、
秘密のやりとりが行われている。

だからこそ「ドライヴ」と「アニマル・キングダム」には妙な居心地悪さだけでなく、
後を惹く魅力がある。
まるで見えないパズルを渡されたかのようだ。
そしてそのパズルは自分を見つめ直す機会でもある。
自分の内部にある分類の枠が、
どれだけ強く固められているかを知ることができるからだ。

(ジャック)

アニマル・キングダム
Animal Kingdam
(2010年 オーストラリア 113分 PG12 シネスコ/SRD) 2012年6月30日から7月6日まで上映 ■監督・脚本 デヴィッド・ミショッド
■撮影 アダム・アーカポー
■音楽 アントニー・パートス

■出演 ジェームズ・フレッシュヴィル/ジャッキー・ウィーヴァー/ベン・メンデルソーン/ジョエル・エドガートン/ガイ・ピアース

■2011年アカデミー賞助演女優賞ノミネート/2011年ゴールデン・グローブ賞助演女優賞ノミネート/2010年サンダンス映画祭グランプリ(ワールド・シネマ部門)/2010年オーストラリア・アカデミー賞10部門受賞ほか多数

■オフィシャルサイト http://www.ak-movie.com/

身寄りのない少年が引き取られた祖母の家。
そこは、犯罪でしか生きられない野獣たちの王国だった…。

pic80年代のメルボルン。母の突然死で、疎遠だった祖母ジャニーンの家に引き取られた17歳の少年ジョシュア。だが、その家に住む親族は皆、強盗や麻薬売買など凶悪犯罪で生計を立てており、ジャニーンはそれを黙認し、陰ですべてを仕切っていた。それまで平凡だが真面目に暮らしてきたジョシュアもしだいに悪の道に引き込まれていくが、警察の特別捜査班は彼を一家から引き離し、その証言で一網打尽を狙う。

やがて、対警察との憎悪と復讐の連鎖の中で追い詰められた一家はしだいに自滅の道をたどり、一家に関わる者たちも取り返しのつかない悲劇に巻き込まれていく…。

クエンティン・タランティーノが年間ベスト3に選出!
全世界が熱狂したクライム・ドラマの最高傑作。

picサンダンス映画祭ワールド・シネマ部門グランプリやオーストラリア・アカデミー賞で作品賞ほか10部門を独占し、映画オタクとして知られる監督クエンティン・タランティーノが2010年の年間ベスト3の1本に選んだことでも話題となった本作。一家を影で束ねる祖母を演じたのは名女優ジャッキー・ウィーヴァー。その圧倒的な存在感で米アカデミー賞助演女優賞ノミネートなど数々の映画賞を受賞した。監督はこれが長編初監督作となる新鋭デヴィッド・ミショッド。

鮮烈なバイオレンスと狂気の中に描かれる、異形なる家族の愛と絆。そして、ある日突然、都会に潜む弱肉強食の“野生の王国”に放り込まれた一人の少年の葛藤と成長。実在の犯罪一家をモデルに巧妙な脚本と繊細な演出で描く、衝撃と感動に満ちたクライム・ドラマの新たなる傑作である。


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ドライヴ
DRIVE
(2011年 アメリカ 100分 R15+ シネスコ/SRD) 2012年6月30日から7月6日まで上映 ■監督 ニコラス・ウィンディング・レフン
■原作 ジェイムズ・サリス『ドライヴ』(ハヤカワ文庫刊) ■脚本 ホセイン・アミニ
■撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル
■音楽 クリフ・マルティネス

■出演 ライアン・ゴズリング/キャリー・マリガン/アルバート・ブルックス/オスカー・アイザック/ロン・パールマン/ブライアン・クランストン/クリスティーナ・ヘンドリックス

■第64回カンヌ映画祭監督賞受賞/NY批評家協会賞助演男優賞受賞/全米批評家協会賞助演男優賞受賞 ほか多数

■オフィシャルサイト http://drive-movie.jp/

疾走する、純愛――
この愛のためなら、誰でも殺せる。

pic昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手という2つの顔を持つ“ドライバー”。家族も友人もなく孤独に生きる男は、同じアパートに暮らす子連れの女性アイリーンと出逢い、一目で恋に落ちる。不器用ながらも徐々に魅かれあう2人だったが、ある日彼女の夫スタンダードが服役を終え帰還。更生を誓う夫を見たアイリーンは、家族を守る選択をするのだった。

しかし、服役中の用心棒代として、多額の借金を負ったスタンダードは、妻子の命を盾に強盗を要求されていた。スタンダードを組織から足抜けせるため、犯行を手伝うことになったドライバーは、次第にマフィアの罠に絡め取られてしまう。愛する人を守るため、ドライバーは裏社会を相手に危険な闘いを仕掛けていくが――。

世界が絶賛!
制限速度オーバーの最高にクールな
超絶クライム・サスペンス!

カンヌ国際映画祭監督賞をはじめ、世界中のメディアから絶賛の声を寄せられるこの傑作を生み出したのは、“ラース・フォン・トリアー以来、最大の成功を収めた映画監督”の異名をもつデンマーク出身の鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン。映画史上類をみない寡黙でクールな主人公“ドライバー”には、『君に読む物語』『ブルーバレンタイン』などいまや人気がうなぎのぼりのライアン・ゴズリング。今までのイメージとは打って変わった難役に挑み、キャリア最高の演技を披露した。また、相手役に『わたしを離さないで』のキャリー・マリガンが扮するほか、アルバート・ブルックスやロン・パールマンなど、魅力的な個性派俳優が脇を固めている。

徹底的に贅肉を削ぎ落とした演出で、愛する人を守るため1人闘いに身を投じるドライバーの孤独を、時に衝撃的なまでに情感豊かに描き出す。静謐さとバイオレンス、計算し尽くされた映像美と本能に訴えかけるサウンドが美しく融合し、ここに激しく心揺さぶる新たな愛の物語が誕生した。



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