女はみな女優だと言います。
有名人であろうとなかろうと、誰しもが“素顔”を持っているもの。
豪華絢爛なステージで、暗闇に浮かび上がるスクリーンで輝き、
世界に愛された永遠のスター、マリリン・モンロー。
非常に強硬な政治方針と信念から「鉄の女」の異名を取った、
英国史上初、そして唯一の女性首相、マーガレット・サッチャー。
スポットライトの陰には、そんな彼女たちの等身大の姿がありました。
恋人として、母として、妻として、ひとりの女性としての――。
劇中で彼女たちを演じる二人の女優。
『マリリン 7日間の恋』には、今最も旬の実力派若手女優、ミシェル・ウィリアムズ。
『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』には、
代表作を挙げればとても書ききれない超大女優、メリル・ストリープ。
二人の熱演はどちらも「アカデミー賞最有力!」「大本命!」と謳われ、
まるで火花が散るような激しい賞レースを巻き起こしました。
ミシェルのしなやかな一挙一動は、いつか映画やテレビで観たマリリンそのもの。
あまりの美しさに、思わずうっとりと見とれてしまいそう。
若きサッチャーの力漲る首相時代、老いて記憶を失いゆく現在の姿をたくみに演じ分けたメリル。
その圧巻の演技には、女優としての自信と誇りすら感じられるほどです。
けれど面白いのは、彼女たちが単なるそっくりさんではないということ。
そっくりなだけで良いのなら、他にもっと似た人がいるでしょう。
ところが、きっと女優であるということは、似ているというだけではないのです。
涙に濡れ、化粧もままならず、苦悩に打ちひしがれるマリリンの姿が、
とてもミシェルらしくみえて、やはりマリリンその人である、というように。
心まで染まって、言葉のひとつひとつまで、魂を宿らせて。
いかに本物らしいかではなく、いかに本物であるかということが、
私たちを魅了する秘訣なのかもしれません。
マリリンとサッチャー。
彼女たちの舞台裏を、ミシェルとメリルという最高峰の女優たちが演じます。
奇跡的に豪華な四重奏を、是非お楽しみください。
マリリン 7日間の恋
MY WEEK WITH MARILYN
(2011年 イギリス・アメリカ 100分 シネスコ/SRD
)
2012年9月29日から10月5日まで上映
■監督 サイモン・カーティス
■原作 コリン・クラーク『マリリン・モンロー 7日間の恋』(新潮文庫刊)
■脚本 エイドリアン・ホッジス
■撮影 ベン・スミサード
■音楽 コンラッド・ポープ
■出演 ミシェル・ウィリアムズ/ケネス・ブラナー/エディ・レッドメイン/ ドミニク・クーパー/ジュリア・オーモンド/ゾーイ・ワナメイカー/ダグレイ・スコット/エマ・ワトソン/ジュディ・デンチ
■アカデミー賞主演女優賞・助演男優賞ノミネート/ゴールデン・グローブ女優賞受賞・ほか2部門ノミネート/インディペンデント・スピリット賞主演女優賞受賞 ほか多数
1956年、ハリウッドスターにして、世界のセックス・シンボルと讃えられるマリリン・モンローが、イギリスに降り立った。ローレンス・オリヴィエが監督兼共演となる新作『王子と踊り子』の撮影のためだ。だが、プレッシャーからマリリンは何時間も撮影に遅刻するようになり、オリヴィエの怒りを買ってしまう。
撮影が大幅に遅れて切羽詰まったオリヴィエに、マリリンの見張り役を命じられた下っ端の第三助監督コリン・クラークが、彼女の様子を見に行くと、そこには不安に怯えきったマリリンがいた。彼女は撮影の不安や淋しさを打ち明け、コリンは正直にそれに答えた。以来マリリンは彼を頼るようにになり、コリンは自分だけに弱みを見せるマリリンに、思いやりと恋心の混ざった複雑な気持ちを募らせていく。やがて二人は秘密の小旅行に立ち、人として男と女として深く心を交わすのだが――。
この世界が、奇跡のように美しいひとりの女性を失ってから、早50年。観る者を魅了する天性の才に恵まれた女優として、今なお愛され続けている世紀のスター、マリリン・モンローだ。一方で、その謎の死に至るまでの私生活が暴かれ、誰もが彼女の36年間の生涯はすべて白日の下にさらされたと思っていた。ところが――マリリンにはまだ、誰も知らない秘密があった。スキャンダルではなく、彼女の人生で最もピュアなロマンスだ。この切なくも儚い7日間の恋を告白したのは、マリリンが主演した『王子と踊り子』の第三助監督だったコリン・クラーク。40年余、彼が自分の胸だけに秘めてきた実話を初めて発表した回顧録が映画化、マリリン没後50年となる2012年に捧げる艶やかな花束となった。
マリリンを演じるのは、『ブロークバック・マウンテン』『ブルーバレンタイン』でアカデミー賞にノミネートされたミシェル・ウィリアムズ。華麗なセレブと繊細な少女の二つの顔を見事に体現、全米マスコミからオスカー大本命と絶賛された熱演にご注目!
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
THE IRON LADY
(2011年 イギリス 105分 シネスコ/SRD)
2012年9月29日から10月5日まで上映
■監督 フィリダ・ロイド
■製作 ダミアン・ジョーンズ
■脚本 アビ・モーガン
■撮影 エリオット・デイヴィス
■音楽 トーマス・ニューマン
■出演 メリル・ストリープ/ジム・ブロードベント/オリヴィア・コールマン/ロジャー・アラム/スーザン・ブラウン/ハリー・ロイド/アレクサンドラ・ローチ
■アカデミー賞主演女優賞・メイクアップ賞受賞/NY批評家協会賞女優賞受賞/ゴールデン・グローブ女優賞(ドラマ)受賞/英国アカデミー賞主演女優賞・メイクアップ&ヘアー賞受賞、助演男優賞・オリジナル脚本賞ノミネート/放送批評家協会賞主演女優賞・メイクアップ賞ノミネート ほか多数
雑貨商の家に生まれたマーガレットは、市長も務めた父の影響で政治を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャーがプロポーズする。「食器を洗って一生を終えるつもりはない」野心を隠さないマーガレットを、デニスは寛容に受け入れる。
双子にも恵まれ、幸せな家庭を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。失墜した英国を再建する。それは気の遠くなるような闘いだった。だが、彼女はその困難に立ち向かう。愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、たった一人で闘い続けた。深い孤独を抱えたまま――。
英国史上初、かつ唯一の女性首相マーガレット・サッチャーは、その強い念により、当時の封建的な男社会の中でも、強力なリーダーシップを発揮した。フォークランド紛争での勝利、労働組合制度の改革、低迷する財政の立て直し、国内のみならず、世界中に影響を与え続け、<鉄の女>と呼ばれていた。しかし、そんな彼女も家に帰れば母で、妻だった。
在命ながら歴史にその名を残す女性リーダーを演じるのは、映画界が誇る最高のスーパースター、アカデミー賞常連女優メリル・ストリープ。夫デニスを演じるのは同じくアカデミー賞俳優ジム・ブロードベント。監督はメリル主演作『マンマ・ミーア!』を世界的大ヒットに導いたフィリダ・ロイド。これは単なる偉人伝ではない。妻として、母として、国のリーダーとして力の限り闘い続けたひとりの女性、<鉄の女>の真実の姿を描く、感動の物語である。