これぞ日本人の心!これぞ日本映画の真髄!

飽和した現代のメディアの中でこの2本のような「愛ある映画」に出会えることは滅多にないはずだ。
愛とは勿論恋愛のことではなく人類愛のことを指すが、作品を通して自分が日本人であることを、
または人間であることをこれほどまでに誇りを思えることが、この先幾つとあるだろうか?

誠に、この2作品に登場する人物達の発言、行動には感心してしまう。
本当に私たちと同じ日本人なのだろうかとさえ思えてしまうほどだ。
しかし、こういった警告とも言える作品達が世に出てきたということは、
今の我々を含む社会がそれだけ病んでいるという証拠なのかもしれない。

価値観の基準は自分の信念から来るのではなく、世間に委ねる人々。
自分の利益のために生き、自己防衛のための人との交流。
我々はこうした現代の闇に埋もれ、美徳を見失い、醜い姿を露にしている。

だからこそ、今、確固たる精神が必要なのである。
一人一人が自分の中に確固たる精神を築き、愛ある生き方をしていかなくてはならない。
今回はまさにそうした潔い、責任のある生き方を学ぶのには格好の2本立てである。

戦争の悲惨さはもちろんのこと、今作はそれに加え、誇りと品格を持った人々を感じて欲しい。
そうすればきっと我々が見失ってしまった大切なものも見えてくるはずだ。

紙屋悦子の青春
(2006年 日本 113分)
2008年8月9日から8月15日まで上映 ■監督・脚本 黒木和雄(『父と暮せば』
■脚本 山田英樹
■出演 原田知世/永瀬正敏/松岡俊介/本上まなみ/小林薫

■オフィシャルサイト http://www.pal-ep.com/kamietsu/

『父と暮せば』から2年。世代を超えて多くの人々の心に平和と感動を与え続けてくれた映画監督・黒木和雄の最後の作品!

「戦争レクイエム」3部作など、戦争の悲劇の中でも力強く生きる庶民の日常を描き続けた巨匠・黒木和雄の遺作となった本作は現代を生きる人々に「戦争」という決して忘れてはならない記憶を熱く問いかける。

敗戦を間近に控えた鹿児島の田舎町、春の咲き誇る桜の樹の下で海軍航空隊に所属する2人の若者は美しく純朴な娘に恋をし、娘も又、初めてのときめきに胸焦がす。それはいつの時代にも存在する青春の一ページ。

しかし、燃え尽きつつある戦争の業火は、特攻隊に志願した若い命を呑み込み、生き残った者の心にも生涯消えない傷痕を刻み込んでいく…。

原作は岸田國士戯曲賞・読売文学賞などを受賞した今、最も注目される劇作家・松田正隆氏の傑作戯曲。前作『父と暮らせば』で演劇の見事な映画化に成し遂げた黒木監督は本作でも原作を忠実に再現しつつ、映像的な表現で新たな生命を吹き込んだ。

ヒロイン・紙屋悦子役には『時をかける少女』『サヨナラCOLOR』などで出演する度に話題騒然の女優・原田知世。彼女を愛する海軍航空隊・永与少尉には『隠し剣 鬼の爪』で記憶にも新しい永瀬正敏、特攻隊に志願する永与の盟友・明石少尉には映画からテレビまで幅広く活躍する松岡俊介が扮し、悦子を見守る兄夫婦役に小林薫と本上まなみと豪華な俳優陣が出揃う。

あの時代を生きた若者たちに捧げるレクイエム。
今の時代を生きる若者たちに捧げるメッセージ。

黒木和雄監督の愛がいっぱい詰まった遺作をこの機会に是非!


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明日への遺言
(2008年 日本 110分)
pic 2008年8月9日から8月15日まで上映 ■監督・脚本 小泉堯史(『博士の愛した数式』
■脚本 ロジャー・パルヴァース

■ナレーション 竹野内豊
■出演 藤田まこと/ロバート・レッサー/フレッド・マックィーン/リチャード・ニール/富司純子/西村雅彦/蒼井優/近衛はな/田中好子

■オフィシャルサイト http://www.ashitahenoyuigon.jp/

日米の心を揺さぶった感動の実話。戦犯裁判において、信念を貫き誇り高く生きた一人の男・岡田資(たすく)とその家族との深い絆の物語。

第二次世界大戦終了後、元東海軍司令官・岡田資中将とその部下20名は名古屋における一般民衆への無差別爆撃を実行した米軍搭乗員を正式な審理を行わずに処刑した罪で戦犯裁判にかけられていた。

裁判を実施するのは岡田中将の弁護人フェザーストンをはじめ、全て戦勝国のアメリカ人。しかし、岡田中将は自分の信念を曲げることなく、すべての責任は指令を下した自分にあると主張し、法における戦い「法戦」と名付け最後までたった一人立ち向かった。

部下を守り、家族との深い絆で結ばれている岡田中将の姿は次第に敵国の検事や裁判官をはじめ法廷内のすべての人の魅了し、心を動かしていく。そして判決の日…。

岡田中将が確固たる信念で命を懸けてまで伝えたかったこと、守り抜きたかったものとは一体なんなのか?

企業汚職、政治腐敗が絶えない現代の日本に痛烈に突き刺さる問題提起。リーダーの品格、人間の品格を見失った我々に先祖が残してくれた大きな遺言。この希望の光を我々の代で絶やしてはなるまい。

日米実力派俳優の競演!日本映画界屈指の技術が集結!

「この役に運命を感じる」と力強い意気込みで挑んだ藤田まことをはじめ、06年「フラガール」で助演女優賞を受賞した富司純子、蒼井優、西村雅彦、田中好子などの熱演に胸を打たれる。また、米国弁護人のフェザーストン役にはロバート・レッサー、バーネット主任検察官にはあのスティーヴ・マックィーンの息子、フレッド・マックィーンとスター性溢れる外国人俳優がスクリーンに輝きを放つ。

さらに、監督には『雨あがる』から『阿弥陀堂だより』『博士の愛した数式』と、国内外で数々の賞を受賞している小泉堯史。

音楽には加古隆、主題歌には「涙そうそう」「さとうきび畑」などの国民的大ヒットを手掛ける森山良子。また、撮影には上田正治、録音には紅谷愃一、照明には山川英明、美術には黒澤和子と、日本映画界が誇る技術が総集結した。

まさに日本映画の一級品!お見逃しのないように。


〈ローラ〉

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