間宮兄弟
(2006年 日本 119分)
2007年3月31日から4月6日まで上映
■監督・脚本 森田芳光
■原作 江國香織
■出演 佐々木蔵之介/塚地武雅(ドランクドラゴン)/常盤貴子/沢尻エリカ/北川景子/戸田菜穂
■オフィシャル・サイト http://www.mamiya-kyoudai.com/
間宮明信と徹信は30代になっても同居を続ける仲良し兄弟。同じ趣味を共有し、借りる映画を一緒に選んだり、その映画を一緒に見たり、一緒に昼寝したり、一緒に夕飯の買い物に行ったり、一緒に食事したり、一緒に銭湯にいったり、一緒に横浜ベイスターズの応援したり、そして夜寝る前には反省会。毎日の一喜一憂を共に分かち合う間柄。下手なその辺りのカップルよりもよっぽど仲がいい、それが間宮兄弟。
そんな超内向的兄弟はやっぱりさっぱりモテない。それでもモテたい二人はカレーパーティーにそれぞれちょっと気になる女性を招待してみる…。
良い歳してこれだけ仲が良いオタク兄弟は正直キモイだろう。でも不思議なことに映画というフィルターを掛けてあげれば、ちょっと変わった面白い兄弟に変化する。そのフィルターが森田芳光の手によるものだから更に面白い。
普通の人達が普通に暮す日常も、森田芳光が演出することによって、日常と酷似したパラレルワールドに変化する。一見、普通に思える事でも、ちょっと視点を変えるだけで、変わった世界が見えてくる。『の・ようなもの』『家族ゲーム』など初期森田作品が得意とした日常にとてもよく似た非日常。『間宮兄弟』は間違いなく初期森田作品の匂いがする。
なんてことない日々も視点を少しズラしてやるだけで、今までよりも少し楽しい日常が見えてくるはず。
(縞馬)
手紙
(2006年 日本 121分)
2007年3月31日から4月6日まで上映
■監督 生野慈朗
■原作 東野圭吾 『手紙』(毎日新聞社刊)
■脚本 安倍照雄/清水友佳子
■出演 山田孝之/玉山鉄二/沢尻エリカ/吹石一恵/尾上寛之/田中要次
■オフィシャル・サイト http://www.tegami-movie.jp/
誰かを強く思いすぎることで、その誰かを苦しめることになってしまった時、人はどれほどの後悔の念に打ちひしがれるのだろう。また、深く愛されたがゆえに辛酸を舐めざるをえない者の怒りの矛先は、何処に向けたら良いのだろう。
弟・直貴の大学進学資金を稼ぐため、兄・剛志は体を壊してしまうほど必死になって働いた。とうに働ける体ではなくなっている。だが弟には自分のように落ちぶれた人生を歩んで欲しくない。成す術を失った剛志は我を忘れ窃盗に手を染めてしまう。そして、盗みに入った邸宅で誤って老婆を殺してしまったことにより、二人の、そして周りの人々の人生の歯車が大きく狂い始める。もとはといえば自分の学費の為に罪を犯してしまった兄である。心から憎むことなどできない。刑務所から毎月届く兄の手紙に丁寧な返事を書き続ける直貴。しかし、殺人犯の兄の存在のせいで掴もうとする幸せをことごとく奪われていくことに限界を感じ、ついに直貴は決別の手紙を書く。
毎日新聞日曜版で1年以上にわたり連載されて大反響を呼んだ東野圭吾原作・同名社会派小説の待望の映画化。監督は「3年B組金八先生」「Beautiful Life」などのドラマを手掛けてきた生野慈朗。山田貴之、沢尻エリカら若手実力派俳優による好演によりミリオンセラーとなった小説版に引けをとらない出来に仕上がっている。特に、兄・剛志役の玉山鉄二の演技が印象的で、台詞こそ少ないものの、表情や仕草で喜怒哀楽を見事に表現している姿は必見。ラストシーンはもう涙が止まらない。
(タカ)