背が高く、長い手足。細身で余計なものをすべて削ぎ落とした鍛えられた身体は、
彼の役者に対する真髄をあらわしていた。
松田優作、享年41。あまりに早すぎる死だった。

『太陽にほえろ』(TV)での殉職シーンはあまりにも有名だ。
一度観たら忘れることができない。
ジーパン刑事の最期の台詞は優作のアドリブだったという。
若きアクションスターしての彼がそこにいた。

その後の『探偵物語』(TV)でアクションだけではなく、
ユーモアのセンスを備えた演技で人気を不動のものにした。
そして徐々に役者としての幅をひろげてゆく。

松田優作は個性派の役者として、アクションスターだけには留まらなかった。
常にストイックに前へ進む姿は、人の心をつかんでやまない。
しかし、『家族ゲーム』から6年後、映画としては『ブラック・レイン』の
出演を最後に1989年、この世を去る。

今、彼の息子達が役者の道を歩んでいる。彼の強いまなざしと、彼とは違ったやわらかい佇まいで。

ひとりの役者のその軌跡の一端を、この機会に是非スクリーンで観ていただきたい。
松田優作。素敵なゲームをありがとう。そして、素敵な映画をありがとう。

最も危険な遊戯
pic 2007年7月28日〜8月3日まで上映
(1978年 89分 日本)
■監督 村川透
■脚本 永原秀一
■助監督 崔洋一
■出演 松田優作/田坂圭子/荒木一郎/内田朝雄


ここから遊戯は、はじまった。遊戯シリーズ第一作目。ハードボイルドアクションなのである。殺し屋・鳴海昌平がなにもかもを敵にまわし、たったひとりで戦う。冒頭こそコミカルではあるが、見所はやはり彼のアクションシーンである。走る、構える、殴る、などなどの松田優作を堪能していただきたい。そのひとつひとつの、身のこなしを。

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家族ゲーム
pic 2007年7月28日〜8月3日まで上映
(1983年 106分 日本)
■監督・脚本 森田芳光
■原作 本間洋平
■出演 松田優作/伊丹十三/由紀さおり/宮川一朗太/辻田順一


森田芳光監督作品である。なんのことはない日常、ありふれた家族。しかし、奇妙なのだ、すべてが。高校受験を控えた息子のために両親は家庭教師を雇うのだが…。横一列に並んで食事をとる、家庭教師はなぜか植物図鑑を持っている、鳴り響く現実の音。それはへんてこなリアル。奇妙な日常。

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(ロバ)