カーテンコール
(2004年 日本 111分)
2006年4月29日から5月5日まで上映 ■監督・脚本 佐々部清(『半落ち』
■出演 伊藤歩 / 藤井隆 / 鶴田真由 / 奥貫薫

(C)「カーテンコール」製作委員会

昭和30年代、映画と映画の幕間に、ものまねをしたり、ギターを弾いて歌を唄ったりして、観客を楽しませる芸人さんがいた。素朴だけどおもしろい、みんなの人気者・幕間芸人。しかし、映画館の減少と共に、彼らもその姿を消してゆく。

pic東京の出版社で契約記者として働く25歳の香織は、スクープをものにし順風満帆のはずだった。しかし、突然のトラブルで地元・下関に近い福岡のタウン誌に異動を命じられてしまう。そこでの仕事は読者が投稿してきた<懐かしのマイブーム>の取材。そして、届いた一通の葉書。それは、「昭和30年代終わりから40年代中頃まで下関の映画館にいた幕間芸人を探して欲しい」というものだった。

これは昭和と今を結ぶ、ふたつの父娘の物語。

pic香織は幕間芸人として生きてきた1人の男を探していくうちに、その男・安川修平の家族へとたどり着いてゆく。そしていつしか、安川修平とその娘に、疎遠になっていた父と自分との関係を重ね合わせていった。

昭和の懐かしい空気に包まれて、その時代にどこにでもあった小さな映画館“みなと劇場”を舞台に、時に哀しく、複雑な想いを抱きながら、優しく強く人と人とがつながりはじめる。

(ロバ)


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空中庭園
(2005年 日本 114分)
pic 2006年4月29日から5月5日まで上映 ■監督・脚本 豊田利晃(『青い春』『ナインソウルズ』)
■原作 角田光代『空中庭園』(文藝春秋刊)
■主題歌 UA「この坂道の途中で」

■出演 小泉今日子 / 鈴木杏 / 板尾創路 / ソニン / 大楠道代

(C)2005「空中庭園」製作委員会

子供の頃、「団地」と呼ばれる場所に憧れた。クラスにいる「団地育ち」の子達は、他のクラスメイト達よりも不思議な結束力があって、親戚同士のように仲が良かったから。自分の住んでいる場所と、友達の住んでいる場所が階段でつながっていて、会いたくなったら階段を上ったり降りたりすればいい。その距離感に、夢が膨らんだ。

pic蜂の巣みたいな東京郊外の集合住宅。ニュータウン。乾いた空気と白々しい空。『空中庭園』の舞台になる「団地」の中に子供の頃憧れた暖かみは微塵も無かった。そもそも舞台となる団地の中に、「お隣さん」なる存在が一切登場しない。おびただしい数の人間が密集してるはずなのに、外界から完璧に遮断されたような高層マンションの一室で、ありふれた幸福な日々を送る京橋家。小泉今日子演じる主人公の京橋絵里子は、そのマンションのベランダをそこがまるでこの世で唯一の美しいユートピアにすべく、綺麗な花やら植木やらでいっぱいにする。

pic「何事も包み隠さず、タブーを作らず、できるだけ全てのことを分かち合う。それが私たち家族の決まり」という京橋家のルールのもと、絵理子は娘、マナ(鈴木杏)に自分の出生現場はどこかと聞かれれば、ラブホテルの「野猿」であるとけろりと答える。家族のあまりにもオープンな姿勢に疑問を抱き始めるマナ。しかし彼女には家族に内緒で登校拒否を続けているという秘密があった。父・貴史(板尾創路)には二人の愛人がいるという秘密、弟のコウ(広田雅裕)はそのうちの一人の愛人と、マナの出生現場でもあるラブホテルへ行ったという秘密。そして、ルールの一番の提案者でもある絵里子にも、家族にどうしても言えない秘密があった。やがて京橋家は観覧車がゆっくりと回転するように、静かに壊れていく。

「家庭の崩壊と再生の物語」と言えば聞こえはいいが、本作はそんなに優しいものではない。普通の家庭が孕む問題を「そこまでやるか」というくらい生々しく描いている場面もあるし、観終わってからしこりの残る場面もある。すっきりと解決できないから現実をより感じさせる、と言ってしまうと陳腐だが、わだかまりを抱えたままでも繋がれる磁力を持ってこそ本当の家族と言えるのだと思う。

(ロコ)



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