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アメリカン・フィルム・インスティチュートが2000年に発表した、“アメリカが生んだ最も素晴らしいラブストーリーベスト100”の第4位に選ばれ(ちなみに1位は『カサブランカ』。以下『風と共に去りぬ』『ウエスト・サイド物語』と続きます)、世紀を超えて世界中の人々に愛され続けている恋愛映画の最高傑作。あの『ローマの休日』が、デジタル・ニューマスター版で早稲田松竹に登場します。

今回のデジタル・ニューマスター版では、古いフィルムの劣化した部分に、気の遠くなるような細かい修復作業が施され、明るさやコントラストなどが全般に補正されています。これまで私たちが目にしてきたものよりも、はるかに鮮明で美しい映像を取り戻し、監督のウィリアム・ワイラーが当初意図したとおりの作品へと見事に甦りました。モノクロ・プリントだからこその洗練された雰囲気や、『ローマの休日』の大きな特徴ともいえる、役者たちのクローズアップ場面のみずみずしさ、生き生きとした表情を心ゆくまで堪能することができます。

本物の感動は、スクリーンでしか味わうことができません。年末年始のご予定はもうお決まりですか?この機会に、暗くなった劇場の椅子に深く身をうずめて、大切な人と一緒に心ゆくまで味わってください。

★併映は『ノッティングヒルの恋人』です。

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ノッティングヒルの恋人
NOTTING HILL
(1999年 アメリカ 123分)
2005年12月24日から2006年1月6日まで上映 ■監督 ロジャー・ミッシェル
■脚本 リチャード・カーティス(『ラブ・アクチュアリー』『ブリジット・ジョーンズの日記』)

■出演 ジュリア・ロバーツ/ヒュー・グラント/リス・エヴァンス/ジーナ・マッキー/ティム・マキナニー/エマ・チャンバース/ミーシャ・バートン

(C)PolyGram Holding Inc.

憧れの人を前にして、何か自分をアピールするような、気の効いた話をしようとしてみても、有頂天になるあまり結局口に出たのはつまらない話ばかり。そしてその場を離れてから、自分のバカさ加減にほとほとあきれてしまう。そんな経験ありませんか?

pic『ローマの休日』の現代版と言うべきか、ハッピーエンディング版と言うべきか。年末年始の『ローマの休日』併映作品は『ノッティングヒルの恋人』に決まりました。ハリウッド女優と平凡な街の本屋さんの恋、という、こちらも典型的なロマンチックラブコメディですが、これが意外にもなかなかの快作です。

何が良いって、脇役です。脚本のリチャード・カーティスがかつて手掛けた『ブリジット・ジョーンズの日記』も、ブリジットの個性的な友人たちが魅力的でしたが、本作も人間味溢れる友人たちが生き生きと描かれます。株取引の仕事をしているのに駆け引き下手なバーニー、料理好きなのに料理下手なマックス、その美しく聡明な妻で、車椅子の生活をしているベラ。ウィリアム(ヒュー・グラント)はかつてベラに想いを寄せていましたが、そんなことも今やネタ。見栄も外聞もなく「誰が一番惨めか」競争なんてしてしまえる友人関係、観ていて羨ましくなります。

そして、この友人たちよりも一際素晴らしいのがルームメイトのスパイク(『ヒューマン・ネイチュア』のリス・エヴァンス)!正直、主役の二人よりも、リス・エヴァンスをずっと見ていたいくらいです。いえもちろん主演の二人も良いんですけどね。

pic『ローマの休日』がローマの観光映画であるように、『ノッティングヒルの恋人』もウエストロンドン、ノッティングヒルの観光映画と言えます。ヒュー・グラントがポートベロー・マーケットを歩きながら、だんだん季節が変わっていくシーンがすごく印象的。アメリカ映画ですが、ウイットに富んだ台詞や、少しずらした独特の間、皮肉っぽさなど、まるでイギリス映画の雰囲気です。対照的な結末を迎える『ローマの休日』と『ノッティングヒルの恋人』、あなたのお好みはどちらですか?


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ローマの休日 製作50周年記念デジタル・ニューマスター版
ROMAN HOLIDAY
(1953年 アメリカ 118分)
pic 2005年12月24日から2006年1月6日まで上映 ■監督・製作 ウィリアム・ワイラー
■原作 ダルトン・トランボ(イアン・マクレラン・ハンター名義)
■脚本 ダルトン・トランボ(イアン・マクレラン・ハンター名義)/ ジョン・ダイトン / イアン・マクレラン・ハンター

■出演 オードリー・ヘプバーン / グレゴリー・ペック / エディ・アルバート/テュリオ・カルミナティ/パオロ・カルソーニ

■1953年アカデミー賞3部門受賞(主演女優賞/原案賞/衣装デザイン賞(白黒))/作品賞ほか7部門ノミネート
■オフィシャルサイト http://www.roman-holiday.jp/

Copyright (c)1953 Paramount Pictures Corporation. All rights Reserved. TM. (R) Copyright (c)2003 by Paramount Pictures. All rights Reserved.

モノクロ映画なのに、観終わって思い返すと何故か色が見えてきます。色だけではなく、感触や、温度まで。鮮やかな白黒映画、名作中の名作『ローマの休日』、デジタルニューマスター版で上映です。

「世界の恋人」「世紀の妖精」と謳われたオードリィ。米メジャー系映画の初出演となる本作で、いきなりのアカデミー賞主演女優賞という快挙を成し遂げました。本当にどこかの国の王女様にしか見えないオードリィですが、この映画で忘れてはならない人がもう一人います。

それが脚本・原案のダルトン・トランボ。『ローマの休日』は、当初フランク・キャプラが監督する予定でした。しかし1947年、いわゆる「赤狩り」の嵐が吹き荒れたアメリカで、トランボはハリウッドを追放され、キャプラは映画化を断念。かねてから赤狩りに対し抵抗し、批判的な立場を取ってきたウィリアム・ワイラーが、51年、あえて映画化に踏み切りました。

1960年の『栄光の脱出』で再び名を公表するまで、偽名や他人の名前を使って脚本を書き続けたトランボが、『ローマの休日』の脚本を担当していたことを公表したのは1993年になってからです。ボーイ・ミーツ・ガール型のロマンス映画の名作ですが、その脚本にはさまざまな人のさまざまな思いが注がれているのです。

pic大戦終結からまだ10年と経っていない1952年当時、多くの人たちが異国に憧れていると睨んだワイラーは、映画に観光的な要素も取り入れようと心がけました。アメリカ映画にとって初めての本格的な海外ロケ作品でもあります。いまだにローマの観光は、この映画に登場した場所が売りになっているのですから、褪せない名作とはまさにこのこと。2005年の映画納め、2006年の映画初めは特選名画劇場・早稲田松竹へ!

(text by mana)



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