アメリ
LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN
(2001年 フランス 120分)
2005年3月19日から3月25日まで上映 ■監督・脚本 ジャン=ピエール・ジュネ
■脚本 ギョーム・ローラン
■音楽 ヤン・ティルセン

■出演 オドレイ・トトゥ/マチュー・カソヴィッツ/ドミニク・ピノン/ヨランド・モロー

■2001年アカデミー賞5部門ノミネート(脚本賞・外国語映画賞・撮影賞・美術賞・音響賞)

(C)ALBATROS,LTD.2001

好きなこと→映画を観てる他人の顔をこっそり覗くこと、クレームブリュレのカリカリした焦げ目をスプーンで壊すこと、食料品店の豆袋に手を入れること、サンマルタン運河で水切りすること。

pic子供の頃から空想の世界が一番の遊び場だったアメリは、モンマルトルのカフェで働いて一人暮らししながら、それなりに楽しい毎日を送っています。でもアメリは自分に欠けているものの存在に気づいていました。それはつまり、自分は他人とうまく関係を結ぶことができないということ、人生に対してまるで引込み思案だということです。

picある日、ひょんなことから他人の人生に介入する喜びを知ったアメリは、次々と(お節介とも言える)いたずらを仕掛けて回ります。ちょっとだけだけど、自分が他の人を幸せにできるという事実に、初めて世界と調和できたような気持ちになれるアメリでしたが、自分の幸せには相変わらず無頓着。ニノという青年に半ば一目惚れ的に恋に落ちても、なかなか現実と向き合うことができなくて…

他愛のないストーリーと全編を包むキュートな雰囲気で、誰もが帰り道にはあたたかい気持ちになれる映画です。登場人物はみんなどこか病んでいて、笑わせ方にもジュネらしい毒が効いてるし、至るところに悪趣味なギミックが散りばめられているのにもかかわらず、こんなにもチャーミングな映画に仕上がってるのが不思議です。

picこれまでセット撮影のみだったジュネが初めてロケ撮影に挑んだのが本作ですが、「街を自分好みの美観に変えたかった」ためにメトロや通りのポスター1枚に至るまで全てを張り替えたり合成したりなど、相変わらずの徹底した画作りです。この映画の中のパリの風景があまりにも素晴らしいので、現実のパリ市民が恥ずかしがって街をきれいにし始めたほど。

思えばマルク・キャロと組んで撮った『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』に続くジュネの作品が『エイリアン4』だと知ったときはある種のショックがありましたが、いざ蓋を開けてみたら、『エイリアン4』にもジュネ的テイストは確かに存在していて、安心した記憶があります。ではそれまでのダークで重苦しい雰囲気とは全く正反対にも思える、明るくて可愛らしい映画をジュネが撮ると果してどうなるのか?その答えがここにあります。センチメンタルな感情を呼び起こすこのファンタジーは、いつまでも大切にしたくなる小さなおもちゃがぎっしり詰まった、宝箱のような映画です。

(mana)


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世界でいちばん不運で幸せな私
JEUX D'ENFANTS
(2003年 フランス 94分 PG-12
pic 2005年3月19日から3月25日まで上映 ■監督・脚本 ヤン・サミュエル
■出演 ギョーム・カネ/マリオン・コティヤール/エロディー・ナヴァール

(C)ニューセレクト

ある1つのゲームにとらわれた2人の、長い長い愛の物語。母親の病気に心を痛める少年ジュリアン。ポーランド移民ということでからかいを受ける女の子ソフィー。ゲームは2人が日々の嫌なことを忘れようという、無邪気な賭けから始まった。

「ゲーム!!のる?のらない?」
「もちろんのるさ!」

pic先生に暴言を吐いたり、お姉さんの結婚式を台無しにしたり徐々にエスカレートしていく“Jeux d'enfants”(原題、子供の遊び)は、彼らの人生において無くてはならないものとなっていく。

10年後、大学生になった2人。そして彼らの成長に伴って、より困難なものにになっていくゲーム。いつ終わるとも知れない倒錯の時間を過ごすうちに、2人はあることに気付きだす。

「僕たちはゲームの名のもとに何でもやってきた。お互いのことを好きだと認めるということを除けば・・・。」

pic大人になりきれない2人。本当の気持ちを伝えられないもどかしさ。ゲームを止めようとしたが、あまりに長い間奇妙な賭けにのめりこみ結託してきたため、その途端人生が陳腐なものに見えてくる。2人はゲームによって心が通じ合っていたのだ。もはや止められないゲーム。新しいゲームをする度に心の中では「あなたのいない人生なんて考えられない。」と思っているのに…。

今までのフランス映画の常識を打ち破った作風で、大ヒットを飛ばした恋愛映画。監督は、イラストレーター、漫画家、絵本作家、短編映画など幅広い分野で活躍し、これが長編デビュー作となるヤン・サミュエル。これまでの経歴で培った才能を思う存分発揮し、一風変わったラブストーリーを個性的なヴィジュアルで彩る。

主演は、『ザ・ビーチ』『ヴィドック』等の出演だけではなく、近年は監督としても活躍中のギョーム・カネと、『ビッグ・フィッシュ』やジャン=ピエール・ジェネの新作“A Very Long Engagement"等ハリウッドへ進出したマリオン・コティヤール。 現代の大人のためのおとぎ話を巧みに演じている。

(マコト)



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