裸足の1500マイル
RABBIT-PROOF FENCE
(2002年 オーストラリア 94分)
2004年3月6日から3月12日まで上映 ■監督・製作 フィリップ・ノイス
■原作 ドリス・ピルキングトン
■脚本 クリスティーン・オルセン
■撮影 クリストファー・ドイル
■音楽 ピーター・ガブリエル

■出演 エヴァーリン・サンピ/ローラ・モナガン/ティアナ・サンズベリー/ケネス・ブラナー

(C)ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ

物語の背景となるのは1931年のオーストラリア。当時、先住民アボリジニの混血児を家族から引き離し、白人社会に適応させようとする隔離・同化政策がとられていた。

pic政策の対象となり、強制的に寄宿舎におくりこまれたアボリジニの少女3人は、お母さんに会いたい…そんなあたりまえで、切実な想いを抱え、母の待つ故郷に帰るため、オーストラリアを縦断するフェンスをたよりに、2400キロもの距離を逃走するのであった。これは少女たちの一人であったモリーの娘、ドリス・ピルキングトンが綴った真実の物語である。

母親と共にありたいと願う、切なる気持ち。これは誰しもが共感できる普遍的なものである。

pic母の待つ大好きな故郷に帰るため、追跡者や自然の脅威にさらされながらも、ありったけの気力、知恵を振り絞る少女たち。彼女たちのひたむきな姿は、本国オーストラリアを涙で包んだ。

この少女たちの一人、モリーは後にこう言った。「収容所のほかの子供たちは、母親のことを忘れてしまうほど幼かった。でも、私はそのとき14歳で母をよく覚えていた。家へ、母のところへ帰りたかった。」

豪アカデミー最優秀作品賞受賞作品。音楽をピーター・ガブリエルが担当しているのも話題である。

(カツオ)


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クジラの島の少女
WHALE RIDER
(2003年 ニュージーランド 102分)
pic 2004年3月6日から3月12日まで上映 ■監督・脚本 ニキ・カーロ
■原作 ウィティ・イヒマエラ
■出演 ケイシャ・キャッスル=ヒューズ/ラウィリ・パラテーン/ヴィッキー・ホートン

■2003年アカデミー賞主演女優賞ノミネート/2003年インディペンデント・スピリット賞外国映画賞受賞/2003年放送映画批評家協会賞若手俳優賞受賞ほか

(C)日本ヘラルド映画

いよいよ完結編を迎える大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』の舞台となったニュージーランドが、今また素晴らしい作品を生んだ。それがこのニュージーランド版『風の谷のナウシカ』ともいえる感動作、『クジラの島の少女』である。

pic「祖先はクジラに乗ってやってきた」という神秘的な勇者伝説を信じるマオリの一家。代々、男を族長とする一家の長男は双子の男女を授かるが、産後すぐに母親と男の子は亡くなってしまう。悲しみに父親は家を去り、一人女の子(パイケア)が残された。

祖父はパイケアを大切に育てながらも「これが男の子だったら…」という思いをぬぐえない。離れ離れになっていく家族の絆。

pic12歳を迎えたパイケアは、自分が女であるという運命を大好きな祖父に認めてもらおうとするが、その想いは届かない…。

ある日、彼女を待ち受ける悲しい運命に呼応するかのように何頭ものクジラたちが浜辺に打ち上げられた。一族の終末なのでは、と恐れる島の人々は海へ還そうとするが、クジラはびくともしない。そのとき、パイケアは静かに一頭のクジラに近づいていく。

伝説の勇者‘ホエール・ライダー’の魂を受け継ぐものとして、ニュージーランドの海と大地に彼女が起こす奇跡…。

pic撮影場所は原作通り、ニュージーランド北島の町ファンガラを選んだ。そこで暮らす人々は、今でもこのクジラ伝説を信じているという。

映画が公開されて一番嬉しかったのは、マオリ族である彼らの物語、彼らの神話が世界中の人々に勇気と希望を与えたことだと監督は語っている。

(カツオ)



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