まぼろし
SOUS LE SABLE
(2001年 フランス 95分)
2004年10月30日から11月5日まで上映 ■監督・脚本 フランソワ・オゾン
■脚本 エマニュエル・ベルンエイム/マリナ・ドゥ・ヴァン/マルシア・ロマーノ
■出演 シャーロット・ランプリング/ブリュノ・クレメール/アレクサンドラ・スチュワルト/ジャック・ノロ

★本編はカラーです

(C)ユーロスペース

永年連れ添ったかけがえのないひとが、突然いなくなる。その事実をいかに受け容れればよいのか。それをシンプルに、類まれな美しさで描いたフランソワ・オゾン監督の長編第4作品。

マリーとジャンは25年間連れ添った50代の夫婦。毎年夏は別荘で過ごし、今年もヴァカンスにやってきた。しかし、マリーが海辺でうたた寝をしているあいだ海に入った夫は、そのまま何の痕跡も残さずに消えてしまう。

事故なのか、失踪なのか、それとも自死なのか。平凡な日常を波にさらわれ、その耐えがたいまでの苦悩と悲しみを受け入れられない妻。しかしやがて、その喪失感は受容へと移りゆくのだった。

どのような解釈にもとれるラストシーンは、静かに深い感動を与え、余韻を残す。一見淡々としてはいるが、独特の空気感と、それまでのオゾン作品とは一味違う、弱冠33歳の監督が撮ったとは思えないほど円熟味あふれた傑作。

picオゾン作品が苦手だった方にも是非観ていただきたい。原題の『SOUS LE SABLE」は直訳すると『砂の下』。砂の下に埋もれてしまった日常ということなのか、邦題の『まぼろし』と共に名題だと思う。

主演はオゾン監督の5作目『スイミング・プール』にも主演した『愛の嵐』『地獄に落ちた勇者ども』のシャーロット・ランプリング。大人のエロティシズムを感じさせ、50代後半とは思えない美しさと風格を漂わせている。

(FCT)


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スイミング・プール
SWIMMING POOL
(2003年 フランス 102分 R-15
pic 2004年10月30日から11月5日まで上映 ■監督・脚本 フランソワ・オゾン
■脚本 エマニュエル・ベルンエイム
■出演 シャーロット・ランプリング/リュディヴィーヌ・サニエ/チャールズ・ダンス

■2003年カンヌ国際映画祭パルムドールノミネート

★本編はカラーです

(C)ギャガ・コミュニケーションズ

ある夏の日、スランプに陥ったイギリスの女流ミステリー作家、サラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、出版社の社長ジョンの薦めで彼が所有する南仏プロヴァンスの別荘に出かける。美しい自然に囲まれたプール付き別荘、そのプールには覆いがかけられ、不思議な存在感をたたえていた。

pic降り注ぐ暖かい太陽と心地よい静けさの中、創作意欲をかき立てられたサラは、さっそく新作に取り掛かる。しかし静かな生活を楽しむサラのもとに突然ジョンの娘と名乗るジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が現れる。

神経質で内面的なサラとは対照的に自由奔放なフランス娘のジュリー。そして二人の奇妙な同居生活が始まる。深夜に出入りする怪しい男達。覆いを取り払われたプールでのびのびと泳ぐそのジュリーの、若さに溢れた眩しい肢体に目を奪われるサラ。そしてジュリーのおなかに大きな傷跡を見つける。

そんなある日の朝、プールサイドに血痕が発見される。若さと成熟、自由と抑制、現実と幻想、対比する要素が二重三重に絡み合う謎。

『8人の女たち』で世界的な評価を決定的なものにしたフランソワ・オゾン監督が贈る華麗なミステリー。

(ロバ)



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