誘惑のアフロディーテ
MIGHTY APHRODITE
(1995年 アメリカ 95分)
2003年6月14日から6月20日まで上映
■監督・脚本 ウディ・アレン
■撮影 カルロ・ディ・パルマ
■出演 ウディ・アレン/ミラ・ソルヴィーノ/ヘレナ・ボナム=カーター/マイケル・ラパポート/ピーター・ウェラー
■1995年アカデミー賞助演女優賞受賞(ミラ・ソルヴィーノ)、脚本賞ノミネート
(C)松竹富士生まれたばかりのベビーを養子に迎えたワインリブ夫妻。ルックス、IQ、性格の三拍子揃った息子マックスの成長ぶりに夫のレニー(ウディ・アレン)は鼻高々。
だが、一方で夫婦仲は崩壊寸前。その反動から息子の母親探しに熱中しはじめたレニーは、驚くべき真実と直面する。女神のような女性と思いきや、なんと彼女は娼婦だったのだ。
養子縁組をきっかけに巡り合った男と女の奇妙な関係。愛に迷い、理想を追い、ままならぬ現実と格闘するニューヨーカー達の姿をウィットに富むエピソード満載に描き上げた本作は、ウディ・アレン真骨頂と呼ぶべき26本目の監督作。
「どこかシリアスで悲劇的な奥行きのあるコメディ」を得意とするアレン作品の醍醐味を100%堪能させてくれる傑作だ。
また今回エロスを体現する女神としてアレンが選んだのは、本作でアカデミー賞ほか数々の女優賞を総なめにしたミラ・ソルヴィーノ。
マックスの産みの母にしてAV女優兼コールガールのリンダを演じ、抱きしめたくなるような愛しさを覚えさせる彼女のコメディエンヌぶりが、なんといっても作品の魅力を司る一番のポイントだ。
ちなみにアフロディーテとはギリシャ神話に登場する愛と美の女神。その美しさに魅せられた神々は、みんな彼女を妻に望んだという。
スコルピオンの恋まじない
THE CURSE OF THE JADE SCORPION
(2001年 アメリカ 101分)
2003年6月14日から6月20日まで上映
■監督・脚本 ウディ・アレン
■出演 ウディ・アレン/ヘレン・ハント/シャーリーズ・セロン/ダン・エイクロイド/エリザベス・バークレイ
一流保険会社に勤務するC.W.ブリッグスは、自称腕利き保険調査員。だが最近入社してきたキャリア・ウーマン、ベティ=アン・フィッツジェラルドとは顔を合わせるたび皮肉を言い合う犬猿の仲だ。しかも彼女の毒舌にはまったく歯が立たない。
そんなある日、同僚の誕生パーティでインチキ魔術師に催眠術をかけられ、二人は恋に落ちてしまう。一方その日を境に謎の宝石泥棒が出現、世間を騒がせる。ブリッグスはなんとか犯人を捕まえようとするが…。
常に注目の的となるウディ・アレン。本作は彼が永年温めてきたアイデアを実現させた作品だ。過去の作品『おいしい生活』でみせた洗練されたスラップスティックな笑い、『ギター弾きの恋』のロマンチックなラブ・ストーリー、さらには『カイロの紫のバラ』でみせたファンタジックな魅力をあわせもつ、まさに集大成的な快作といえよう。
また彼の作品に出演することが、その俳優のステイタスにつながると言われているアレン作品。本作でも豪華俳優陣が過密なスケジュールを縫って彼のもとに集まった。
古き良き1940年のNYを舞台にした小粋な設定と、犬猿の仲の二人のトークバトルが絡み合った絶妙なセンスが光る。神秘的で、うさんくさくて、そしてなによりもロマンチックな大人のおとぎばなし。