2026.07.09
スタッフコラム「しかまる。の暮らしメモ」byしかまる。
第42回 「自分だけの魔法」
先日、友人とランチをした時のこと。互いの近況や趣味の話で盛り上がっていた流れで、「お婆ちゃんになっても、ずっとやっていたいことって何?」と聞かれました。何十年も先の自分なんて想像したことがなかった私には、とても新鮮な質問でした。そして、つい口を衝いて出た答えは「ずっとお洒落をしていたい!」です。
私は以前から、とあるお洒落なお婆さんが気になっていました。それは、ジブリ映画『魔女の宅急便』の原作者として知られる児童文学作家・角野栄子さんです。私が角野さんを知ったきっかけは、数年前、当館に届いたドキュメンタリー映画『カラフルな魔女 角野栄子の物語が生まれる暮らし』のチラシでした。鮮やかなピンクの壁紙を背景に微笑む角野さんの姿がとても可愛らしいビジュアル。どうやったら素敵に歳を重ねられるのか、そのヒントをもらうべく鑑賞してみました。
本作は、2020年から2022年にかけてNHKで放送された同名番組をもとに、追加撮影と再編集を施し映画版として完成させたもの。約4年間に渡って角野さんの生活に密着し、彼女の暮らし方だけでなく、生い立ちから児童文学作家になるまでの波乱万丈な人生までも詳らかにしています。
私が映画の中でまず惹かれたのは、角野さん独自のファッションを楽しむ工夫です。ワンピースは身体を締め付けないようにオーダーメイドした同じ型。個性的なメガネは顔のシワに注目されなくなるという理論でじっくり選定。加齢によって生じるファッションの制限がある中でも、角野さんは「自分が心地いいと思うもの」という基準を大切にしながらお洒落を楽しんでいます。そんな姿を見て、お手本にしたいと思うと同時に歳を重ねることが少し楽しみになりました。
そして映画の終盤、インタビューで角野さんが語った「魔法とは、その人の中の喜びを見つけること」という言葉も忘れられません。料理だったり、絵を描くことだったり、人によって“魔法”の形はさまざま。30代半ばで作家デビューした角野さんは、人生で初めて文章を書くことに大きな喜びを見つけ、それがライフワークになりました。それから半世紀以上現役で活躍されているのですから説得力がありすぎます。
映画を鑑賞した後、改めて友人との会話を振り返ってみました。すると、私がSNSに投稿する服のコーディネートを毎回楽しみにしてくれている人の存在が頭に浮かんできます。仕事やお金のことは抜きに、自分が好きで続けていることで誰かが楽しい気持ちになってくれる喜び。「お婆ちゃんになっても、ずっとやっていたいこと」と言う問いから見つけた私の“魔法”は、やはり「お洒落をすること」なのかもしれません。
(しかまる。)











