2026.06.11

スタッフコラム「二十四節気・七十二候とボク」by上田

二十四節気:芒種(ぼうしゅ)、次候:腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)

だいぶ涼しい日が続いていますね。近年では6月でも夏日が続いていたので、今年も早めから暑くなるぞと身構えていたのですが、やや拍子抜けしております。とはいえ油断は禁物。2026年は2つの高気圧が重なる影響で40度越えの酷暑日もある見通しで、やはり9月まで残暑が続く暑くて長い夏になる予想だそうです。私は気温の高い休みの日にでかけたときには喫茶店などで涼むのが大好きなのですが、最近都心部の喫茶店がすごく混んでいる気がしています。入れたとしてもずっと満席状態の店内では落ち着くことができずにいるのが悩みなのですが、どうやら観光客とリモートワークの増加で、喫茶店などのスペースが混雑しやすい状況があるのだそうです。いつも新宿や渋谷の街中にも図書館があればいいのにと思うのですが、何か方法がないかと調べてみると、意外とホテルのラウンジなどでは飲み物の値段は少し高くて行きづらいけど、かなりゆったり過ごせるそうで、少し長めの休憩をするときには活用している人が多いみたいです。髙田馬場にもたくさんホテルがありますが、この季節にぴったりの涼み方を見つけましたのでご紹介します。

芒種(ぼうしゅ)の頃は梅雨入りと重なることが多く、雨の恵みによって植物が生い茂り、夏の虫たちが生まれ始める季節です。各地では初夏の風物詩である蛍を鑑賞する「蛍狩り」が開催されますが、東京都内では蛍を鑑賞できる場所といえば「ホテル椿山荘東京」が有名です。当館からでも、神田川沿いを早稲田大学方面にさかのぼると散歩がてら行ける距離にある場所で、蛍を鑑賞できるなんて驚きですよね。ホテル椿山荘東京で行われている「ほたるの夕べ」は「荒廃した東京に緑を戻そう」と戦後に焼失したホテルの立地に植林を行い、1954年に1万5000匹余りの蛍を庭園に放ったのを初めに、今では70年以上続いている初夏ならではの催し。蛍といえば、水が綺麗なところにしか住めないというイメージですが、蛍が綺麗な水辺に多い理由は、幼虫が食べる「カワニナ」という巻貝が綺麗な水にしか生息できないのが理由だそうです。椿山荘でも2000年からはホテルの庭園内を流れる川の水質管理を行い、自然状態でカワニナが生息できる環境を作っているのだとか。入園料は大人2000円、子供1000円(WEB予約が必要)。ぶらりと気軽にというわけにはいきませんが、映画のあと、夕食前の散歩にはいい立地かもしれませんね。「カワニナ」は実はかなりニッチな春の季語「蜷の道(になのみち)」として歳時記に登場するのですが、この季語は、カワニナなどの小さな巻貝が、田んぼのあぜ道を這いまわった後に残った跡のことを言います。あてもなく行きつ戻りつする巻貝たちの移動のあとは道に迷う詩人の心を強く掴んだそうです。画像を検索するとたしかにかなり迷っている。これは喫茶店を探して都会を彷徨う自分の姿のようだと、まだ見たことのない巻貝カワニナへ思いを馳せました。

(上田)