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オリンピック出場をかけた試合の直前に起きたライバル襲撃事件で、容疑者として扱われたトーニャ・ハーディング。セレブだけが出入りする超高級ポーカーを経営し、FBIに逮捕されてしまったモリー・ブルーム。

今週の作品は、若くしてジェットコースターのような半生を送った実在する2人の女性を描いた二本立てです。

世間を騒がせたセンセーショナルなスキャンダル。マスコミが報じるは往々にしてその事件の醜聞めいた概要ばかりです。その騒動の中心にいる当人は、どんな人間なのか? いかにして一握りの成功を掴み、いかにしてどん底に落とされたのか。その後の人生は? 映画は、ニュースが触れることのない彼女たちの人間像や事件の真相に迫ります。

でも・・・
トーニャはいいます。「真実って何よ?」

そう、実際にはなにが「真実」かはわからない。実話とはいえ映画は「フィクション=作り物」なのです。でも、だからといって、ただ起きた出来事を映像にすれば「真実」が見えるとは限りません。作り手がどういう風にその人のドラマを切り取るのか、そこから何を伝えたいのか、それが明確なら物語は豊かになるはず。今週の二本には、実話ならではの説得力と、フィクションならではのドラマチックさ、どちらも備わっています。そして、映画にしたからこそ新たに見出せる、彼女たちの「真実」がある気がするのです。

ちなみに、トーニャもモリーも、本人たちが作品自体に関わっており、映画のプレミアに出席したりしています。カメラのなかで描かれた波乱万丈な半生の続きをリアルに生きている彼女たちがいるということもまた、物語の面白さになっています。

(パズー)

モリーズ・ゲーム
Molly's Game
(2017年 アメリカ 140分 DCP PG12 シネスコ) pic 2018年12月15日から12月21日まで上映 ■監督・脚本 アーロン・ソーキン
■原作 モリー・ブルーム「モリーズ・ゲーム」(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)
■撮影 シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
■編集 アラン・ボームガーテン/ジョシュ・シェファー/エリオット・グレアム
■音楽 ダニエル・ペンバートン

■出演 ジェシカ・チャステイン/イドリス・エルバ/ケヴィン・コスナー/マイケル・セラ

■第90回アカデミー賞脚色賞ノミネート/第75回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞、脚本賞ノミネート

© 2017 MG’s Game, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

セレブを虜にしたのは
華麗なる破滅

pic モーグルのオリンピック候補だったモリー・ブルームは、大会で怪我を負いアスリートの道を諦める。LAでの休暇中、バイト先のボスからポーカー・ゲームのアシスタントを頼まれたモリー。そこでは、ハリウッドスターや大物プロデューサー、大企業の経営者らが法外な賭け金でポーカーに講じていた。やがて彼女はその才覚で26歳にして自分のゲームルームを開設するのだが、10年後、ある夜踏み込んできたFBIにより逮捕される。彼女を担当した弁護士は、打合せを重ねるうちに、目の前の女性がタブロイド紙に書きたてられるような人物でないことを知るのだが──。

トップアスリートから高額ポーカーの経営者へ
歓喜と破滅の裏に秘められた驚愕の実話!
天才脚本家アーロン・ソーキン初監督作品

2014年、一冊の回顧録が全米に一大スキャンダルを巻き起こした。さまざまなセレブの名が顧客リストに並ぶ、エクスクルーシブなポーカールームのオーナーだったモリー・ブルームが、謎のサロンの実態を明かしたのだ。

ハーバードのロースクールに苦もなく入れるほど頭脳明晰で、トップアスリートとしてオリンピック候補にもなった彼女がなぜ全く違う世界へと身を投じたのか? どうやって500万ドル近くの富を手に入れ、それをすべて失くしたのか? FBIの本当の目的は? 『女神の見えざる手』のジェシカ・チャステインがモリーを熱演し、数々の疑問に答えていく。

アカデミー賞脚色賞に輝いた『ソーシャル・ネットワーク』をはじめ数々の作品で天才的な脚本を書いてきたアーロン・ソーキンが、自ら初監督作品に挑んだ本作。世界一魅惑的で破滅的なゲームに秘められた、幾度もの失敗から立ち上がった一人の女性のパワフルな起死回生の感動ドラマが誕生した。

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アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル
I, Tonya
(2017年 アメリカ 120分 DCP PG12 シネスコ)
pic 2018年12月15日から12月21日まで上映 ■監督 クレイグ・ギレスピー
■製作 スティーヴン・ロジャース/ブライアン・アンケレス/マーゴット・ロビー/トム・アッカーリー
■脚本 スティーヴン・ロジャース
■撮影 ニコラス・カラカトサニス
■編集 タチアナ・S・リーゲル
■作曲 ピーター・ナシェル

■出演 マーゴット・ロビー/セバスチャン・スタン/アリソン・ジャネイ/ジュリアンヌ・ニコルソン

■第90回アカデミー賞助演女優賞受賞・主演女優賞、編集賞ノミネート/第75回ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞・作品賞、主演女優賞ノミネート

©2017 AI Film Entertainment LLC

彼女は世界中から愛され、
一瞬にして世界中から憎まれた

pic貧しい家庭で、幼いころから暴力と罵倒の中で育てられたトーニャ・ハーディング。天性の才能と努力でアメリカ人初のトリプルアクセルを成功させ、92年アルベールビル、94年リレハンメルと二度のオリンピック選手となった。しかし、彼女の夫だったジェフ・ギルーリーの友人がトーニャのライバルであるナンシー・ケリガンを襲撃したことで、スケート人生は一変してしまう…。

オリンピック代表権をめぐるライバル襲撃事件――
フィギュアスケート史上最大のスキャンダルの
真実が今明かされる!

pic アメリカ人女性初、史上二人目のトリプルアクセル成功者であるトーニャ・ハーディング。彼女が94年リレハンメルオリンピック出場権を得るために、元夫等にライバル襲撃を命じたと疑惑の目を集めた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」。本作はトーニャの生い立ちから、大きな影響を与えた母親をはじめとする人間関係などにフォーカスを当てながら、全世界を揺るがしたこのスキャンダル・オン・アイスの真相に迫る。

トーニャに扮するのは『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビー。プロデューサーも務め、複雑な役を決然と演じきった。そしてもう一人の主役の母親役はエミー賞を7度受賞している演技派アリソン・ジャネイ。彼女の怪演は絶賛され、見事アカデミー賞助演女優賞に輝いた。

事件の真相を知るにつれ見えてくる、弱冠23歳で世界のヒール役に転じたスケーターの新たな顔。氷上のプリンセスから犯罪者へ、人生の頂点からどん底へと突き落とされたトーニャ・ハーディングの、悲しくもどこか愉快で、ワイルドでクレイジーな半生がスクリーンで明らかになる!

line テル・ミー・ライズ
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