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公園から生まれた音楽。
都会の片隅で書かれた詩。
ぼくらの街で見つけた物語。

今週の早稲田松竹は『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』と『PARKS パークス』の二本立て。

最果タヒの詩集を元に作られた『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』は、
詩に書かれている言葉の背後にある人々の姿を、街中から拾い集めたような映画だ。
もちろん詩集だから、いわゆる物語があったわけではないが、
この映画は詩人が現実をつぶさに見つめて言葉にした一つ一つの実感を共有している。

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、きみの体の内側に探したって見つかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
きみがかわいそうだと思っているきみ自身を、誰も愛さない間、
きみはきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。
――「青色の詩」より

この映画を観ていると普段見ている街が、いつもとはちょっと違ってみえる。
ここで描かれている痛みや弱さは登場人物だけではなく、街自体が抱えるものだ。
苛立ったり、妙に幸せな気分になったりしながら、よりどころを探そうとしたり、ひとりでがんばろうとしたり。
都会に暮らす人が皆強いわけじゃない。そんな当たり前の姿を、普段街中で見つけることができない。

井の頭恩賜公園100年を記念して作られた『PARKS パークス』。
この映画の主人公は公園だ。日当たりのいい場所や、遠くから響いてくる音、
この公園だけの特別な時間を過ごす人々がいなければこの映画は始まらない。

「君と歌いたい曲がある
 それはこんな曲で
 僕らの物語はこの公園から始まる」
――オープンリールの中の曲

死んだ父の昔の恋人の手紙を見つけて、彼女を探しにきた女の子。
井の頭公園の近くに住む青年の祖母の遺品からみつかった一本のオープンリール。
そのテープから聞こえてくる音楽とともに、秘められた恋の秘密と、
かつてのあった物語が少しずつリズムを取り戻していく。

わたしたちが住んでいる東京の街で生まれた映画。
そんな映画に触れて、帰り道にまたその街を見る。
それはきっと自分が暮らす街をちょっとだけ変える体験になるはず。

(ぽっけ)

PARKS パークス
(2017年 日本 118分 DCP シネスコ) pic 2017年11月4日から11月10日まで上映 ■監督・脚本・編集 瀬田なつき
■企画 本田拓夫(吉祥寺バウスシアター・オーナー)
■撮影 佐々木靖之
■音楽監修 トクマルシューゴ
■劇中歌 PARK MUSIC ALL STARS「PARK MUSIC」
■主題歌 相対性理論「弁天様はスピリチュア」

■出演 橋本愛/永野芽郁/染谷将太/石橋静河/森岡龍/佐野史郎

©2017本田プロモーションBAUS

君と、歌いたい曲がある。

pic 井の頭公園脇のアパートで暮らす大学生・純の元に突然訪ねてきた高校生のハル。遺品の手紙の差出人であるハルの父親のかつての恋人を、ふたりは探すことになる。しかし、探し当てた恋人の家には孫のトキオがいて、彼女の死を告げる。だが、彼女の遺品の中に1本のオープンリールテープがあるのをトキオが発見。そこにはハルの父親たちのラブソングが録音されていた。

50年前に作られたその曲は、テープの状態から途中までしか聴くことができない。その続きを自分たちで作ろうと3人は…。

100年目の公園から始まる

pic2017年5月に開園100周年を迎えた井の頭恩賜公園。吉祥寺の街とともに歩み、愛されてきたこの公園を舞台に、画期的な映画が誕生した。 『PARKS パークス』が描くのは、公園の過去、現在、そして未来。50年前に作られたひとつの曲が引き金となり、1960年代の恋人たちの記憶が、2017年の吉祥寺に生きる若者たちの夢と冒険につながっていく。

脚本・監督を手がけたのは、『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』で高い評価を受けた新世代の旗手、瀬田なつき。キャストにも『リトル・フォレスト』の橋本愛、『帝一の國』の永野芽郁、『寄生獣』の染谷将太など、最旬の俳優たちがそろった。

さらに、映画のもうひとつの主役は音楽といえる。劇中歌の「PARK MUSIC」は、本作の音楽監修を担当したトクマルシューゴの作品。懐かしくも新しい、誰もが口ずさみたくなるメロディをつくり上げた。このほか、吉祥寺ゆかりのアーティストから東京インディーズの人気バンドまで、20組以上の音楽家たちが作品に参加している。

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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ
(2017年 日本 108分 DCP シネスコ)
pic 2017年11月4日から11月10日まで上映 ■監督・脚本 石井裕也
■原作 最果タヒ「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(リトルモア刊)
■撮影 鎌苅洋一
■編集 普嶋信一
■音楽 渡邊崇

■出演 石橋静河/池松壮亮/松田龍平/市川実日子/田中哲司/佐藤玲/三浦貴大/ポール・マグサリン/大西力/野嵜好美

■第67回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品

©2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

透明にならなくては息もできないこの街で、きみを見つけた。

pic看護師として病院に勤務する美香は女子寮で一人暮らし。日々患者の死に囲まれる仕事と折り合いをつけながら、夜は自転車で街を駆け抜けて、ガールズバーのアルバイトに向かう。

建設現場で日雇いとして働く慎二は古いアパートで一人暮らし。左目がほとんど見えない。年上の同僚・智之や中年の岩下、出稼ぎフィリピン人のアンドレスと、何となくいつも一緒にいる。

ある日、慎二は智之たちと入ったガールズバーで、美香と出会った。その帰り道、店を出た美香は、深夜の渋谷の雑踏の中で、歩いて帰る慎二を見つける。

「東京には1,000万人も人がいるのに、どうでもいい奇跡だね」。

渋谷、新宿。二人は出会う。

16年5月の発売以来、現代詩集としては異例の累計27,000部の売上げを記録している「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。作者は“いま最も新しい表現者”として注目される詩人・最果タヒだ。わかりやすく日常的な言葉の連なりで、小説やポップソングなどでは掴みきれない、現代人の憂鬱と希望を浮き彫りにする彼女の詩集が、誰も予想していなかったかたちで映画化した。脚本・監督は、『舟を編む』など新作が常に注目を浴びる石井裕也。ヒロインの美香に抜擢されたのは新人・石橋静河。美香と出会う慎二に池松壮亮。そのほか田中哲司や松田龍平ら実力派が脇をかためる。

死の予感ばかりがあふれている息苦しい現代の東京で、自分の居場所を見失った二人が、互いに向き合って初めて見つける希望。石井裕也の最高傑作との呼び声が高い、最高密度の恋愛映画が誕生した。

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