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シングルマザーの電話交換手から、世界的ジャズシンガーへとスターダムを駆け上がったモニカ・ゼタールンド。 ヒッチコックのミューズとして人気絶頂の中、突如モナコ公妃へと転身を遂げたグレース・ケリー。 表舞台に立つ彼女たちには、足りないものなんて何も無いように見えます。 だけど、そんな輝かしいキャリアとは裏腹な、苦悩と葛藤があったのです。

『ストックホルムでワルツを』は、モニカ・ゼタールンドがジャズシンガーとして成功するまでの数年間に焦点を当てています。 ストックホルムから離れた田舎で暮らすシングルマザーのモニカは、幼い娘を両親に任せきり。 何よりも自分の夢を優先する姿に、厳格な父からは“母親失格”とレッテルを貼られ、度々衝突していました。 その後、どんなに世間からちやほやされても、父が彼女を認めることはありません。

音楽家で熱心なジャズ・ファンだった父の影響で、幼い頃からジャズに親しみ、 14歳の頃から父のダンスバンドでヴォーカルをつとめていたというモニカ・ゼタールンド。 そんな彼女だからこそ、一番に認めてもらいたかったのは父だったはず。 それが「自分にしか歌えないジャズを歌う」という強い信念となり、 魂の込められたジャズとなって、私たちに感動を与えるのです。

モニカを演じるエッダ・マグナソンは、スウェーデンを拠点に活躍しているシンガーソングライター。 コンサートでの姿が製作陣の目に留まり主演に抜擢されたのだそうです。 物真似ではなく、自分らしく演じることを心がけたと語る彼女。 本作が映画デビューだなんて思えないくらい、伝説のスターを堂々と演じきり、 ゴールデン・ビートル賞(スウェーデンのアカデミー賞)の主演女優賞を受賞しています。

一方『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』の舞台は、グレース・ケリーとモナコ大公との"世紀の結婚"から6年後。 グレースは2人の子供に恵まれましたが、未だに王室の中で孤立していました。 自分の意見をはっきり言うグレースは、社交の場でも浮いてしまうのです。 周囲からはよそ者扱いされ、居場所を見失ったグレースは、ヒッチコックからの誘いでハリウッド復帰を望むようになります。

20世紀の伝説のオスカー女優と謳われたグレース・ケリー。 結婚当初、慣れない生活の中で彼女はこんな言葉を残しています。
“私の人生は「おとぎ話のようだ」とよく言われるけど、それ自体が「おとぎ話」だわ”
けれど彼女は、女優としてではなく、公妃として、妻として、母として、自分の進むべき道を模索し、 そこにある“大きな愛”の存在に気づいてゆくのです。

グレースを演じるのは、今をときめく大女優ニコール・キッドマン。 彼女はこの物語の「何が自分の使命なのか」と思い悩むグレースのジレンマに興味を抱いたのだそう。 そして、「みんなに注目される結婚生活を送りながら、仕事を続け、普通でありたいと願う気持ちが分かる」と語っています。 ハリウッドの大スターと結婚し、注目を浴びた経験があり、大女優であり、妻であり母である彼女だからこそ、 深く理解できたのではないでしょうか。

それぞれの場所でそれぞれの試練を乗り越える彼女たち。 信念を貫く姿こそが、彼女たちを輝かせているのだと思います。 きっと映画を観れば、より一層、心惹かれるに違いありません。 そんな彼女たちの舞台裏をどうぞご覧ください。

(もっさ)

ストックホルムでワルツを
MONICA Z
(2013年 スウェーデン 111分 DCP PG12 シネスコ) pic 2015年3月14日から3月20日まで上映 ■監督 ペール・フライ
■脚本 ペーター・ビッロ
■撮影 エリック・クレス
■衣装 キッキ・イランダー
■編集 アーサー・モスバーグ
■音楽 ペーター・ノーダール

■出演 エッダ・マグナソン/スペリル・グドナソン/シェル・ベリィクヴィスト

傷ついても前を向いて
少しだけ夢に近づく

pic首都ストックホルムから遠く離れた田舎町に両親と5歳の娘と暮らしているシングルマザーのモニカは、電話交換手の仕事をしながら、時折深夜バスでストックホルムまで出向き、ジャズクラブで歌手としてステージに立つ忙しい日々を送っていた。いつか歌で成功し、この町を出て娘と2人で幸せに暮らせる日が来ることを夢見るモニカに、厳格な父は“母親失格”のレッテルを貼り歌の仕事に反対をしていた。

そんな時、モニカの歌を聞いた評論家の誘いによりニューヨークで歌う機会が与えられる。一世一代のチャンスに、ジャズの聖地に乗り込むモニカだったが…。

シングルマザーの電話交換手から
世界有数のジャズシンガーに!
北欧中を温かな涙で包んだ奇跡の実話!

picスウェーデンが生んだ世界的ジャズシンガー、モニカ・ゼタールンド。モダンジャズ全盛期の1961年に、英語ではなく母国語でジャズを歌った試みによりスターダムにのし上がり、巨匠ビル・エヴァンスとの共演「ワルツ・フォー・デビー」で国際的な名声を築いた歌姫だ。本作はモニカが歌手として頂点を極めるまでの波乱に富む数年間に焦点を当てた実話である。

picドラマを彩るのはモニカが歌うジャズの名曲の数々。世界で初めてスウェーデン語でジャズを歌った代表作「歩いて帰ろう」の軽快でキュートな歌は今聞いても新鮮だ。その他、誰もが1度は耳にしたことがあるナンバーが盛りだくさん。そして背景となる1960年代は北欧デザインの全盛期。その時代のインテリアや雑貨、そしてファッションを再現したお洒落な美術も大きな見どころである。

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グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
GRACE OF MONACO
(2013年 フランス 103分 DCP シネスコ) pic 2015年3月14日から3月20日まで上映 ■監督 オリヴィエ・ダアン
■製作 ピエランジュ・ル・ポギャム/ウダイ・チョプラ/アラッシュ・アメル
■脚本 アラッシュ・アメル
■撮影 エリック・ゴーティエ/A.F.C
■衣装 ジジ・ルパージュ
■音楽 クリストファー・ガニング

■出演 ニコール・キッドマン/ティム・ロス/フランク・ランジェラ/パス・ベガ/パーカー・ポージー/マイロ・ヴィンティミリア/デレク・ジャコビ/ロバート・リンゼイ/ジェラルディン・ソマーヴィル/ニコラス・ファレル/アンドレ・ペンヴルン/ロジャー・アシュトン=グリフィス/ジャンヌ・バリバール

世界を動かした、一世一代の<大芝居>。

pic26歳の若さで引退を発表したオスカー女優グレース・ケリーとモナコのプリンスの“世紀の結婚”から6年。女性が政治に意見するのは「アメリカ流」だと皮肉られ、夫には控えめでいることを望まれて、グレースは未だ宮殿のしきたりに馴染めずにいた。そんな彼女がヒッチコックからのハリウッド復帰の誘いに心を動かされていたまさにその時、モナコは存亡の危機に直面する。

愛する家族を守るため、そして宮殿生活で見失っていた自分を取り戻すため、グレースは覚悟を決めて一世一代の大芝居に打って出る。果たして彼女が自ら書いた“脚本”のクライマックスとなる、運命を握るスピーチとは――?

国を救うために、生涯一の<難役>に挑んだプリンセス。
その覚悟の深さに胸を衝かれる感動の物語。

pic2014年のカンヌ国際映画祭は、21世紀のハリウッド・スターの代名詞であるニコール・キッドマンが20世紀の美のアイコンにして伝説の女優グレース・ケリーを演じるという、かつてない話題作がオープニングを飾った。まさにそのカンヌで、モナコ大公と出逢って恋におちたグレース。誰もが憧れたロイヤル・ウェディングに隠された知られざる物語を、キッドマンは5ヶ月にも及ぶリサーチを重ね、グレースになりきって演じた。

監督は、世界各国で絶賛された『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』のオリヴィエ・ダアン。ミステリアスなカメラワークで『ダイヤルMを廻せ!』や『裏窓』などヒッチコック作品へのオマージュを散りばめている。コート・ダジュールやモナコでロケを敢行、実際にグレース公妃が訪れた様々な場所が撮影された。「伝記映画ではなく、人間ドラマを作りたかった」というダアン監督。壮麗でエレガントなこの作品は、傷つき自信を失った一人の女性が、再び歩き出すまでの物語である。私たちはその姿に勇気をもらい、愛を選んだ彼女の覚悟の深さと美しさに胸を衝かれずにはいられない。

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