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今週の早稲田松竹は、その独特の世界にハマればやみつきになること間違いなし、個性的な監督たちが贈る『もらとりあむタマ子』『ジ、エクストリーム、スキヤキ』の2作品をお届け。

両作品にそろって登場するのは「どうもダメなんだけど、なぜか好きになっちゃう」愛すべきキャラクターたち。

『苦役列車』などで、ダメ男を表現し続けてきた山下敦弘監督が、今回新たに「ダメ女」を描いた『もらとりあむタマ子』。前田敦子演じるヒロイン、タマ子は働きもせず、毎日マンガ読んでゲームして、メシを食らうだけのダラダラ生活を更新中。おまけに一緒に暮らす父親にはわがままを言いたい放題で、世話を焼かせてばかりというダメッぷりだ。

一方、『ジ、エクストリーム、スキヤキ』は劇作家、小説家、さらに昨年公開した『横道世之介』の脚本を手掛けるなど縦横無尽に活躍する前田司郎の初監督作品。本作の主人公たち、30代男女4人は唐突に「海で、すき焼きを食べよう」と思い立ち、鍋を持って海へと向かう。その道中では「この人たち大丈夫?」と突っ込みたくなるような、とりとめがなく、ぐだぐだな会話が延々と続く。

共に物語に大きな起伏はなく、ハリウッド大作のような劇的な出来事は起こらない。いわゆる「脱力系」作品といえるだろう。

でも、その種のものにありがちな、ただ「ゆるい」だけの作品ではない。物語は人物たちの姿をスローに、ゆるゆると追いつつも、彼らなりの悩み、葛藤のドラマをさりげなく、だがしっかりと描く。そして小さいながらも、前進するための一歩を踏み出す、確固たる成長物語になっているのだ。

聞いていると思わずニヤニヤしてしまうような(決して爆笑ではない)どうしようもない会話のやりとりも、どうしてそんなことをするんだ、と突っ込みたくなるような行動の数々にも「なんかダメだなあ。バカだなあ」と思う。でも、その一生懸命さに彼女のこと、彼のことを応援したくなってくるし、好きになってくる。

気付けば、彼らの姿をずっと見ていたいと思うようになっているのだ。エンドロールが終わるころには、彼らとの別れにほんの少し寂しさを感じながら、なんとも言えない朗らかな気分になっている。

そんな心地良い時間が流れる作品。ぜひ彼らに会いに来てください。

(かわうそ)


ジ、エクストリーム、スキヤキ
(2013年 日本 111分 DCP ビスタ) pic 2014年4月5日から4月11日まで上映
■監督・原作・脚本 前田司郎
■撮影 平野晋吾
■美術 平井淳郎
■編集 佐藤崇
■スタイリスト 伊賀大介
■音楽 岡田徹
■エンディング・テーマ ムーンライダーズ「Cool Dynamo, Right on」(moonriders records)

■出演 井浦新/窪塚洋介/市川実日子/倉科カナ/黒田大輔/西田麻耶/内田慈/安倍健太郎/高良健吾/沖田修一

■オフィシャルサイト http://ex-sukiyaki.com/

忘れられない青春の影とスキヤキ鍋をもって
特別(エクストリーム)な旅に出かけよう。

picフリーターの大川のもとに絶縁状態だった学生時代の友人・洞口が15年ぶりに現れる。「縁切った人と会っちゃったら、縁切れてねぇじゃねぇか」「だからつないだんだよ」 あきれながらも言いくるめられ、同棲相手の楓と、洞口の昔の恋人だった(?)京子を巻き込み海へ行くことに。「今さらなんだよ」「何があったんだろ?」「おみやげ買いたい」 どこかちぐはぐな空気と???がうずまく中、一日だけの特別な旅が始まる。どうして彼らは15年も会わなかったのか?

一度知ったらクセになる!? 前田司郎ワールド、全開!
ジャンルを超えて活躍するクリエイター、映画監督に初挑戦!

pic演劇・小説・ドラマなどジャンルを越えボーダレスに活躍するクリエイター前田司郎が、自身の同名小説で映画監督に初挑戦。一見脱力系に見せながら、人間同士の“わかりあえなさ”と“わかりあいたさ”のせめぎ合いを鋭く描き、笑いだけに留まらず、果てしない宇宙的哲学にまで昇華する前田ワールド。4名の男女が旅をする道程で繰り広げられる会話劇のなかに、これまでの前田作品の魅力が遺憾なく発揮されている。

pic出演は『ピンポン』以来、実に11年ぶりの共演となる井浦新と窪塚洋介。ふたりの息の合った絶妙な掛け合いは、本作の最大の見どころだ。そんなどこか夢見がちな男たちと一緒に旅をするヒロインを、市川実日子と倉科カナが演じる。音楽は2011年、35年の活動に終止符を打ったムーンライダーズの岡田徹が担当。全編を彩るムーンライダーズの名曲と共に、特別(エクストリーム)な旅に出かけよう。


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もらとりあむタマ子
(2013年 日本 78分 dcp ビスタ) pic 2014年4月5日から4月11日まで上映
■監督 山下敦弘
■脚本 向井康介
■撮影 芦澤明子/池内義浩
■美術 安宅紀史
■編集 佐藤崇
■主題歌 星野源「季節」(SPEEDSTAR RECORDS)

■出演 前田敦子/康すおん/伊東清矢/鈴木慶一/中村久美/富田靖子

■2013年釜山国際映画祭正式出品

■オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/tamako/

坂井タマ子 23才 大卒
ただ今、実家に帰省(寄生)中

pic東京の大学を出たものの、父親がひとりで暮らす甲府の実家に戻ってきて、就職もせず、家事もせず、家業のスポーツ用品店も手伝わず、ただひたすらに食っちゃ寝食っちゃ寝をくり返すタマ子。かつての同級生とも連絡を取らず、ニートというよりもまるで引きこもり。あきれた父親が「就職活動くらいしろ!」と言っても「その時が来たら動く! でもそれは今じゃない!」と意味不明な言葉を返す。ようやく履歴書を書いてみたタマ子だったが…。

イメージを覆す、女優・前田敦子の新境地!
山下敦弘監督、6年ぶりのオリジナル作品

pic歌手、CM、ドラマ、映画と様々な活躍を見せ、昨年出演した『クロユリ団地』は大ヒットを記録した前田敦子。待望の最新作で演じるのは、ボサボサ頭で毎日がほぼジャージ姿、家事を手伝うこともなくただひたすら食べまくる、“残念な実家依存娘”タマ子だ。逆ギレが得意なぐうたら女子という、今までにない役柄で、女優として新境地を見せている。

pic監督は『マイ・バック・ページ』など国内外で絶大な人気を誇る山下敦弘。大学時代からコンビを組み続ける脚本家・向井康介とともに、07年公開の『松ヶ根乱射事件』以来、6年ぶりのオリジナル映画を完成させた。口を開けば言い合いばかりの父と娘。でも本心では、父は奔放な娘を愛しく思い、娘は不器用な父を思いやっている。モラトリアムな毎日を過ごすタマ子が、ゆっくりと新しい1歩を踏み出す四季の物語は、観る人をあたたかく穏やかな気持ちで包んでくれるだろう。


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