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事故で妻が意識不明の重体になってしまうことから、
そして育ての親であるメイドがいなくなってしまったことから、
『ファミリー・ツリー』『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』の物語は動き始める。
それは今まで見えてこなかった一面を、
ある瞬間に感知してしまったことから始まった。

大抵、日々の生活はさらっと流れていくように感じる。
なぜなら少なからず形が変わっているはずの毎日も、
全く同じような暮らしに見えてしまうからだ。
微妙な誤差は切り捨ててしまえるくらい、
私たちはあらゆるものを無視できてしまう。

見ないようにしていたものが急に目の前に現れて私たちを困惑させ、
突然自分の世界に入り込んできたかのように驚いてしまう。
でもそれは自分以外の人にとっては当たり前の、
昔から変わらない事実なのかもしれない。
たった今私が見えるようになっただけなのだから。

そのことはどこか滑稽さを含んでいる。
目前にちらつくものに気付けないことと、
ようやく分かるようになったときの恥ずかしさ。
自虐的な照れ笑いはなぜかこちらのガードを下げさせる。

今週上映する2つ作品は深刻な問題を扱いながらも、
立派なエンターテイメントとして私たちを楽しませてくれる。
陰鬱で閉じこもるような深刻さとは違い、
それらの深刻さは不思議と人を結びつけることができるのである。

(ジャック)

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ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜
The Help
(2011年 アメリカ 146分 ビスタ/SRD) 2012年9月15日から9月21日まで上映 ■監督・脚本 テイト・テイラー
■原作 キャスリン・ストケット「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(集英社文庫刊)
■製作 クリス・コロンバス/ブロンソン・グリーン/マイケル・バーナサン
■撮影 スティーヴン・ゴルドブラット
■音楽 トーマス・ニューマン

■出演 エマ・ストーン/ヴィオラ・デイヴィス/オクタヴィア・スペンサー/ブライス・ダラス・ハワード/ジェシカ・チャステイン/アリソン・ジャネイ/シシー・スペイセク/シシリー・タイソン/メアリー・スティーンバージェン

■アカデミー賞3部門ノミネート・助演女優賞受賞(オクダヴィア・スペンサー)/ゴールデン・グローブ賞4部門ノミネート・助演女優賞受賞(オクダヴィア・スペンサー)/英国アカデミー賞4部門ノミネート・助演女優賞受賞(オクダヴィア・スペンサー)

■オフィシャルサイト http://disney-studio.jp/movies/help/index.jsp

彼女たちの物語が、私を変える。
私の物語が、世界を変える。

pic作家志望のスキーターは南部の上流階級に生まれ、黒人メイドの存在が当たり前の地域社会で育ってきた。だが、大学から戻った彼女は、白人社会でメイドたちが置かれた立場が、もはや当たり前には思えなくなってくる。そして、身近なメイドたちにインタビューをしようと試みるが、彼女たちにとって真実を語ることは、この南部という社会で生きる場所を失うことを意味していた。

そんなある日、白人家庭に黒人専用トイレの設置を義務付けようとする婦人会のリーダー・ヒリーの家で、メイドのミニーがトイレを使用したため解雇されてしまう。誰もが口をつむぐ中、ミニーの親友エイビリーンが勇気を出して、ついにスキーターのインタビューに応じた。そしてその小さな一歩は、数多くの勇気へと広がり、やがて彼らを取り巻く社会を根底から揺るがす大事件へと発展していく…。

一つのトイレと、一冊の本と、数多くの勇気。
これは、いまを生きる全ての人に贈る、感動の物語。

pic大作でもシリーズものでもない一本の映画が、高い評価と観客の口コミで瞬く間に感動の輪が広がり、全米で3週連続No.1大ヒットを記録した。力強く生きる黒人メイドたちの声を、一人の白人女性が紡ぎだした、一冊の「ストーリー」が旧弊な街に変革をもたらす驚くべき物語。原作は1960年代のアメリカ南部が舞台の、NYタイムズ紙の書籍ランキングに103週連続でランクインしたベストセラー小説である。

主人公スキーターを演じるのは『ラブ・アゲイン』『アメイジング・スパイダーマン』のハリウッド注目の若手女優エマ・ストーン。黒人メイド・エイビリーンには『ダウト〜あるカトリック学校で』のヴィオラ・デイビス。そしてミニー役を演じたオクタヴィア・スペンサーは、その豊かな演技力でアカデミー賞助演女優賞始め、数々の賞に輝いた。さらに、ブライス・ダラス・ハワードやジェシカ・チャスティンなど、実力派女優たちが見事な共演を果たしている。

ノスタルジックな魅力あふれる音楽やセットと衣装、そして心のこもった手料理によって彩られた、心と心をつなぐ友情のストーリー。人は誰かに支えられ、誰かを支えるため生きている…小さな勇気が生んだ奇跡の物語が誕生した。


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ファミリー・ツリー
THE DESCENDANTS
(2011年 アメリカ 115分 シネスコ/SRD) 2012年9月15日から9月21日まで上映 ■監督・脚本・製作 アレクサンダー・ペイン
■脚本 ナット・ファクソン&ジム・ラッシュ
■原作 カウイ・ハート・ヘミングス「ファミリー・ツリー」(ヴィレッジブックス刊)
■製作 ジム・バーク/ジム・テイラー
■撮影 フェドン・パパマイケル
■音楽監修 ドンディ・バストーン

■第84回アカデミー賞5部門ノミネート・脚色賞受賞/第69回ゴールデン・グローブ賞作品賞・主演男優賞受賞/ハワイ国際映画祭最優秀作品賞受賞 ほか多数

■出演 ジョージ・クルーニー/シャイリーン・ウッドリー/アマラ・ミラー/ニック・クラウス/ボー・ブリッジス/ロバート・フォスター/ジュディ・グリア/マシュー・リラード

■オフィシャルサイト http://movies.foxjapan.com/familytree/

ハワイに暮らしていても
人生は<楽>じゃない!

pic美しい妻と二人の娘たちとオアフ島に暮らすマット・キングは、予想もしなかった人生の転機を迎えていた。妻のエリザベスがボートレース中に事故にあい、意識不明の昏睡状態になってしまったのだ。それまで弁護士の仕事に明け暮れていたマットは、妻が目を覚ましたら、今度こそ良き夫、理想の父親になると誓う。だが、その道は険しかった。

pic次女はショックから不安定になるが、マットは娘をどう扱っていいかわからない。さらに母とケンカ中だった長女が衝撃の告白をする。「ママは浮気してたんだよ。」――折りしもマットは、カメハメハ大王の血を引く先祖から受け継いだ広大な土地の売却を考えていた。売れば一族に巨額の冨が入るが、大自然は失われる。家族とルーツ、ふたつの重大な問題に向き合ったマットが選んだ道とは…。

楽園ハワイで迎えた、人生の最大の危機。

pic『サイドウェイ』でアカデミー賞を受賞したアレクサンダー・ペイン監督。深遠なテーマを上質のユーモアと軽やかな語り口で描いた本作でも、アカデミー賞脚色賞はじめ様々な賞に輝いた。主人公マットには、初めて等身大の父親役に挑み、娘を演じた二人との絶妙なアンサンブルで世界を魅了し、見事ゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞したジョージ・クルーニー。二つの才能の幸福な出逢いが、ハワイの絶景と音楽を背景に、人間の懐の深さ、人生の豊かさを謳い上げる、心震える感動作を生み出した。

雄大な土地からパワーをもらい、自分のルーツを見つけ、妻のために彼女の恋人を訪ねる――喜びと悲しみと切なさがたくさん詰まった旅の果てに、マットが辿り着いた<最初で最後の大いなる決断>。その答えはきっと、なんでもない一日を愛し続ければ、何があっても人は立ち直れると、私たち観客を励ましてくれるだろう。



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