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ペドロ・アルモドバル

ペドロ・アルモドバル(監督・脚本)。
1949年スペインのラ・マンチャ出身。

漫画や短編小説を書きながら、8ミリ映画を撮りながら独学で映画作りを学ぶ。1980年より商業映画監督をするようになり、3作目の『バチあたり修道院の最後』が他国でも評判となる。

1987年の『神経衰弱ぎりぎりの女たち』が世界的にヒット、その後『アタメ』、『ハイヒール』、『キカ』など問題作を送り出した。
1998年 『オール・アバウト・マイ・マザー』でアカデミー賞外国語映画賞。

2002年 『トーク・トゥ・ハー』でアカデミー脚本賞を獲得。いまやスペインのみならず、世界的にも“巨匠”の風格漂う、映画界屈指の一流監督へと成長した。

フィルモグラフィ

※日本公開作品のみ

・セクシリア('82)
・バチ当たり修道院の最期('83)
・マタドール〈闘牛士〉・炎のレクイエム('86)
・ 欲望の法則('87)
・神経衰弱ぎりぎりの女たち('88)
・アタメ('89)
・ハイヒール('91)
・キカ('93)
・私の秘密の花('95)
・ライブ・フレッシュ('97)
オール・アバウト・マイ・マザー('98)
トーク・トゥ・ハー('02)
バッド・エデュケーション('04)
ボルベール<帰郷>('06)
抱擁のかけら('09)

「私はいつだって女たちに魅了されてきた。私にとって女は命より大切なものなんだ」
ペドロ・アルモドバル

こう言い放つのは、女性を描かせたら右に出るものはいない、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督だ。その独特な視点で描かれた「愛」の形、常に「女」をテーマにしてきたルーツは一体どこにあるのだろうか。

picそれは、女性に囲まれて育った生い立ちに他ならない。スペインのラ・マンチャ地方で、アルモドバルは母親や近所の女たちと過ごすことが多く、女性のたくましさや弱さ、複雑な感情の移り変わりなど、細かい変化をその肌で感じながら生きてきた。その体験こそがアルモドバルの原点であり、見事なまでの女性描写につながっているのである。

最新作『抱擁のかけら』では、アルモドバルのミューズであるペネロペ・クルスが、愛に翻弄された女の人生を華やかに演じている。中でもひと際目を引くのが、その華やかなファッションと色づかいだ。

pic映画の準備期間の半分を衣裳合わせに費やし、服から靴、アクセサリーに至るまで、全てを自らが選んだというアルモドバル。彼にとって衣裳とは単なる飾りではなく、キャラクターの感情を伝える上で欠かせないアイテムとなっている。特に「赤」を身にまとうペネロペ・クルスの姿は、脳裏に焼きついて離れない。それはまるで、粉々に砕け散った愛から流れ出る鮮血のような「赤」だった。

『トーク・トゥ・ハー』では、男女の愛、友人間の愛、狂信的な愛など、実に様々な「愛」が登場する。自分の愛を信じて疑わない男と、愛が信じられなくなった男。ふたりの女を巡ってそれぞれの愛と孤独が絡み合い、思いもよらぬ結末に「愛とはなにか」をあらためて考えてしまった。

アルモドバルの表現したかった「愛」、それは目には見えない精神的な抱擁を意味するのかもしれない。女という神秘的な存在に魅了され続けてきたアルモドバルの、強く熱い抱擁をぜひご覧ください。

(ぐり)

 


Hable Con Ella

トーク・トゥ・ハー
(2002年 スペイン 113分 シネスコ/SRD) pic 2010年7月24日から7月30日まで上映 ■監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
■撮影 ハビエル・アギーレサロベ
■音楽 アルベルト・イグレシアス

■出演  ハビエル・カマラ/ダリオ・グランディネッティ/レオノール・ワトリング/ロサリオ・フローレス/ジェラルディン・チャップリン/パス・ベガ

■アカデミー賞脚本賞/LA批評家協会賞監督賞/ゴールデン・グローブ外国語映画賞/英国アカデミー賞オリジナル脚本賞・ 外国語映画賞/ヨーロッパ映画賞作品賞・ 監督賞・ 脚本賞 ほか多数

『トーク・トゥ・ハー』は私から皆さんに贈る抱擁です。
皆さんひとりひとりの胸で、抱きとめてほしい抱擁なのです。
そして抱擁というものは、あたたかくなければなりません。

――ペドロ・アルモドバル

pic病室の清潔な白いベッドの上で、アリシアは昏睡状態となり深い眠りの中にいた。だが、彼女はひとりではない。看護師のベニグノが、4年間、眠り続ける彼女の髪や爪の手入れをし、体を拭き、クリームを塗り、服を替える。彼女に日々の出来事や感動的な舞台や映画について語りかけるベニグノは、他人からは解らなくとも、2人の間に確かなコミュニケーションの存在を感じている。

一方、女闘牛士であるリディアもまた、競技中の事故によって昏睡状態で入院していた。彼女の恋人であるアルゼンチン人のマルコは、突然の事故に困惑し、彼女の傍らで泣き、ふさぎこんでいた。互いの境遇を語りあったベニグノとマルコの間には、いつしか厚い友情が生まれていった。しかし、ベニグノの盲信的ともいえる揺るぎない愛は、誰も予想だにしなかった悲劇と奇跡を招き、それぞれの運命を大きく変えてゆく…。

孤独を知る全ての人々へ…アルモドバルが描く愛の讃歌。

pic愛する者が昏睡という、手の届かない世界へ行ってしまった時、ある者は涙に生きるしか術を知らない。だが決してあきらめることなく、語りかけ、呼びかけ続ける者もいる。届かないはずの言葉は届くのか?愛は奇跡をもたらすのだろうか?だがその代償は?そんな問いへのひとつの答えを、アルモドバルは、温かな洞察と啓示に満ちた切ない究極の愛の物語へと結実させた。

現在と過去を自在に行き来しながら、4人の孤独な主人公たちの心とその背景を次第に明かしてゆくスリリングな構成や、要所要所で挿入される舞踏、サイレント映画、音楽の巧みな使い方も、物語の語り手としてのアルモドバルの成熟を示している。生と死、愛と孤独、痛みと希望、切ないまでのコミュニケーションへの渇望…全世界の映画賞を席巻した、心揺さぶる本物の感動が拡がっている。


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Los Abrazos Rotos

抱擁のかけら
(2009年 スペイン 128分  シネスコ/SRD PG12 2010年7月24日から7月30日まで上映 ■監督・脚本 ペドロ・アルモドバル
■撮影 ロドリゴ・プリエト
■美術 アンチョン・ゴメス
■音楽 アルベルト・イグレシアス

■出演 ペネロペ・クルス/ルイス・オマール/ブランカ・ポルティージョ/ホセ・ルイス・ゴメス/ルーベン・オチャンディアーノ/タマル・ノバス

■ヨーロッパ映画賞音楽賞/放送映画批評家協会賞外国語映画賞

抱擁の数だけ、愛が生まれ
抱擁の数だけ、愛が壊れ
それでも抱擁の記憶が、未来をくれた――

pic欲望と裏切りが引き起こした事件により、愛、視力、そして人生までも失ったハリーは、過去を封印し、名前を変えて違う人生を生きてきた。あれから14年、事件の謎を握る男との再開をきっかけに、彼は再び愛と向き合う。

14年前、ハリーは映画監督として活躍、女優を夢見る女性レナと出会う。2人はひと目で恋に落ちるが、レナには富と権力で彼女を支配するパトロン・エルネストがいた。ハリーとの出会いで愛に目覚め、女優として生きる喜びを知ったレナは、エルネストとの関係に終止符を打とうとする。しかし行き過ぎた愛が、2人を引き裂く事件を引き起こす。ハリーは愛を辿り、事件の裏に隠された真実を知る。魂を揺さぶるその真実とは…。

巨匠アルモドバル監督の新境地。
ペネロペ・クルスの最高の演技を得て輝く、愛の崩壊と感動の再生。

pic『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール<帰郷>』の女性讃歌三部作で、世界中を魅了した巨匠ペドロ・アルモドバル。待望の最新作で彼は、<究極の愛>の全貌…誕生から崩壊、そして再生までを描ききった。人は何度挫折や破壊を繰り返しても立ち上がることができる。これはそんな人生の素晴らしさを謳いあげる、アルモドバル流の人生讃歌の傑作である。

pic主演はアカデミー賞に輝く世界のミューズ、ペネロペ・クルス。「この脚本は、私の人生の中で読んだ最高のもの」と絶賛する彼女が、監督との絶大な信頼関係によって創り上げた濃密な世界は圧巻。愛すること、愛されること、成功することの全てを手に入れたいと願う、女の中の女を圧倒的な演技力と存在感で魅せる。



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