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今週はスターの二本立て。ロックスターとハリウッドスター。
人間はいつか死ぬ。その前に星のように輝こうじゃないか。
たとえ転がり続ける人生だって、悔いのないように。
死んでお星様になる前に。命の光を燃やせ。
さあ、オレたちの生きザマを見よ!

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
SHINE A LIGHT
(2008年 アメリカ 122分 ビスタ/SRD)

2009年6月6日から6月12日まで上映 ■監督 マーティン・スコセッシ
■製作総指揮 ミック・ジャガー/キース・リチャーズ/チャーリー・ワッツ/ロニー・ウッド

■出演 ザ・ローリング・ストーンズ/クリスティーナ・アギレラ/バディ・ガイ/ジャック・ホワイト

■オフィシャルサイト http://www.shinealight-movie.jp/

ザ・ローリング・ストーンズ × マーティン・スコセッシ。誰もが驚く夢の競演!一流アーティスト同士が魂を削って創り上げた最初で最後のライブ・エンターテインメント!半世紀近くも君臨してきたバンドのパフォーマンスに、18台のカメラがあらゆる角度から迫る。「ファーストソング!」スコセッシの掛け声とともに、今、開演!

2006年11月、ニューヨーク。ロックの歴史に新たな伝説が誕生した。

pic転がり続ける石たち。1962年のロンドン、ザ・ローリング・ストーンズは誕生した。“不良の音楽”と呼ばれたロックバンド。人生の大半を音楽と共に生き、しわくちゃになった今なお世界中の人々の心をつかんで止まないモンスターバンド。成功者、ロックスターとして君臨する彼らも、そんな存在になりたいと夢見る少年少女たちと同じく苦悩はあったはずだし、その生きざまがロックとして輝いているのではないだろうか。

監督はマーティン・スコセッシ。当初、スタジアムでの映像を収める予定だったが、より観客と距離が近く、会場に親密な一体感が生まれる規模のビーコン・シアター(わずか2,800人キャパ)でのコンサートの記録となった。

『ワン・プラス・ワン』『ギミー・シェルター』など、ストーンズを撮った映画は数あれど、これは、超体感型スペクタクルである。ミック・ジャガーとマーティン・スコセッシという2人のアーティストの、“本気のせめぎ合い”であるのだ。 <Jumpin' Jack Flash>が、今、高らかと鳴りわたる。

伝説が生まれる瞬間はある。
それならいっそ、その伝説を創ってやろうじゃないか。

picライブの醍醐味を映像で完璧に表現することは、まず無理であろう。映像には映像の、ライブ会場にはライブのそれぞれの良さがあって、これは古くは写真、そして映像という技術が生まれたその瞬間から、抗えない命題となったのではないだろうか。ライブのアウラ(オーラ)は一回限り、一期一会のものであり、そこに居合わせた人だけが味わえるものだ。だが、映像には映像の良さがある。カメラがズームを使うことによって会場の誰より近くに演者を観ることができる。また、映画館と自宅でのDVD鑑賞とは全く異なるということも言える。

映画館は、一期一会、観客の一回性、一体感も感じられる。ある種、特殊な空間なのだ。映画という芸術を、早稲田松竹という空間で堪能してみてはいかがだろう。ロックンロールのとりことなること請け合いだ。こういうかっこいい歳のとりかた、年輪の重ね方をしたいものだ。真面目に不良をやるとはこういう人たちのことをいうのだろう。

ニューヨークのビーコン・シアターと高田馬場の早稲田松竹が今、つながる。


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その男ヴァン・ダム
JCVD
(2008年 ベルギー/ルクセンブルク/フランス 96分 シネスコ/SRD)

pic 2009年6月6日から6月12日まで上映 ■監督・脚本・脚色・台詞 マブルク・エル・メクリ
■出演 ジャン=クロード・ヴァン・ダム/フランソワ・ダミアン/ジネディーヌ・スアレム /カリム・ベルカドラ/ジャン=フランソワ・ウォルフ/アンヌ・パウリスヴィック

■オフィシャルサイト http://vandamme.asmik-ace.co.jp/

ジャン=クロード・ヴァン・ダム、48歳。90年代を席巻した、ハリウッドが誇るアクションスター。しかし21世紀、そのスタイルはもはや時代遅れ。ギャラは急降下、セガールに役を奪われ、私生活では娘に嫌われ、銀行口座は底をつく。挙句の果てに、たまたま立ち寄った郵便局で強盗犯に間違われ…。

あのヴァン・ダムが、自ら“どん底”の
ヴァン・ダム(自分)を演じる?!

picジャン=クロード・ヴァン・ダム、格闘家、アクション俳優。これは、その昔、ハリウッドで一世を風靡したスターがどん底へ向かう人生の物語。格闘家、スポーツ選手、アクション俳優のなれの果て。人間は誰しも年をとり、肉体は衰えるというのが世の常だ。これぞ転落人生、ちょっと違った意味の転がる石(ローリング・ストーン)。

その男、ベルギー、ブリュッセルに生まれる。
その男、格闘家となりチャンピオンになる。
その男、アメリカへ渡り、アクション俳優となる。

ハリウッドで成功するサクセスストーリーの持ち主。だが、48歳となった現在、4回の離婚、ドラッグ問題、体力の衰え、娘は父がテレビに出るたびに学校で笑いものにされる。なんともうまくいかないものだ。しかし、ひとたびベルギーに帰るとヒーローとして歓迎される。現実のジャン・クロードと映画の中のジャン・クロードがオーバーラップする。

picそんな中、地元でヴァン・ダムが銀行強盗に巻き込まれ、銀行強盗の犯人と間違われてしまう。さてはて、どうなる事やら。 監督は昔からのヴァン・ダムファンであるマブルク・エル・メクリ。「そろそろアクションがきつい。」そんなジャン=クロード・ヴァン・ダムのぼやきが聞こえてきそうだ。

これはマジな演技か、
悪ノリのセルフ・パロディか、
はたまたヤケクソの開き直りか?!

“スター”の内情を皮肉りながらどん底の自分自身を演じるヴァン・ダムの鬼気迫る演技は、 これまでの筋肉男爵=ヴァン・ダムのイメージを破壊する。いまだかつでないスーパー・メタ・フィクションに挑む、ヴァン・ダムの新境地!

アメリカンドリームを手にした1人のヨーロッパ人である彼。三流スターなどという先入観を持たれるかもしれないが、この作品を観終わった後、あなたには彼のことがどう映るだろうか。人生にバカはつきもの。だが、彼は演技の中に何かを見出したのだ。

ベルギー・ブリュッセルと日本・東京が今、つながる。

(ラオウ)


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