ニューヨークをこよなく愛するウディ・アレンが仕掛けた謎、
タイトルはずばりそのまま『ウディ・アレンのマンハッタン殺人ミステリー』。
マンハッタン殺人ミステリー
MANHATTAN MURDER MYSTERY
(1993年 アメリカ 107分)
2008年4月5日から4月11日まで上映
■監督 ウディ・アレン
■脚本 ウディ・アレン/マーシャル・ブリックマン
■出演 ダイアン・キートン/ウディ・アレン/アラン・アルダ/アンジェリカ・ヒューストン/ジェリー・アドラー/ロン・リフキン
キャロルとラリーはニューヨークの中心街、マンハッタンに住む夫婦。毎晩のようにスポーツ、観劇、名画座に出掛け楽しんでいる。一見、何不自由ない暮らし。キャロルは広告会社で働くバリバリのキャリア・ウーマンだったが今は家庭に入り、20年の主婦業を経てすっかり倦怠の人。そこに降って沸いた隣人の急死の謎。それは彼女の好奇心をむくむく膨らませることとなって、さあ捜査開始!?
『アニー・ホール』から16年、『マンハッタン』から14年以来のウディ&ダイアン。ダイアン演じるキャロル役は元々、アレンがミア・ファローのために書いたもの。しかしミアとの大破局によって出演はとりやめに…。そこで助っ人に現れたのがかつての恋人であり旧友のダイアン・キートンだったのだ。
警戒心?それ何?と言わんばかりにどんどん首を突っ込んでいく妻をたしなめつつ巻き込まれていく夫。
このウディ&ダイアンコンビの絶妙な掛け合いが映画をさらにテンポよく軽快に(殺人事件だけど…)していることは言うまでもない。
そして、ビリー・ワイルダーの『深夜の告白』や、オーソン・ウェルズの『上海から来た女』をネタとして巧みに引用し、映画ファンをくすりとさせることも忘れない。遊び心溢れる快作!
さて、それから十数年が経過し、ウディ・アレンから新しい謎が届く。その名は『タロットカード殺人事件』。
タロットカード殺人事件
SCOOP
(2006年 イギリス/アメリカ 95分)
■監督 ウディ・アレン
■脚本 ウディ・アレン
■出演 スカーレット・ヨハンソン/ヒュー・ジャックマン/ウディ・アレン/イアン・マクシェーン/チャールズ・ダンス/ロモーラ・ガロイ
かつてイギリス中を恐怖に陥れた切り裂きジャック事件。その再来とも言われる連続殺人事件が起こっていた。被害者は全員女性で、現場には必ずタロットカードが…。 警察も掴めない手がかり。しかし、ひょんなことから新聞記者志望の女子大生、サンドラが手に入れた“スクープ”、それは真犯人の名前!
舞台をロンドンに移し、連続殺人鬼の正体と、その現場に必ず残されているタロットカードの謎にせまる。にわか名探偵に扮するのはもちろんウディ・アレンと、今ハリウッドで最も魅力的でセクシーな女優のひとり、スカーレット・ヨハンソン。ださいメガネをかけ、スクール水着(ふう)着用でも隠せない魅力は是非スクリーンで。
92年の『夫たち、妻たち』以来、2作続けて同じ女優をヒロインに起用することのなかったウディ・アレンだが、『マッチポイント』に続く今作での起用、さらには公開が待たれる最新作でもヒロインにと、相当なお気に入りのようす。ヨハンソンが他の若い女優みたいにパーティ三昧な日々を送ったり男関係が乱れたりしないか心配しているという、もはやお父さんは心配性、である。
二本ともサスペンスでミステリーでありながら、それを楽しみつつ時には笑えて、
しかも爽快な気分にもなる。なんだか贅沢。
ウディ・アレンの観客を楽しませる持ち前のセンスは勿論のこと、
好奇心旺盛、でしゃばりなのに呆れるくらい可愛らしい女性を演じたダイアン・キートンと
スカーレット・ヨハンソン。このふたりの魅力なくしては語れない。
目をきらきらさせながら真相を探し出そうとする姿を見ていると、こっちまで妙なやる気が…。
ウディ・アレンは本当に女性を見る目が良いのだなあ、というか
女性を愛しているんだなあ、とつくづく感じてしまう。
極上というほかないウディ・アレンの謎解き二本立て。
この愛すべきにわか探偵たちと一緒に推理しているうちに、
花粉症でぼけた頭もシャッキリすること間違いなしです!犯人は誰だ?
(リンナ)