アカデミー賞バンザーーーイ!
ということで、今週は第80回アカデミー賞の注目作2本を取り上げてみました!
『ノーカントリー』
第80回アカデミー賞:作品賞/監督賞/助演男優賞(ハビエル・バルデム)/脚色賞、最多4部門受賞!
その他、全米各映画賞95部門受賞!
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
第80回アカデミー賞:主演男優賞(ダニエル・デイ=ルイス)/撮影賞、ダブル受賞!
各映画賞、映画祭賞合わせて通算主演男優賞20冠、監督賞7冠、作品賞6冠 達成!
見よ、この圧巻の受賞ぶりを!
名前を挙げると切りがないほどの見事な受賞成績。
別に賞の数が作品を決めるわけではないが、ここまで見せつけられると注目しないわけにはいきません。
そして、この2作品に共通して言えることは《古典的》な作風の映画という点が目に付きますね。
時代に流されない小細工なしのストレートともいえる映画の作り方、演出。
技術面にも制作者側の映画愛が滲み出ています。
まさに、キング・オブ・フィルム!映画の王様とも言える2本です。
王様が2人!なんて豪華、贅沢なことなんでしょう。一日に2人の王様に出会えるなんて!
ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
THERE WILL BE BLOOD
(2007年 アメリカ 158分)
2008年9月20日から9月26日まで上映
■監督・脚本・製作 ポール・トーマス・アンダーソン
■原作 アプトン・シンクレア 『石油!』
■出演 ダニエル・デイ=ルイス/ポール・ダノ/ケヴィン・J・オコナー/キアラン・ハインズ/ディロン・フレイジャー/バリー・デル・シャーマン
■オフィシャルサイト http://www.movies.co.jp/therewillbeblood/
『市民ケーン』『ジャイアンツ』と並ぶ《古典的名作》が誕生!今を代表する映画監督ポール・トーマス・アンダーソンの最新作はアメリカン・ドリームの闇をえぐる、鮮烈な大河ドラマ!
20世紀初頭のカリフォルニアを舞台にしがない鉱山労働者(ダニエル・デイ=ルイス)が石油採掘によって富と権力を手に入れていく姿を描き出した魂の叙事詩。
大地から噴き出す石油は、まるで欲望という名の血のように彼を毒していき、強欲、誘惑、腐敗、欺瞞といったあらゆる悪徳を糧にして人とは共存不可能なモンスターへと化していく。あとに残るは破綻の二文字だけ…。
「彼抜きではこの映画は成立しない」というアンダーソン監督の念願が叶い、アカデミー俳優のダニエル・デイ・ルイスが主演を快諾。狂気に侵されていく難しい役どころを見事に演じ切り、映画界にセンセーションを巻き起こした。
また、共演は『リトル・ミス・サンシャイン』の悩み多きパイロット志望の青年役で注目を集めたポール・ダノがカリスマ的な影響を持つ神父を演じ、作品に漂う不吉な予感をさらに助長させている。
これは正統なアメリカン・ドリームの物語ではない。むしろ、今のアメリカを、または全世界を衝き動かしてきた人間の闇を、冷酷なまでに誠実に赤裸々に描いた欲望の物語。
決してあなたに関係のない話ではないはず。
何故なら、それは私たちの日常にもゴロゴロと存在しているものだから。
ノーカントリー
NO COUNTRY FOR OLD MEN
(2007年 アメリカ 122分)
2008年6月14日から6月20日まで上映
■監督・脚本・製作 ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
■編集 ジョエル&イーサン・コーエン(ロデリック・ジェインズ名義)
■原作 コーマック・マッカーシー 「血と暴力の国」
■出演 トミー・リー・ジョーンズ/ハビエル・バルデム/ジョシュ・ブローリン/ウディ・ハレルソン/ケリー・マクドナルド/ギャレット・ディラハント
あなたは息を継ぐことさえできない。
静寂の中に漂う異様な緊迫感…。
すべてのはじまりは1980年代アメリカ・テキサスの砂漠から。
偶然死体に囲まれたトラックの荷台から大量のヘロインと200万ドルを見つけたベトナム帰還兵のモス(ジョシュ・ブローリン)は自分の人生を大きく変えてしまうことを知りながらも、その金を奪い逃げてしまう。消えた金を取り戻すために雇われた殺し屋・シガー(ハビエル・バルデム)は目的のためには自分の体も道具としか考えない完璧な死の供給者。法も神をも超えた悪だけが彼のルール。盗まれた金に取り付けてあった発信機を元にモスの行方を追いはじめる。
また、その一方で現場検証に来た保安官のベル(トミー・リー・ジョーンズ)はモスが事件に巻き込まれたと思い、身柄を確保するために彼らの行方を追うことになる。もはや、誰にも止められない残酷な逃亡劇。3人を待ち受けるそれぞれの結末とは…。
『ファーゴ』『バーバー』のコーエン兄弟の最高傑作との呼び名も高い今作は、ここ数年ご無沙汰だったいかにもコーエン兄弟らしい作風が復活した。ノワール的な要素を含みながら、本作では静寂が引き起こす緊迫感と恐怖を観ている者の内側から引き出すという新たな挑戦を試みている。
さらに世界各国から終結した豪華キャストが渾身の演技を披露!今作でアカデミー助演男優賞を受賞したハビエル・バルデムをはじめ、注目株のジョシュ・ブローリンらの演技がスリリングなストーリーに深みを与えている。そして、皆様お馴染みの切ない顔をさせたら右に出るものはいない大物俳優のトミー・リー・ジョーンズが物語の語り手的存在としてスクリーンを魅了している。