エミール・クストリッツァについて語る時、不思議とリズミカルになってしまいます。
観たことある方はご存知の通り、これからご覧になる方もすぐにお分かりになると
思いますが、彼の映画は音楽であり、音楽は映画なのです。
強引な言い方にも聞こえますが、彼のあまりに純粋なクリエイティビティは
映画の枠にきっちり収まるわけでもなく、音楽の枠にも収まりません。
その作品は生身のまま存在している…まさに映画であり、
ライブなのです♪愛だろ、愛♪
以下、『黒猫・白猫』パンフより抜粋
♪クストリッツァ♪
初めて映画を作るつもりで作ったんですよ。映画に戻れることが嬉しくて(前作『アンダーグラウンド』による政治がらみの毀誉褒貶にうんざりして、一時引退宣言をしていた)、人生のありとあらゆるものに対する自分の熱狂や愛情を表したい思いに駆られていましたから、人生に、色彩に、光に、そのまま戻っていった。悲劇はもう十分。
私の映画では死者たちだって生き返る。ジプシーたちは愛することを愛する人々で、人生のどんなささやかな瞬間でも大事に生きる、すばらしいヴァイタリティーのある人々なので、それが私を駆りたてている思いを表すのにぴったりだったのです。(省略)彼らは自分たちを守るために原爆など必要としないし、自分たちのアイデンティティを保つには音楽と美さえあればいい。(省略)私の映画では、音楽は映画の構造そのものなんだから。
もうこれ以上言うことはありませんが(笑)、併映の『ライフ・イズ・ミラクル』では、
ボスニア戦争を背景に、その中で起こったある男女の実話を元にしたとクストリッツァは語っています。
いくら戦争が激化しようとも、屈することなく輝き続ける生の喜び!愛!
今回の2本立てをご覧になれば、きっとあなたの中で愛のリズムが響き渡ります♪♪♪
この世でクストリッツァにしかできない映画ライブ!泣いて笑って愛しちゃってください♪♪♪
最後に、、、『ライフ・イズ・ミラクル』パンフより抜粋
「愛」というのは、人間にとって最も強力なモチベーションになる。
そして僕にとっては、映画作りに欠かせない要素なのだ。
―監督:エミール・クストリッツァ
ライフ・イズ・ミラクル
ZIBOT JE CUDE / LIFE IS MIRACLE
(2004年 フランス/セルビア=モンテネグロ 154分)
2008年6月14日から6月20日まで上映
■監督 エミール・クストリッツァ
■脚本 エミール・クストリッツァ/ランコ・ボジッチ
■音楽 ノー・スモーキング・オーケストラ
■出演 スラヴコ・スティマチ/ナターシャ・ソラック/ヴク・コスティッチ/ヴェスナ・トリヴァリッチ
常に自由奔放で破天荒な想像力を噴出させ、圧倒的オリジナリティで人間愛を描き続けてきたエミール・クストリッツァが満を持して挑んだ本作は、実際にボスニア紛争中、あるセルビア人男性の身におきたエピソードをもとにしたという、せつなくもあたたかいラブストーリー。
紛争中、敵側の捕虜と恋に落ちてしまった男が、その捕虜と自分の家族の一員を交換する立場に立たされ、恋をとるか家族をとるかの究極の選択を迫られる。彼のせつない胸の内に寄り添うように、独特のおおらかさとユーモアを交えて、愛することの過酷さと素晴らしさが描き出されていく。最後に浮かび上がるのは、どんなに辛く絶望的な状況でも、生きて愛することができる限りそこには希望があり喜びがあるのだ、という力強いメッセージ。「人生というものの奇跡を信じているんだ」と語るクストリッツァの思いがあふれ出るラストには、誰もが深い感慨を覚えずにはいられない。
黒猫・白猫
BLACK CAT, WHITE CAT
(1998年 フランス/ドイツ/ユーゴスラビア 130分)
2008年6月14日から6月20日まで上映
■監督 エミール・クストリッツァ
■脚本 ゴルダン・ミヒッチ
■音楽 ノー・スモーキング・オーケストラ
■出演 バイラム・セヴェルジャン/スルジャン・トドロヴィッチ/ブランカ・カティッチ/フロリアン・アイディーニ
■1998年ヴェネチア国際映画祭監督賞受賞
『黒猫・白猫』は98年ヴェネチア国際映画祭で最大の話題を呼んだ、エミール・クストリッツァの長編第6作で初のコメディ。第3作『ジプシーのとき』で親しんだロマ(ジプシーの人々)の陽気で、自然で豊かな人間味に光をあて、スリルとギャグの連打で爆笑を呼び、感動の熱い拍手に包まれて、銀獅子賞最優秀監督賞を受賞した。
夢のように美しいドナウ河で展開するのは、若者ザーレとイダのラブストーリーを縦糸に、ザーレの父親で一攫千金の夢ばかり追うマトゥコと新興ヤクザのダダンの世代、そして『カサブランカ』のボギー顔負けの友情で結ばれている“ゴッドファーザー”のグルガとザーレの祖父の世代がもつれあう、人情と愛の物語。石油列車ハイジャックを機に、だますかだまされるか、黒猫と白猫もあ然とする、奇想天外の活躍を繰り広げる。