最近の色濃いカラー映画を観過ぎて目が疲れてきたあなた。
ここらでちょっとモノクロ映画(白黒)を観て目の保養といきませんか?
今度うちに丁度いいのが入るんですよ。
それは何かと云いますと…
なんと!ハリウッドの名匠ビリー・ワイルダー監督作品『お熱いのがお好き』なんですよ!
お熱いのがお好き
SOME LIKE IT HOT
(1959年 アメリカ 122分)
2008年2月2日から2月8日まで上映
■監督・脚本 ビリー・ワイルダー
■原作 R・ソーレン
■脚本 I・A・L・ダイアモンド
■出演 ジャック・レモン/トニー・カーティス/マリリン・モンロー/ジョージ・ラフト/ジョー・E・ブラウン/パット・オブライエン/ネヘミア・パーソフ
誰もが知る傑作ですね〜。
白黒コメディ映画の王様と言っても決して過言ではない一品!
今見ても腹をかかえて笑うことができるから本当に驚きです。
舞台は酒の密売でギャングが栄える1929年のシカゴ。サックス奏者のジョー(トニー・カーティス)とバス・ヴァイオル奏者のジェリー(ジャック・レモン)は不運にも機関銃で武装したギャング達の虐殺現場を目撃してしまう。命からがらその場を逃げた2人はオール女性オーケストラの団体に女装して紛れ込み、寝台車に飛び乗る。
そこで2人はウクレレ奏者のシュガー(マリリン・モンロー)に出会う。豊満な体とブロンドヘアー。ジョーは彼女に一目惚れをしてしまう。しかし、シュガーは今まで6人ものサックス奏者と恋に落ち、その度に痛い思いをしてきたので、今度こそはヨットを持った石油成金と玉の輿ゴールインをするつもりだった。
一方、ジェリーは女装姿が大金持ちのお人よし息子の目に留まり、求婚されてしまう。一体、2人の恋の行方はどうなってしまうのか。笑いに満ちた展開にもう目が離せない!
そして内容もさることながら、やっぱり1番の注目は今作が色んな意味で全盛期とも言えるマリリン・モンロー。
マリリン・モンローと聞くとブロンドヘアーでお色気たっぷりのセックスシンボル的な印象を持ってしまいますが、それは早とちり。スカートが捲れ上がっている写真だけが彼女の魅力ではありません。真のマリリン・モンローの魅力は女優として映画の中で輝かしく演技している瞬間にあるのです。
マリリン・モンローの噂は皆様も色々と耳にしたことがあると思いますが、この時期すでに彼女の精神状態はかなり不安定。遅刻を繰り返し、撮影状況も決して良いというものではありませんでした。実際、何か演技にもモヤモヤしたものが滲み出ているような気がします。
ただ、時折見られる彼女の瞳が吸い込まれそうなくらい透き通っているのです!それは透明度で名高い四万十川の水のように澄み、何とも言い難い純度を見せつけてくれるのです。まるで無垢な子供のような一面。それが垣間見えた時、あなたはもうマリリン・モンローの虜。
さあ、笑いとマリリンに満ちた『お熱いのがお好き』の世界で現代の疲れを癒そう!
笑いは世界の救済者!
マリリン・モンローは永遠の輝き!
〈ローラ〉
アパートの鍵貸します
THE APARTMENT
(1960年 アメリカ 121分)
2008年2月2日から2月8日まで上映
■監督・脚本 ビリー・ワイルダー
■脚本 I・A・L・ダイアモンド
■出演 ジャック・レモン/シャーリー・マクレーン/フレッド・マクマレイ/レイ・ウォルストン/デヴィッド・ルイス/ジャック・クラスチェン
ところはニューヨーク。とある大保険会社。ズラーっと整列された机のひとつでせっせと仕事をするバクスター(ジャック・レモン)。彼にはもうひとつの仕事があった。自分のアパートの鍵を貸して、逢引きの場所として提供する。
バクスターは何もおせっかいでこんな面倒くさいことをしているわけではありません。彼の狙いはズバリ出世。バクスターが鍵を貸し出しているのは四人の上司たち。
これがもう連日大盛況!愛人と遊ぶのにうってつけの目立たない隠れ家を取り合いっこしているわけです。まったく、おじさんたち遊びすぎです!
とはいえ、「出世は確実」「君を推薦しておいた」そんな言葉に希望を抱き、今日もバクスターは、睡眠時間を削ってでも、せっせと上司の不倫に貢献しているのです。
さて、この秘密のアパートに目を付けたもうひとりの男がいます。それは人事部長のシェルドレイク氏(フレッド・マクマレイ)。昇給を条件にアパートへの仲間入りをせまり、思惑どおり、アパートの鍵を手に入れます。バクスターは、まあ四人が五人になるくらい…と軽い気持ちでした。けれど、シェルドレイク氏が愛人として連れ込んだのが、ひそかにバクスターが思いを寄せていたエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)だったもんですから、もう大ショックです。さあ、バクスターどうする!?
アパートの住人には女たらし扱いされ、恋する女性は上司の愛人という哀れなサラリーマン、バクスター役にはジャック・レモン。ワイルダーが、この脚本は彼のために書いたというまさにジャック・レモンのための役どころ。上司に見せる哀愁たっぷりの微妙な笑顔が本当にやつれた会社員みたいで、つい応援したくなります。
名匠ビリー・ワイルダー。数々の名作の中でも特に人気の高いこの作品。あたりまえですが、面白い映画は何度観ても面白いです。そして、いつ観てもやっぱりいい気分にしてくれる!ラスト・シーンの素晴らしさはあまりにも有名。
気の利いた台詞、粋な小道具。うますぎる脚本。そしてすべての登場人物に向けられる優しい目線。サラリーマンの哀しい実情を描いていてもどこか笑えてしまう。だけど皮肉な笑いだけに走らないところが、また素敵です。
(リンナ)