「“邦画バブル”はもう終わった」
うん、まあ確かにそうかもしれない。
でもバブルは終わっても、個性のある作品というのは相も変わらず生まれていますよ、ということで。
今週はそれぞれ今の時代の特徴を持った、邦画のコメディで二本立てです。
(佐々木蔵之介特集、とも言えますが、それは偶然です、ほんとに。)
ぼくたちと駐在さんの700日戦争
(2008年 日本 110分)
2008年11月8日から11月14日まで上映
■監督 塚本連平
■脚本 福田雄一
■原作 ママチャリ
■出演 市原隼人/佐々木蔵之介/麻生久美子/石田卓也/加治将樹/賀来賢人/脇知弘/冨浦智嗣
/坂井真紀/ガッツ石松/片桐はいり/掟ポルシェ/石野真子/竹中直人
■オフィシャルサイト http://bokuchu.gyao.jp/
まず、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』。これがまた実に今っぽい、「ブログ小説からの映画化」。ケータイ小説だの、ブログ小説だの、なんかそんなのなぁ…って感じの方も多いのではないかと思いますが(私もそうです)、この「ぼくちゅう」は割とおもしろいんですよ。さくっと読めちゃうので、よろしければこちらからどうぞ。→ブログ「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」
驚くべきことに、これは実話をもとにした映画化作品。前述の原作ブログはアクセスランキングが18か月No.1という、怪物的な人気作。読者は、小学生から70代まで、幅広い年齢層にいたる。
映画版はイタズラ合戦だけでなく、青春時代特有の熱くてまっすぐな思いを映し出した、痛快エンタテインメントに仕上がっている。正直、最初は「なんかTV っぽいなコレ」とは思ったものの、ママチャリを演じる市原隼人をはじめ、キャストのはじけっぷりのすがすがしさに、そんな思いも吹き飛んでしまう。楽しい。
1979年、とある平和な田舎町。イタズラを仕掛けることに生きがいを感じていたママチャリ(市原隼人)率いる7人は、気ままな高校生活を送っていた。ところが、ある男の出現により、自分たちの存在が脅かされることに!?
その男こそ、国家権力の元で正義を守るべき公務員、駐在さん(佐々木蔵之介)だ。ところがヤツは、問題大ありな日本一大人げない男。なんと、容赦ないイタズラの奇襲攻撃をお見舞いしてきた!
ぼくたちは、駐在さんに対して真っ向から立ち向かうことを決意。今、イタズラ大戦争のゴングが鳴った!どうする、ぼくたち!?
アフタースクール
(2007年 日本 102分)
2008年11月8日から11月14日まで上映
■監督・脚本 内田けんじ
■出演 大泉洋/佐々木蔵之介/堺雅人/常盤貴子/田畑智子/北見敏之/大石吾朗
■オフィシャルサイト http://www.after-school.jp/
つづいて『アフタースクール』。こちらは、長編デビュー作『運命じゃない人』が2005年カンヌ映画祭・批評家週間にて4賞受賞、国内の様々な映画賞でも8賞受賞という快挙を成し遂げた、内田けんじ監督の3年ぶりとなる待望の新作。『運命じゃない人』では、“日本一のいい人”=宮田の周りで起きる、大金をめぐる一晩のドタバタ劇を、時間軸を前後させ、それぞれの視点で見せるという細部まで練りこまれた脚本と抜群の構成力で見る人を魅了したが、本作もしかけたっぷり、驚きの展開を見せてくれる。
母校の中学校で働く人の良い教師・神野(大泉洋)。夏休みだが部活動のため出勤していた彼のもとに、神野の同級生だという怪しい探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。しかし神野はその男をなんとなくしか覚えていない。
探偵は神野の親友で同級生、現在は一流企業に勤める木村(堺雅人)を探していた。今朝も産気づいた木村の妻(常盤貴子)を、神野は仕事で忙しく昨夜からつかまらない木村にかわり病院へ連れて行ったばかりだった。
神野に探偵は「木村を探すのを手伝ってほしい」という。心ならずも神野は木村探しに巻き込まれてしまう―――
人を疑うことを知らない男と、人の裏側ばかり見てきた男。ちぐはぐコンビの捜索活動から、神野の知らなかった友人・木村の一面が次々と明らかになり、物語は思いもよらぬ方向へ転がりだす!
たっぷりの仕掛けと、驚きの展開に翻弄され、辿り着くのは想像もできない爽快なラスト!さらに進化した内田ワールドが今幕を明ける!
漫画、小説、舞台など、もともとある原作を映画化するのは、邦画のみならず、映画界ではよくあるパターン。
そもそもおもしろいネタがあったら、「映画化したい」と思っちゃうのは当然の流れなのかもしれない。
その一方で、オリジナルで脚本を書いて、自分で監督する人だってたくさんいる。
そこに優劣はつけられない、だって映画は映画だしね。
あるのは好みのみである。さて、あなたのお好みはどちらですか?