グッドナイト&グッドラック
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
(2005年 アメリカ 93分)
2007年3月24日から3月30日まで上映 ■監督・脚本 ジョージ・クルーニー
■脚本 グラント・ヘスロヴ
■出演 デヴィッド・ストラザーン/ジョージ・クルーニー/ロバート・ダウニー・Jr/パトリシア・クラークソン

東西冷戦の緊張が高まっていた1950年代初頭、 アメリカでは共産党主義者を弾圧する「赤狩り」の嵐が吹き荒れていた。 そんな中、父親と姉が共産党員であるという嫌疑をかけられ、 ある空軍兵士が除隊処分されようとする事件が起こる。 裁判もなく有罪を宣告された彼の処遇はどう考えても理不尽なものであったが、 マッカーシズムからの報復を恐れるマスメディアは この事件を見てみぬふりするばかりだった。 CBSのニュースキャスター、エド・マローとクルー達は、 放送の良心を盾に、この事件の真相究明と 「赤狩り」を率先して進めたマッカーシー上院議員の糾弾へと動きはじめる。

picエド・マロー役には、吸っていた煙草の銘柄から調べ始めるという徹底した役作りでヴェネチア国際映画祭主演男優賞を獲得したデヴィット・ストラザーン。美しいモノクロの画像や、グラミー賞を過去3度受賞しているダイアン・リーヴスが歌うジャズナンバーも秀逸で、監督ジョージ・クルーニーのこだわりとセンスをうかがい知ることができる。

どの時間にチャンネルを回しても大げさな笑い声をBGMに 娯楽を運んでくれるTV番組が編成されている昨今。 止め処なくもたらされる娯楽を私たちは盲目的に受け入れる。 そしてある時ふと我に返り、TVを見ていた時間が無駄なものではなかったかと頭をよぎる。 TVとは果たして有益なものだろうか。 視聴率のとれる番組こそが良い番組だと言い切れるのだろうか。 まるで誘蛾灯のように魅惑的なビジョンで私たちを惹きつけてやまないTV。

picかつてマローは「テレビは人を欺き、笑わせ、現実を隠している。」と警鐘を鳴らした。何の考えもなしにふらふらと近づき、ついには焼かれてしまう蛾のようになってしまうかどうかは私たちの心がけ一つにかかっている。

(タカ)



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サンキュー・スモーキング
THANK YOU FOR SMOKING
(2006年 アメリカ 93分)
pic 2007年3月24日から3月30日まで上映 ■監督・脚本 ジェイソン・ライトマン
■原作 クリストファー・バックリー
■出演 アーロン・エッカート/マリア・ベロ/デヴィッド・コークナー/キャメロン・ブライト/ケイティ・ホームズ/ウィリアム・H・メイシー/ロバート・デュヴァル

■オフィシャル・サイト http://www.foxjapan.com/movies/thankyouforsmoking/

その男はマシンガンのように、言葉を撒き散らす。彼の名はニック・ネイラー(バツイチ、子持ち)。全ての人を煙に巻く、タバコ研究アカデミーの広報部長である。日に1200人を殺すタバコ業界の「顔」としてブーイングの嵐を浴びながらも、自信に満ちた足取りで業界の繁栄のために邁進する彼は…、タバコそのものよりもっと有害である、とも言える。

pic彼の言葉にウソはない。ただ、真実に手を加えるだけ。

ニューズウィーク誌に「情報操作の王」と書かれた自分の父親をみて、息子のジョーイは思うのだった。なぜ父はこんなにも世間から嫌われてしまっているのか…。

タバコを吸うお父さんはベランダに追いやられる。家族に疎まれながら。けれどもそこは、お父さんにとってたったひとつの居場所。哀愁漂うニュアンスだけれど、きっかけがどうであっても、そこが自分自身で選び取った場所なのだ。ニックはすでに見つけている。自分のやり方を、生き方を。そしてそんな父を、ジョーイは心から尊敬している。

pic登場するのは、やっかいでケッタイな大人たちばかり。どいつもこいつも手におえない!その真剣さが手におえない!その滑稽さが手におえない?ユーモアたっぷりに展開されていくストーリーは、様々な問題提起をしつつ、軽快で豪快で繊細だ。

(ロバ)




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