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オペラ座の怪人
THE PHANTOM OF THE OPERA
(2004年 アメリカ/イギリス 140分)
2006年10月28日から11月3日まで上映 ■監督・脚本 ジョエル・シューマカー
■製作・脚本・音楽 アンドリュー・ロイド=ウェバー
■原作 ガストン・ルルー
■出演 ジェラルド・バトラー/エミー・ロッサム/パトリック・ウィルソン

■2004年アカデミー賞3部門ノミネート(撮影・歌曲・美術)

現代のモーツァルトと称されるアンドリュー・ロイド=ウェーバーの名作が、自身の製作によって映画化された。舞台版をはるかにしのぐ豪華絢爛なセットで、映画ならではのダイナミックさをもって展開される、ラブストーリーの決定版。

pic1919年。いまや廃墟となったオペラ座では、かつての栄華を偲ばせる品々が次々と競売に掛けられていた。そして、忌まわしい惨劇に関わったとされるシャンデリアが紹介された瞬間、時代は1870年へと遡る。

華やかな舞台で賑うパリ・オペラ座では、“ファントム”と呼ばれる謎の怪人の仕業とされる事件が次々と起こっていた。ある日の稽古中、“ファントム”に対して作を講じない支配人に怒ったプリマドンナが降板してしまう。慌てる周囲をよそに、代役に抜擢されたクリスティーヌ(エミー・ロッサム)は見事な演技で観客から喝采を浴びる。舞台終了後、幼なじみのラウル(パトリック・ウィルソン)が祝福にやってくるが、クリスティーヌは鏡の中から現れたファントム(ジェラルド・バトラー)に誘われオペラ座の地下へと降りていく。

ファントムを、亡き父が授けてくれた“音楽の天使”と信じるクリスティーヌ。しかし、ファントムの仮面を剥いだ時、隠されていた悲劇が幕を開けるのだった。

pic1986年の初演から20年。産みの親であるロイド=ウェーバー自身の手によって製作された本作は、舞台版に大きく手を加えることなく、スケールアップを図り見事な仕上がり。 主演3人は全ての曲を吹替えなしで演じ、ドラマパートでも確かな演技をみせている。

舞台裏の、さらに裏にいるファントム。表舞台への憧れと嫉妬が交じり合ったクリスティーヌへの愛は純粋ゆえに悲劇と化す。

「昼の光に夜の闇の深さがわかるものか」とはニーチェの言葉だが、太陽よりも明るいオペラ座のシャンデリアの前で、ファントムの心の闇はただただ悲しい。

(Sicky)



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プロデューサーズ
THE PRODUCERS
(2005年 アメリカ 134分)
pic 2006年10月28日から11月3日まで上映 ■監督・振付 スーザン・ストローマン
■製作・脚本・作詞作曲・出演 メル・ブルックス
■脚本 トーマス・ミーハン
■出演 ネイサン・レイン/マシュー・ブロデリック/ユマ・サーマン/ウィル・フェレル

■2005年ゴールデン・グローブ賞4部門ノミネート(作品・男優・助演男優・歌曲)

『プロデューサーズ』には歴史がある。もともとは1968年にメル・ブルックスの監督デビュー作品として作られたのを2001年に自身が製作にまわり舞台化し、さらにそれを映画版として今回リメイクした。

pic映画→舞台→また映画、という一風変わった経歴を持つミュージカル映画であるが、古くささは微塵も感じられない。今も昔も笑えるバカは、やっぱり愛されるのですね。

実はこの映画、けっこうギリギリなネタが連発します。ナチスドイツ、ゲイ、老人。でも、行き過ぎるとしゃれにならないものも、ちょうど良い下品さなので笑い飛ばせます。作中のミュージカルのタイトルは、“春の日のヒトラー”というんですがヒトラーに扮したのがゲイだった!というわけで、歌って踊ってクネクネするヒトラー。こっちのお腹もクネクネです。“春の日のバカ”です。

picむさっくるしい男たちの中で唯一キラキラしてるのはウーラ役のユマ・サーマン。パルプ・フィクションとはまた違った花のような魅力をふりまいています。胸の開いたドレスもセクシーかつキュートに着こなし、本人は自分の身長が共演の男たちよりも高いことを気にしていたようですが、そんなことどうでもいいです!にっこりと微笑まれただけで、「なんだかありがとう!」とお礼のひとつも言いたくなるようなステキさ。

pic観たあとに考えこんでしまったり、沈んだ気持ちになってしまう映画は数多くあれど、心から笑える映画は逆に減っているような気がします。この『プロデューサーズ』は、説教くさいわけでもなければ人生を見つめなおすような映画でもありません。頭からっぽにして最低の最高を楽しんでください!

ちなみに、エンドロールでは席を立たず、最後まで観ることをオススメします。

(リンナ)



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