大統領のカウントダウン
LICHNYY NOMER
(2004年 ロシア 111分)
2006年9月9日から9月15日まで上映
■監督・脚本 エヴゲニー・ラヴレンティエフ
■出演 アレクセイ・マカロフ / ルイーズ・ロンバード / ション・エイモス
ロシア軍とチェチェン独立派との激しい対立のさなか、チェチェン軍の捕虜になってしまったロシアの謀報員、アレクセイ・スモーリン少佐。チェチェン軍による激しい拷問の末、モスクワで起こった爆破テロに関わったと嘘の証言をさせられ、偽証テープを作られてしまう。
その頃、モスクワのサーカス場で、アレクセイの最愛の娘を含む多くの子供達が人質に捕られる事件が発生する。これは、イスラム過激派と手を組んだチェチェン独立軍による大規模なテロ計画だった。娘を助けるため、そして自身の身の潔白を証明するため、モスクワに向かうアレクセイだったが…。
あらすじからも想像できるように、これは実際のテロや占拠事件を元に作られている。モスクワ劇場占拠事件、べスラン学校占拠事件などがそうだ。イスラム過激派も。もうテロは物語の中のことだけではなく、現実になってしまった。
監督をはじめ、関係者たちは国民の心証を考慮し、いくつかのエピソードを変更すべきか悩んだという。しかし今だからこそ、いかに危険な状況であったかを世界に伝える必要性があるとして、そのままとした。
ロシア軍の全面協力を得てこの映画は完成した。映画の中の軍事機材はすべて本物!ヘリコプター8機、装甲車6台、輸送機、特殊船などなど…すべて本物だからこその迫力がある。ロシア映画界、初の本格アクション映画。ハリウッドへの挑戦状ともとれるロシアらしさ全開の映画です!
(リンナ)
ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR
NOCHNOI DOZOR
(2005年 ロシア 115分 )
2006年9月9日から9月15日まで上映
■監督・脚本 ティムール・ベクマンベトフ
■脚本 レータ・カログリディス
■原作 セルゲイ・ルキヤネンコ
■出演 コンスタンチン・ハベンスキー / ウラジーミル・メニショフ / マリア・ポロシナ
■オフィシャル・サイト http://www.foxjapan.com/movies/nightwatch/
人間の中には特殊な超能力を持つ”異種(アザーズ)”と呼ばれる者達ががいる。大昔、世界は光と闇の戦争が続いていた。だが両軍の力は均衡していた。このままでは両軍共に全滅してしまうことに気付いた光の王ゲッサーと闇の王ザヴロンは、休戦協定を結ぶ。それ以来、協定違反を監視するものとして光側を”ナイト・ウォッチ(闇の監視人)”、闇側を”デイ・ウォッチ(光の監視人)”として、平和のバランスを保ってきた。
現代のモスクワ。ナイトウォッチのアントンは闇の異種ヴァンパイアが狙う少年イゴールを保護すべく地下鉄に乗り込む。そこでアントンは頭上に空気が渦巻く女を目撃する。その女こそ光と闇の最終戦争の前兆となる”災いを招く乙女”であった。伝説では、彼女が現れた時、”偉大なる異種”が出現する。その者が選んだ方の勢力が勝利する。果たして”偉大なる異種”は光と闇どちらを選ぶのだろうか。
本作は光と闇の戦いを描いたダーク・ファンタジー三部作の第一部。今後、第二部『デイ・ウォッチ』、第三部『ダスク・ウォッチ』と壮大なサーガを形成していく。
本作の世界観はとにかく独創的で、暗く、陰湿で、そして血生臭い、その上、蝿や蚊がブンブン飛び回ってたりもする。そんなダークな作品のため、日本公開は当初予定されてなかったらしいのだが、『ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR』を是非劇場で見たいという人達が署名活動などを行い、無事日本で公開されることに。
ハリウッド作品と比べると遥かに低予算な400万ドルの制作費だが、それを打ち破るべく色々なアイデアが詰め込まれている。予算の割に良く出来てるVFX、凄いスピードのカット割、そして新たな表現として、字幕が面白い。まるでコミックの擬音などのように映像にマッチするよう工夫されている。頭の中にささやきかける声の字幕は煙のように消えたり、大声を出すシーンでは大きな字幕が出たり等々。本作はオフィシャルサイトの予告編も実験的で、なんと本編115分を2分に凝縮して全部見せてしまうという荒業を敢行している。
ハリウッド映画へのオマージュとロシア的新要素が混合されて、新たなロシアン・ムーヴィーが生まれた。タランティーノやダニー・ボイルが大絶賛したティムール・ベクマンベトフの才能は正に本物だ。今後もロシアから目が離せない!
(パンプキン)