ベン・ハー ベン・ハー上映


総制作費1,500万ドル(54億円)。今や200億円かけた映画もある位だからこの程度の金額では何とも感じなくなってしまっているが、1959年である。そりゃあもうとんでもない額。しかも今みたいにCGなんか無い時代。予算をかけるところといったら勿論セット。「本当にセット?」と思わせるそれは観れば納得。これ非常に正しいお金の使い方。

また、出演者(エキストラ含む)が総勢5万人!彼らの存在もこの作品のスケールを広げるのに非常に重要。今では何十万人だろうが容易に「作り出せる」だろうが、ここに登場するのは正真正銘、すべて本物。構想に10年、撮影に6年かかったというのも頷ける。

お金だけじゃない。時間も手間もこれでもか、というくらい費やした作品、それが『ベン・ハー』。


1956年の大ヒット作『十戎』のモーゼを演じたことで史劇のヒーローとなった彼の最高の演技が観られる作品でもある。こういった大作では観る方も演技力は二の次になりがちだが、先に「最高の演技」といったように『ベン・ハー』は彼の存在ありき。グイグイひきこまれ、3時間42分があっという間。これ即ち役者のなせる業。

この作品でチャールトン・ヘストンは、アカデミー賞主演男優賞を受賞。
スケールだけじゃない!演技も素晴らしい作品、それが『ベン・ハー』。


『ベン・ハー』の代名詞ともいえるクライマックスの戦車競争シーン。映画史上最もスリリングなカーチェイスである。撮影技術が高まった現在でも「どうやって撮ったんだろう?」と思わせるカットの連続。このシーンのリハーサルに4ヶ月、撮影だけでも3ヶ月かかった。1年以上かけて造られた壮大なセットを舞台に繰り広げられるレース。その凄まじいまでのスピード感に、実写の偉大さを改めて気付かされる。大きなスクリーンで観る、これが映画鑑賞の醍醐味。その素晴らしさを教えてくれる作品、それが『ベン・ハー』。


222分という上映時間ながら、公開後8,000万ドルという記録的な大ヒットを記録。テレビの普及により経営難に陥っていたMGMは、この作品で一気に立て直すことが出来た。また、作品、監督、主演男優などアカデミー賞史上最多の11部門受賞。あの『タイタニック』が同じ11部門受賞したが、あちらは技術的な部門での受賞が多く、ちょっと比較にならない。超大作で超傑作、史劇の王として君臨しつづけるベン・ハーはやっぱり凄い。

映画を観た、という気にさせてくれる作品。そしてスクリーンで観るべき作品、『ベン・ハー』。
傑作は腐らない。

(オサム)

ベン・ハー
BEN-HUR
(1959年 アメリカ 222分)
2006年7月15日から7月21日まで上映

■監督 ウィリアム・ワイラー
■原作 ルー・ウォーレス
■脚本 カール・タンバーグ
■助監督 セルジオ・レオーネ

■出演 チャールトン・ヘストン/スティーヴン・ボイド/ジャック・ホーキンス

1959年アカデミー賞11部門受賞
(作品/監督/主演男優/助演男優/撮影/音楽/編集/録音/美術/衣装デザイン/特殊効果)


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