サウンド・オブ・ミュージック
製作40周年記念ニュー・プリントデジタルリマスターバージョン
THE SOUND OF MUSIC
(1965年 アメリカ 175分)
2005年7月30日から8月5日まで上映
■監督・製作 ロバート・ワイズ
■原作 ハワード・リンゼイ/ラッセル・クローズ
■脚本 アーネスト・レーマン
■音楽 リチャード・ロジャース/オスカー・ハマースタイン2世/アーウィン・コスタル
■出演 ジュリー・アンドリュース /クリストファー・プラマー/エリノア・パーカー/リチャード・ヘイドン/ペギー・ウッド/アンナ・リー
■1965年アカデミー賞5部門受賞(作品賞/監督賞/ミュージカル映画編曲賞/編集賞/録音賞)
(C)1965 Argyle Enterprises,Inc. and Twentieth Century Fox Film Corporation (C)Renewd 1998 argyle Enterprises, Inc. and Twentieth Century Fox Film Corporation (C)2003 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights Reserved.オーストリア。修道院で修行中だったマリアは、男手一つで7人の子供たちを育てているトラップ大佐の家に家庭教師として派遣される。大佐は非常に厳格な父親で、トラップ家では音楽すら禁止されていた。しかしマリアは子供たちに歌と音楽の素晴らしさを教えていく。はじめはマリアと衝突していたトラップ大佐も、子供たちの美しい歌声に胸を打たれ、次第に考えを改めていくのだった。マリアとトラップ大佐は互いに惹かれあい、二人はついに結婚するが、幸せも束の間、その頃オーストリアにはナチスの暗い影が忍び寄っていた。
「突然歌い出したりすんのって、なんかバカバカしい」と、本当は観たこともないのに、タモリの影響でミュージカルを毛嫌いしてる人は少なくないと思います。そんな人にこそ観てほしい、というかそんな人こそこの映画は観なくてはいけません。
ミュージカルって「なんで今ここで歌わなくちゃいけない?」という疑問がどうしてもつきまとうし、その違和感こそが観ている人に居心地の悪さを与える原因だと思うのですが、これはストーリーの流れに歌がしっかりマッチしているので、歌だけ浮いてたり、なんてことはありません。
『ドレミの歌』『エーデルワイス』『もうすぐ17歳』『私のお気に入り』など、そのどれもが映画を離れてスタンダードナンバーになっているのは、名曲の証。リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタインが送り出したその名曲の数々は、本当に単純にすばらしいので、音楽っていいなーと素直に感じさせてくれます。
トラップ一家は実在の家族。マリアが49年に出版した『トラップ・ファミリー物語』を元に、西ドイツでの映画化(『菩提樹』)、ブロードウェイでのミュージカル化を経て65年に映画化されました。
こんなに清楚で美しく、品の良い映画は、今の世の中ではきっともう作ることはできないでしょう。
音楽の授業で見たことがあるという人も多いと思うのですが、これはぜひスクリーンで観ていただきたい映画。否むしろスクリーンで観なくてはいけない映画です。オープニングシーンからして、その美しさといい、スケールといい、まさに映画史に残る名場面。これは20世紀最高の、そしてアメリカ映画黄金時代の最後の輝きのひとつなのです。映画館で観ると、鳥肌立ちますよ。
(mana)
山猫
イタリア語完全復元版
IL GATTOPARDO
(1963年 イタリア・フランス 187分*復元謝辞含む)
2005年7月30日から8月5日まで上映
■監督・脚色 ルキーノ・ヴィスコンティ
■原作 ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ
■脚色 スーゾ・チェッキ・ダミーコ/エンリコ・メディオーリ/パスクヮーレ・フェスタ・カンパニーレ/マッシモ・フランチョーザ
■音楽 ニーノ・ロータ
■出演 バート・ランカスター/アラン・ドロン/クラウディア・カルディナーレ/パオロ・ストッパ/リナ・モレリ
■1963年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞
(C)クレストインターナショナル監督、ルキーノ・ヴィスコンティは、イタリア有数の名門貴族の家系で、両親と共に幼少からオペラ、バレエを愛好していた。『山猫』は、ヴィスコンティが唯一自身を語った意味でも代表作中の代表作である。
1860年、統一戦争に揺れるイタリア。祖国統一と腐敗した貴族支配からの解放を叫ぶガリバルディと彼の率いる赤シャツ隊がシチリア島にも上陸。シチリアを数十代に渡って統治してきた山猫の紋章のサリーナ公爵家にも「ガリバルディ上陸」の報は程なく届けられ、朝の祈りの静寂を破った。
歴史が大きく動き始める中、当主ドン・ファブリツィオ サリーナ公爵(バート・ランカスター)は堂々たる風格を漂わせ、全く動じていなかった。一方、彼の甥、タンクレディ(アラン・ドロン)は義勇軍への入隊を報告に邸宅を訪れる。サリーナはこの才気溢れる美青年タンクレディを、平凡な息子たちよりも愛してやまないのだった。
サリーナ公爵は、常に動じず、あくまでこの姿勢を崩さない。対照的に若いタンクレディは、変化を求め動き続けている。物語に大きい山場はないが、重厚なつくりの作品である。特に、舞踏会のシーンには圧巻だ。
『山猫』の日本初公開は1964年。ランカスター以外の声は吹き替えられ、見ごたえのある舞踏会のシーンをバッサリ切って、161分に短縮された英語国際版での公開だった。プリントはデラックス・カラー。
そして1981年、185分、イタリア語のオリジナル完全版がようやく公開された。完全版は物語としては国際版と比較にならないぐらい完成されたものだったが、テクニカルカラーのプリントは残念ながら保存状態が悪く、発色という点では国際版の鮮やかさに及ばなかった。今回上映される“イタリア語・完全復元版”は、両版の良い部分が1つになった決定版と言えるだろう。
(ロバ)s