悪い男
BAD GUY
(2001年 韓国 103分 R-15
2005年2月19日から2月25日まで上映 ■監督・脚本 キム・ギドク(『魚と寝る女』)

■出演 チョ・ジェヒョン/ソ・ウォン/チェ・ドンムン/キム・ユンテ/キム・ジョンヨン

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昼下がりの繁華街。華やいだ雰囲気とは明らかに異質な風貌、凄みを湛えた眼差しの男が、人ごみを彷徨っている。男の名はハンギ(チョ・ジェヒョン)。売春街を仕切るヤクザの頭(かしら)である。

picベンチに腰掛ける一人の女性の姿。膝にのせた“西洋美術史”の教科書と足元の白いサンダル。女子大生キム・ソナ(ソ・ウォン)。ハンギは、ふとした瞬間に目に飛び込んできたソナの、無垢な魅力に引き込まれる。彼女の隣に腰を下ろすハンギ。しかしソナはまるで汚いものでも見るかのような視線を彼に向け、立ち去ろうとする。次の瞬間、ハンギは強引にソナの唇を奪うが、平手打ちと侮辱の眼差しをあびせられる。雑踏の中、ハンギに深い屈辱と惨めさが押し寄せた。

強い復讐心と所有慾にかられたハンギは、ある策略を実行する。それはソナを自分の仕切る売春宿に<娼婦>として売り飛ばすことだった。彼女の人生はハンギによって思いもよらぬ方向へと狂い始める。

pic娼婦に変貌していくソナを毎日のように見つめ続けるハンギ。そして、二人の間の絶望と憎しみは、いつしか激しい愛へと変化してゆく。光と闇が交錯する街、極限状況のなかでしか生まれない<究極の愛>がそこにあった。

監督のキム・ギドクは、今、韓国映画ブームを支える、エリート監督たちとは一線を画している。学閥意識の強い韓国社会では異端ともいえる経歴をもち、しかしその経験こそが彼の比類ない映像世界の源になっている。鮮やかな陰翳の対比、絵画を思わせる艶やかな色彩で寓話的な世界を描きながら、彼のみつめるものは社会から疎外された人間の生きざま、その憎悪と哀しみである。

(ロバ)


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スキャンダル
UNTOLD SCANDAL
(2003年 韓国 124分 R-18
pic 2005年2月19日から2月25日まで上映 ■監督・脚本 イ・ジェヨン
■原作 ピエール・コデルロス・ド・ラクロ 『危険な関係』
■脚本 キム・デウ/キム・ヒョンジョン

■出演 ペ・ヨンジュン/イ・ミスク/チャン・ドヨン/イ・ソヨン/チョ・ヒョンジェ

(C)松竹/シネカノン

時は18世紀末、季朝末期の朝鮮。政府高官ユ長官の妻、チョ夫人(イ・ミスク)は、なかなか子宝に恵まれず、そのため夫は16歳の側室を迎えようとしていた。夫の前では寛大な態度を見せるチョ夫人であったが、心穏やかであるはずもない。

pic考えた末、彼女は従兄弟のチョ・ウォン(ペ・ヨンジュン)にとんでもない提案をする。花嫁になる16歳の娘、ソオクを婚礼の前に妊娠させよ、と言うのだ。しかし彼は、好奇心旺盛な16歳の少女を落とす事など簡単すぎてつまらないと誘いを断る。それに彼の専らのターゲットは、結婚前に急死した夫に9年間もの間貞節を守ってきたスク夫人であったからだ。

しかし彼にとって初恋の人であるチョ氏夫人から「成功の暁には自らとの関係を承諾する」と持ちかけられ、負けたら僧侶になる、と言う約束をしてしまう。こうして様々な思惑が交錯しながら、危険な「恋愛遊戯」が始まって行くのであった…。

アジアで一世を風靡し、ここ日本でも大ヒットを記録した韓国ドラマ『冬のソナタ』で、微笑みの貴公子と呼ばれ、世の女性を魅了したぺ・ヨンジュンの映画デビュー作が、このスキャンダルだ。

picトレードマークの眼鏡をはずし、ドラマで見せてきたような誠実さも、穏やかな微笑みも、それらのペ・ヨンジュンらしさを一切無くし、女性を射止める腕にかけては右に出る者もいない、いわば女性の敵のような男性に扮する。8kgもの減量をし、今までとは180度も違った新たな魅力を打ち出した演技に、観客からも批評家からも大絶賛され、見事2003年の青龍映画新人男優賞に輝いた。

また、映像、美術、豪華絢爛な衣装もクオリティ高く、イ・ミスクやチョン・ドヨンの表現力溢れる演技にも注目して欲しい。

(cotd)



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