殺人の追憶
MEMORIES OF MURDER
(2003年 韓国 130分 )
2005年8月27日から9月2日まで上映
■監督・脚本 ポン・ジュノ(『ほえる犬は噛まない』)
■脚本 シム・ソンボ
■出演 ソン・ガンホ(『JSA』『復讐者に憐れみを』)/キム・サンギョン/パク・ヘイル/キム・レハ/ソン・ジェホ
(C)2003 CJ ENTERTAINMENT INC SIDUS CORPORATION
1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の裸死体が発見された。無惨にも手足を拘束のうえ強姦されており、その後も同じ手口の連続殺人事件が相次いで発生。現地には特別捜査本部が設置され、地元の刑事パク・トゥマンとソウル市警から派遣されたソ・テユンがこの難事件に挑む。性格も捜査方法も異なる二人は対立を続け何度も失敗を重ねながら、ついに有力な容疑者を捕らえるのだが…。
実際に起きた未解決連続殺人事件をもとに、綿密に構成された脚本と斬新な映像によって、実話の緊迫度を増幅させた衝撃的サスペンスの傑作。
韓国を代表するソン・ガンホと新鋭キム・サンギョンが、事件に翻弄され徐々に理性を失っていく姿を、あふれる怒りと緊張感で熱演。監督・脚本を務めたポン・ジュノは、本作で一躍「韓国新世代監督」のトップに躍り出た。
韓国では560万人を動員し、2003年興行収入No.1を記録。事件の再捜査を求める市民運動が起きるなど、映画の枠を越え社会現象にまでなった。
『殺人の追憶』は、プロファイリングを駆使したハリウッド式の「作り物サスペンス」ではなく、今まで誰も観たことがない全く新しい「実話サスペンス」であり、人間的で極めてリアルな刑事ドラマなのだ。
大統領の理髪師
THE PRESIDENT'S BARBER / 孝子洞理髪師
(2004年 韓国 116分)
2005年8月27日から9月2日まで上映
■監督・脚本 イム・チャンサン
■出演 ソン・ガンホ/ムン・ソリ(『オアシス』)/リュ・スンス/イ・ジェウン/ソ・ビョンホ/パク・ヨンス/チョ・ヨンジン
■オフィシャルサイト http://www.albatros-film.com/movie/barber/
(C)ニューセレクト韓国の俳優と言えば、名前の後ろに「サマ」がつくような人たちばかりがクローズアップされがちですが、(一見)こんなに地味でもっさりしていながらも、主役を張り続けてきた俳優もいるのです。8月最後はソン・ガンホ特集!
舞台は1960年代の韓国。大統領官邸のお膝元の町で理髪店を営むソン・ハンモ(ソン・ガンホ)は妻と子供を愛するごく平凡な男。たまたま住んでいたのがその町だったせいで、ある日突然大統領の理髪師になってしまった!
60〜70年代の韓国軍事独裁政権時代を背景にしていながら、その内幕をシリアスに暴くというわけではなく、あくまで1人の小市民の立場からコミカルにかつシニカルに描いた作品です。大げさではなく淡々と。なにせ主役は小市民ですから。しかしこの小市民の視点こそがこの作品の核。激動の軍事政権下の時代を、生きるひとりの小市民。
『殺人の追憶』ではベテラン刑事役で息詰まる熱演をしていたソン・ガンホですが、今回はそれとはがらりと異なる、人のいい、小心者の床屋のおじさんを演じます。喜怒哀楽の様々な表情や仕草が素晴らしい。へんなパーマをかけたゆるい体の小心者のお父さんは、一見情けなくて格好悪いけど、しかし実際は誰よりも格好良いのです。
それにしても、自国の負の歴史を、ただ批判するだけに終わらず、ここまでゆるりと、そしてからりと、笑いを交えて描けるというのはすごいことだと思わずにはいられません。日本映画でこれは可能でしょうか?韓国映画というとこてこてしてるイメージがありましたが、確実に変わりつつあるんだなぁと思わせる二本立てです。
(mana)