スーパーサイズ・ミー
SUPER SIZE ME
(2004年 アメリカ 98分)
2005年6月25日から7月1日まで上映 ■監督・出演 モーガン・スパーロック

■2004年アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート

(C)クロックワークス

一日三食マクドナルドの生活を30日間続けるとどうなるのか?っていう本当にばかばかしい実験を、監督のモーガン・スパーロックが自分の体を実験台にして実行した記録映画。(あぁもうこの無意味なばかさ加減がたまりません。)

ルール。

1.30日間、マクドナルドで手に入るものだけ食べる(水を含む)
2.残してはいけない
3.スーパーサイズを勧められたら断らない
4.全てのメニューを必ず1回は食べる
5.平均的なアメリカ人の運動量にあわせる
6.必ず絶対1日3食!

pic「ほかの人がやると、家に帰ってカメラ回ってないとこでこっそりブロッコリーとか食べたりしてるかもしんないじゃん」ていう理由で自分が実験台になったというだけあって、監督のスパーロックの徹底ぶりはほんとにすごい。

ルール5のアメリカ人の運動量ってのが、歩行量でいうと1日2000歩ぐらいでしかないから、それを超えないように万歩計つけてて、昼のマック買いにタクシーで移動。栄養士にビタミン剤だけでも摂取するように言われても、「マックのメニューにない」という理由で拒否。でもその意気込みとは裏腹に、開始早々2日目でもう吐いたりしてるし。こんなんで大丈夫なの?といきなり不安。果たしてやりとげられるのか?

picスパーロックがこの計画を思いついたのは、肥満児のティーンエイジャーの女の子2人が、自分たちがこんなに太ったのはマックのせいだ!ってマクドナルドを訴えてしまったという、いかにも訴訟大国アメリカらしい事件がきっかけ。結局その訴訟は原告側敗訴になってしまったけど、かわりにこんな映画が生まれてしまったと思うと興味深いものがあります。

この映画がサンダンス映画祭で公開されるとすぐ、マックはスーパーサイズの販売をやめることを発表。もちろんマック側はこの映画のせいじゃなくて前から決まってたことだって言ってるんですが。

pic実験前は理想的な超健康体。体型も身長188cm・体重84kg・体脂肪率11%。これが30日後にはどう変わっていくのか?そもそもこんな実験をして結果がどういうことになるのか、見る前から誰もが予想はついていると思いますが、それでも実際の数値の変化、さらに食生活が与える精神的・性的な影響も必見。そして元の状態に戻すのにはいったいどれくらいの月日を要するのか?あぁ、ほんとに太るのって一瞬だけど、もとに戻すのって…。

(mana)


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マシニスト
THE MACHINIST
(2004年 スペイン/アメリカ 102分)
pic 2005年6月25日から7月1日まで上映 ■監督 ブラッド・アンダーソン
■脚本 スコット・コーサー
■出演 クリスチャン・ベイル/ジャニファー・ジェイソン・リー

★本編はカラーです

(C)東芝エンタテインメント

人間の公式最長不眠時間は264時間12分(約11日間)。しかし、既に365日眠っていない男がいた。

pic工場で平凡な機械工として働くトレバー(クリスチャン・ベイル)は、原因不明の極度の不眠症で、すでに365日眠っていない。それでも彼は単調な仕事に向かい、真面目に働いていた。

誰もが危ぶむほど際限なく痩せていき、同僚との付き合いも少なくなるトレバー。ある日、帰宅すると冷蔵庫に、不気味なハングマン・ゲームの張り紙が張られている。さらに、彼は自分の不注意で同僚の腕を切断する大事故をおこしてしまう。新入りの同僚・アイバンに気をとられていたから、と説明するも、工場の誰もアイバンの存在を認めようとはしない。何者かによる陰謀であると直感したトレバーは、必死で事件の謎を解明しようとするが…。

pic何故不眠症になったのか?すべての事件は不眠と関係あるのか?遊園地の怪しい乗り物、ルート666、ナンバープレート743CRNの車といった様々な要素に翻弄されながら、トレバーは一つの真実に向かって進んでいく。

トレバー約のクリスチャン・ベイルは役作りの為に、映画史上はじめて30キロの減量を行った。これは、異常な不眠症の男に肉体面での説得力を持たせるだけでなく、睡眠障害による精神の異変を体現することにも繋がった。まさに、身体をはった演技で、ベイルはトレバーの内なる葛藤・悲哀・孤独感をも表現するに到っている。

監督はアメリカ・インディペンデント映画界を背負う才人の一人と目されているブラッド・アンダーソン。ヒッチコックやポランスキー、リンチ等の映像作品やカフカの小説などを参考に超現実的な不眠症の世界を映像化することに成功している。

都市型でストレスの多い生活、不満の多い人生、きまじめで内攻的な人間をつくるような教育といった環境は、不眠をつくりだすには最適といえる。事実、アメリカ人の50%、日本では20%にあたる4000万人が不眠を訴えているという。さて、「不眠の時代」に生きるあなたはこの映画をどう観るだろうか?寝不足気味の人ほど、劇場で目を見開いてしまうことになるだろう。

(Sicky)



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