上海家族
SHANGHAI WOMEN
(2002年 中国 96分)
2005年1月15日から1月21日まで上映
■監督・脚本 ポン・シャオレン
■出演 チョウ・ウェンチン/リュイ・リーピン/ソン・ハイイン/チェン・チェンヤオ
15歳の娘、アーシャ(チョウ・ウェンチン)の父に愛人が出来た。その関係を2年も続け、いっこうに家庭を省みない夫の態度に母は離婚を決意し、アーシャを連れて祖母の住む狭い実家に戻ることになる。
祖母は母の離婚を軽率だといい、不満でならない。ふたりが住める部屋はないと、すぐにでもアーシャ母娘を追い出したい様子だった。母はアーシャのために妻を病気で無くした李さんと再婚する。しかし李さんの息子はアーシャたちに敵意を剥き出しにし、また真面目で堅実と聞かされていた李さんが、実はとてもケチな男だとわかる。失望したアーシャは友人の幸せな家庭が羨ましくてならない。
やがて母はアーシャを連れ、またも離婚することになる。再び、やむなく祖母の家に戻った母娘だったが、そこには叔父夫婦も同居しており、もはや落ち着くことすらできない有様だった。同居を拒む叔父の妻に対し、祖母は自らの娘である母をかばい、親として娘である母とアーシャへの深い思いやりを聞かせた。
一方で、アーシャの父は愛人に逃げられ、母との復縁を望んでいた。アーシャは自分の為に母が自分勝手な父と一緒になることも、好きでもない李さんのような男と結婚することも望まなかった。母は娘といっしょに実家を離れ、父や親族から独立して、ふたりだけで生活する事を決意するが…。
上海の旧市街を舞台に女性監督ポン・シャオレンが、祖母・母・娘と、異なる三世代の感情をきめ細かにすくいとる。それはまさに、現代中国の“家族の肖像”である。離婚、再婚、そして自立への道を歩む女性たち。大人への不信と幻滅、母子の絆が、女性の視点で鮮やかに描かれている。母子を取り巻く様々な人間模様は、可笑しくも哀しく、そして温かい。
(ロバ)
ションヤンの酒家
LIFE SHOW / 生活秀
(2002年 中国 106分)
2005年1月15日から1月21日まで上映
■監督 フォ・ジェンチィ
■原作 チ・リ
■脚本 ス・ウ
■出演 タオ・ホン/タオ・ザール/パン・ユエミン
『山の郵便配達』のフォ・ジェンチィ監督とス・ウ脚本コンビによる、感動ドラマ。急激な都市開発の進む古都・重慶。ションヤンは“ジュウ・ジュウ”という小さな屋台を営んでいる。名物“鴨の首”が人気の店だ。毎日のように通ってくる男もいる。“鴨の首”もさることながら、お目当てはションヤンだ。
ションヤンは自分の家族にほとほと手を焼いていた。気弱で嫁に頭の上がらぬ兄。息子をションヤンに預け、毎日のように外を跳び歩いている兄嫁。妻を亡くし、京劇の女優に入れあげ、家を出て行った父。ションヤンが母親代わりとなって育てた弟は薬物中毒となり更生施設に入っている。加えて旧市街に広がる再開発の話。それが現実のものとなったとき、家族はどうするのか、店はどうするのか、そして自身は…。大きな負荷が、長女ションヤンにのしかかる。
今回監督は、都会に生きる人間に焦点を絞った。「山村の郵便配達員」から「大都会の屋台の美人経営者」へ。しかし彼女もまた、地に足をしっかりとつけて生きているということにおいて、前者と何ら変わるところは無い。
また、ションヤンを演じるタオ・ホンが素晴らしい。多くの問題を抱えながらも、一生懸命生きようとするたくましい女性を、見事に演じ、スクリーン上に、文字通り「LIFE SHOW」(原題)が展開させている。
(マコト)