鮫肌男と桃尻女
(1998年 日本 107分)
2005年2月26日から3月4日まで上映
■監督・脚本 石井克人
■原作 望月峯太郎(『バタアシ金魚』『ドラゴンヘッド』)
■出演 浅野忠信/小日向しえ/鶴見辰吾/我修院達也/岸部一徳/島田洋八/鶴見辰吾/寺島進
(C)東北新社退屈な日常、冴えない自分に決別するため、ある朝トシコ(小日向しえ)は勤めていた山奥のプチホテルを脱出する。
いつものように郵便局に行く振りをしてジムニーを走らせるトシコ。突然、森の獣道からパンツ一枚の男が飛び出してきた。それに気を取られ、男を追ってきた車と衝突してしまう。横転する相手の車。逃げてきた男はサメハダ(浅野忠信)。追ってきたのはヤクザたち。失神したトシコを乗せ、サメハダはジムニーを走らせる。それが二人の奇妙な逃避行の始まりだった。
暴力団幹部の田抜、トシコに偏執狂的な愛情を注ぐ叔父ソネザキ、凶暴な殺し屋山田も、狂ったように追ってくる。果たして二人は、逃げ切ることができるのだろうか?
原作は、『バタアシ金魚』『ドラゴンヘッド』で絶大な人気を誇る、望月峯太郎の同名コミック。この傑作コミックを、本作が劇場長編映画デビューとなり、のちに、『PARTY7』『茶の味』などを手掛ける、石井克人が奔放に映画化した。
主演は浅野忠信と小日向しえ。脇を固めるのは、岸部一徳、真行寺君枝、島田洋八、鶴見辰吾、寺島進といった、ひとクセも、ふたクセもある役者陣。眉毛のつながり具合が強烈な、我修院達也も殺し屋山田役を快演している。
(ロバ)
茶の味
(2003年 日本 143分)
2005年2月26日から3月4日まで上映
■監督・原作・脚本・編集 石井克人
■ナレーション 和久井映見
■出演 坂野真弥/佐藤貴広/我修院達也/浅野忠信/手塚理美/土屋アンナ/中嶋朋子/三浦友和/轟木一騎/樹木希林/加瀬亮
山間の小さな村に暮らす春野家の人々。長男ハジメ(佐藤貴広)は片思い、小学校一年生の妹(坂野真弥)は時々巨大化した自分が動き回るのにとまどいを感じている。母(手塚理美)は、オジイ(我修院達也)の指導のもと、アニメーター復帰に奮闘中。父(三浦友和)は、そんな母に取り残されたようで面白くない。そして振られた恋人への未練から、橋の上を行ったり来たりの叔父さんアヤノ。
このようにみーんなそれぞれ、人には言えない春霞のようなモヤモヤをかかえている。一見穏やかで温かく、ホノボノとした家庭に見えるが、頭の中は説明のつかないことで溢れているのである。その「モヤモヤ」が、現実世界の中で映像化し、現れてくるもんだからなんだか笑えるのである。
とにかく、全編に散りばめられた笑いが、本当にツボをついている。中でも、オジイに扮する我修院達也がひときわ異才を放っている。しかし笑わせながらも、せわしない感じではなく全体的には、ホンワカゆるゆるとした雰囲気。そこに妄想のCGやヘンな人々が登場することで、一味も二味も違ったホームドラマが展開されていくのである。
あと印象深いのが、春野家の父の弟であり、人気漫画家の轟木一騎が、自分への誕生日プレゼントとして自主制作CDを作ることを決意するのだが、そこで登場する「山よ」がとにかく頭から離れなくなること間違いなしです。気が付くと口ずさんだりしているかもしれません。夕焼け見ながら。お茶飲みながら。
(cotd)