翼をください
LOST AND DELIRIOUS
(2001年 カナダ 100分)
2005年2月5日から2月11日まで上映 ■監督 レア・プール
■原作 スーザン・スワン
■脚本 ジュディス・トンプソン

■出演 パイパー・ペラーボ(『コヨーテ・アグリー』)/ミーシャ・バートン(『キャメロット・ガーデンの少女』)/ジェシカ・パレ

★本編はカラーです

(C)ニューセレクト

1978年、カナダ・トロントで起きた衝撃の事件、完全映画化―――

母を亡くし、父の再婚相手ともうまくいかないメアリーは全寮制の女子寄宿学校に編入する。ルームメイトは美しい優等生のトリーと、反抗的だが魅力あるポーリー。次第に新しい生活にも慣れ、二人と打ち解けてゆくメアリーだったが、ある日トリーとポーリーが友達以上の関係であることに気づいてしまう。

pic17歳の少女がタクシー運転手をバッドで殺害し、性器を切断するという実際に起きた事件をベースに、レア・プールが女性監督らしい視点で映画化。光を生かした美しく優しい映像で紡がれる物語は、単なる同性愛を描いた青春映画には留まらず、情熱的な愛情の物語へ昇華されていて、意外にもずっしりと響く映画である。

なにがこんなに響くのか?とにかく痛いのである。この年代に一度でも恋愛に突っ走ったことのある人なら、きっと胸が痛い。青春の痛みというのか、思春期の痛みというのか、それは判らないけれど、真摯であるがゆえに歯止めが利かず、向こう見ずにぶつかっていくしかない純粋さ。その気持ちは相手が同性だろうが異性だろうが関係ない。「レズじゃない。好きになったのがトリーなの」その純粋さのあまり狂気へと向かって行くポーリーは、見ていてただ痛々しく、切ない。若さってこういうことか!!と感じてしまうのは、若さというより純粋さを失っている証なのかなぁと気づいてしまったり。

picシェイクスピアの巧みな引用がポーリーの精神状態を見事に表す。飛べないハヤブサが飛べるようになったとき、愛が失われたこの残酷な世界でポーリーが下した決断は。単なる悲劇に終わらせないラストシーンと、邦題のセンスが光る。

(mana)


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天国の青い蝶
THE BLUE BUTTERFLY
(2003年  カナダ/イギリス 96分)
pic 2005年2月5日から2月11日まで上映 ■監督 レア・プール
■脚本 ピート・マコーマック
■出演 ウィリアム・ハート/マーク・ドネイト/パスカル・ビュシェール

(C)Co-produced by Galafilm Productions(V)Inc.-(Canada) And Global Arts(Mariposa)Ltd.-(UK)

「ブルーモルフォ」──それは強烈に光り輝くメタリックブルーの羽を持つ、世界で一番美しく、神秘的な蝶の名前である。

脳腫瘍におかされ、余命僅かと宣告された10歳の少年ピート(マーク・ドネイト)は、自分の不運を嘆きながらも、どうしても叶えたい小さな夢を持っていた。それはブルーモルフォに、自分自身の手で触れること。蝶が大好きなピートは、中南米の熱帯雨林にしか生息しない、そのまぼろしの生き物を命があるうちに、この目で見てみたいと願っていた。

ピートの母親、テレサ(パスカル・ブシェール)は、息子の夢を叶えようと世界的に有名な昆虫学者アラン・オズボーン(ウィリアム・ハート)とピートを会わせた。最初はそっけない態度のアランだったが、やがてピートの熱意に打たれ彼とともにジャングルに行く決心をする…。

picこの物語は実話である。まず驚くべき事は、少年の意志の力だ。生きるか死ぬかの状況下で、少年はひたすらに蝶を探す。どんなときでもあきらめることなく希望をもつ。夢や生きがいを持っている人はこんなにも強いのだ。生きる意味を見つけることの大切さに、あらためて気付かされた。

映画の中で先住民の少女がこんな事を言う。「あなたの中にも青い蝶はいる!」

奇蹟は起きたのではなく、起こされたのである。

(cotd)



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