名もなきアフリカの地で
NOWHERE IN AFRICA
(2001年 ドイツ 141分)
2004年2月28日から3月5日まで上映
■監督・脚本 カロリーヌ・リンク
■原作 シュテファニー・ツヴァイク
■出演 コリアーネ・ケーラー/メラーブ・ニニッゼ/レア・クルカ/カロリーネ・エケルツ/マティアス・ハービッヒ
■2002年アカデミー賞外国語映画賞受賞
(C)ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ壮大なアフリカの大地を舞台に少女の成長と家族の心の軌跡を描いた珠玉の傑作。
舞台はドイツ。幼いレギーナはホテル経営者の祖父、弁護士の父ヴァルター、やさしく美しい母イエッテルに囲まれ、幸せな生活を送っていた。しかしそんな生活もナチスの台頭によって崩れ去る。彼女らがユダヤ人であるという理由だけで。
遂にレギーナたちはドイツを離れ、先に父ヴァルターが旅立ったアフリカへと渡る決意をする。しかし待っていたのは予想以上に厳しい暮らし。お嬢様育ちのイエッテルは打ちのめされ、始終不満を漏らすのだった。
すれ違う夫婦の価値観。1人娘のレギーナはそんな両親を目の当たりにしつつも、すぐにアフリカの暮らしに馴染んでいった。彼女が聡明で魅力的な料理人オウアやケニアの子供たちとの友情を通し、新天地アフリカでたくましく成長していく姿は、静かな感動を心に覚えるはずだ。
戦争、まったく新しい土地での暮らしなど、困難を通して家族が人として成長していく軌跡には心動かされる。
撮影はリアリティを出すため、ケニアをはじめ、原作の舞台に近い場所で行われたという。まずこの大自然が素晴らしい。そのアフリカの美しい大地や人々は、都会暮らしに欠如している大切なものを感じさせてくれるだろう。
ドイツ映画賞5部門受賞、その他ドイツ内外の映画祭を圧巻、そしてアカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞という快挙を成し遂げ、世界各国で絶賛された。
(カツオ)
フリーダ
FRIDA
(2002年 アメリカ 123分)
2004年2月28日から3月5日まで上映
■監督 ジュリー・テイモア
■原作 ヘイデン・エレーラ
■脚本 クランシー・シーガル/ダイアン・レイク/グレゴリー・ナヴァ/アンナ・トーマス
■出演 サルマ・ハエック/アルフレッド・モリーナ/ジェフリー・ラッシュ/アシュレイ・ジャッド/アントニオ・バンデラス/エドワード・ノートン/ヴァレリア・ゴリノ/ミア・マエストロ/ディエド・ルナ
■2002年アカデミー賞作曲賞・メイクアップ賞受賞、主演女優賞ノミネートほか
(C)アスミックエース1907年、革命前夜のメキシコに生まれたフリーダ・カーロ。幼い頃から賢く、好奇心旺盛であったフリーダ。彼女は18歳の時、その後の人生を大きく変えることになる事故に遭遇し、瀕死の重症を負う。苦しい痛みの生活の中で、絵を描くことが唯一の生きる希望となった。
肉体に強烈な痛みを持つ者だからこそ描けた独特の世界。やがて人気壁画家のディエゴと運命的な出会いをし、結ばれ、生活と芸術を共にしていくことになる。
また、亡命中のトロツキー、大富豪のロックフェラー、女性写真家のティナらと親交を深め、このそうそうたるメンバーも、情熱的に生きるフリーダの生き様に魅了されていく。だがフリーダが唯一愛する夫ディエゴは浮気をしてばかり。心を痛めたフリーダは、ディエゴとの離別を決意するのであった。
夫の浮気に心を引き裂かれ、生涯30回以上の手術で身を切り裂かれながら、逃げるのではなく自分を見つめることによって、葛藤を芸術に昇華させたフリーダ。痛みと不自由に支配されてきたフリーダの最後の作品は‘VIVA LA VIDA’。「生命万歳」の意味である。
47年というあまりに短く、しかし過酷な生涯を情熱的に生き切ったフリーダ。生きることの壮絶さ、素晴らしさを感じずにいられない。
第75回アカデミー賞において作曲賞・メイクアップ賞の2部門を受賞。
(カツオ)